リーセンシー効果を活用した広告設計とは?購買直前に効く仕組みを解説

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回のコラムのテーマは「リーセンシー」です。

「広告は何度も見せた方がいい」——そう思っていませんか?
実は、広告の効果を左右するのは「回数」だけではありません。むしろ「いつ見せるか」というタイミングのほうが、購買行動への影響が大きいケースも少なくないのです。この考え方のベースになっているのが「リーセンシー効果」です。
この記事を読むと、以下のことがわかります。

  • ●リーセンシー効果の意味と、混同されやすい「フリークエンシー」との違い
  • ●リーセンシー効果が広告理論として日本で広まった背景と成り立ち
  • ●なぜ今、購買直前の広告接触があらためて注目されているのか
  • ●リーセンシー効果を狙ううえで押さえておきたい生活者データ・市場データ
  • ●交通広告やDOOHがリーセンシー効果を発揮しやすい理由


「なんとなく聞いたことはあるけれど、広告設計にまで落とし込めていない」という広告担当者の方も多いはず。この記事では、専門用語をかみ砕きながら、リーセンシー効果を広告設計に活かすための基礎知識を解説していきます。


1-1. リーセンシー効果の定義と考え方

リーセンシー効果とは、ひとことで言うと「購買の直前に接触した広告が、消費者の意思決定に強く影響を与える」という現象のことです。

「家を出る直前に見たCMの商品が気になって買ってしまった」
「レジ横のPOPを見て商品をつい手にとってしまう」
といった経験は、まさにリーセンシー効果の典型例だと言えるでしょう。

ポイントは、広告を「何回見たか」ではなく「いつ見たか」に注目している点です。同じ広告に10回接触していても、購買の瞬間から時間が経ちすぎていれば記憶は薄れてしまいます。一方で、購買の直前・直後というタイミングで一度だけ接触した広告は、意外なほど強く記憶に残り、行動につながりやすいとされています。

広告の世界では、このリーセンシー効果を狙った広告設計の考え方として、購入に近いタイミングであるという「近接性」と、消費者の購買意欲がすでに高まっている状態であるという「受容性」の2つの視点が重要だと整理されることが多くあります。

単に露出量を増やすのではなく、「生活者がどのような心理状態のときに、どこで広告と出会うか」を設計することが、リーセンシー効果を高める鍵になるわけです。

1-2. フリークエンシー効果との違い

リーセンシーとセットで語られることが多いのが「フリークエンシー」という言葉です。この2つは似ているようで、実は指しているものがまったく異なります。

●フリークエンシー:広告への接触「頻度」「回数」のこと
●リーセンシー:広告への接触「間隔」「タイミング」のこと

従来のマス広告的な発想では、「とにかく多くの人に、何度も広告を見せる」ことが重視されてきました。これがフリークエンシー重視の考え方です。一方でリーセンシー理論は、「同じ予算をかけるなら、購買に近いタイミングで接触させたほうが効率がよいのではないか」という、いわば効果を最大化するための予算配分・タイミング設計の発想だと捉えると理解しやすいでしょう。

実際、Web広告のリターゲティング施策では、サイト訪問からの経過時間(リーセンシー)が短いほどコンバージョン率が高まりやすいという傾向が知られており、この点からもタイミング設計の重要性がうかがえます。

フリークエンシーについてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムもあわせてご覧ください。


1-3. なぜ「購買直前」の広告接触が重要なのか

では、なぜ購買直前の広告接触は、それほどまでに強い影響力を持つのでしょうか。ヒントになるのが、消費者の店頭での購買行動に関する国内調査です。

消費者の購買行動を長年分析している日本リサーチセンターの解説記事によれば、消費者の購買行動は目的買いよりも衝動買いのほうが多く、店頭に来る消費者のうち購入する銘柄をあらかじめ決めている人はおよそ3割にとどまるとされています。

参考:第8章 販売促進活動と売り場づくり
(URL:https://www.nrc.co.jp/marketing/08-16.html

つまり、多くの消費者は「何を買うか」を来店前にきっちり決めているわけではなく、売り場や購買の直前で意思決定をしているということです。これは実店舗に限った話ではありません。移動中にスマートフォンで価格を比較したり、外出先で目にした広告をきっかけに商品を思い出したりと、購買の意思決定ポイントは生活のあらゆる場面に散らばっています。

だからこそ、「その意思決定が行われる瞬間の近くで、いかに広告と接触してもらうか」を設計するリーセンシー効果の考え方が、広告設計上とても重要になってくるのです。

2-1. 生活者の購買行動・情報収集スタイルの変化

リーセンシー効果という考え方自体は、決して新しいものではありません。国立国会図書館サーチの書誌情報によれば、広告専門誌『広告』(発行元:博報堂)では1999年11月号に、Erwin Ephron(アーウィン・エフロン)氏によるメディアプランニング講座「テレビプランニングのターゲット戦略にリーセンシーを適用する」が掲載されています。この連載をきっかけに、リーセンシーの考え方が日本国内で紹介されるようになりました。

登場から四半世紀ほどが経ちますが、なぜ今あらためてリーセンシー効果が注目されているのでしょうか。その大きな理由のひとつが、生活者の情報収集スタイルの変化です。

かつては「家でテレビを見て、後日お店で商品を探す」という行動が一般的でしたが、今ではスマートフォンを片手に、移動中・外出先のあらゆる瞬間に情報収集や購買判断が行われています。

つまり、生活者が広告に接触するタイミングと、実際に購買行動を起こすタイミングの「距離」が、以前よりもぐっと近づいているのです。これは、リーセンシー効果を狙った広告設計にとって、大きな追い風だと言えるでしょう。

2-2. メディアプランニングの多様化と予算配分の見直し

生活者の行動変化に合わせて、広告主側のメディアプランニングも変化してきました。かつてはテレビCMを中心に「まずは広く知ってもらう」ことに広告予算を集中させる考え方が主流でした。しかし現在は、テレビ・Web・OOH・DOOHなど、多様なメディアを組み合わせながら、生活者の行動導動線沿って広告接触のタイミングを設計するプランニングが増えています。

背景には、限られた広告予算をいかに効率よく使うか、という課題意識があります。認知獲得のための広範囲な露出(フリークエンシー重視の施策)と、購買直前の接点づくり(リーセンシー重視の施策)を、目的に応じて使い分ける発想が定着しつつあるのです。

特に、来店や購入といった具体的な行動を後押ししたい場面では、「どのタイミングで、どこで広告と接触してもらうか」という設計の巧拙が、広告効果を大きく左右します。

2-3. 広告効果の可視化・データ活用ニーズの高まり

もうひとつの背景が、「広告の効果をきちんと数値で確認したい」というニーズの高まりです。リーセンシー効果を狙った施策を組んだとしても、実際にどれだけの人に、どのタイミングで広告が届いたのかが見えなければ、施策の良し悪しを判断することができません。

こうした課題を解決する選択肢のひとつが、デジタルサイネージを活用したDOOHです。DOOHはWeb広告と同じようにインプレッション単位で配信・計測できるため、施策の効果を数値で振り返りやすいという特徴があります。

以下の資料では、DOOHの基本的な仕組みや特徴をわかりやすくまとめていますので、リーセンシー効果を狙った広告設計の参考としてぜひご活用ください。


ここまで、リーセンシー効果の考え方や、注目されている背景について解説してきました。ここからは、実際にどんな広告媒体・手法がリーセンシー効果を狙いやすいのかを見ていきましょう。

3-1. 駅・車内などの交通広告とリーセンシーの相性

リーセンシー効果を狙ううえで、代表的な媒体として挙げられるのが、街中や店舗内のOOH、駅や電車内の交通広告です。理由はシンプルで、「広告に接触する場所」と「実際に商品を購入する場所(買い場)」の距離が近いためです。

当社ジェイアール東日本企画が実施した2025年度の交通広告効果・価値調査では、車両メディアは全年代で高い「興味喚起」を促進しており、購買のプロセスにおいてテレビCM・インターネット広告と並ぶ主要な接点となっていることが確認されています。

特に10代・20代の若年層では、「行動喚起」の面でもテレビCMやインターネット広告と同水準のアクションを生んでおり、車両メディアが購買行動に直結しやすいメディアであることがうかがえます。

この結果は、通勤・通学・買い物・旅行など生活者の日々の移動動線に沿って複数回の接触機会をつくれることに加え、屋外の「買い場」に近い場所で接触するメディアであることから、購買行動を後押しする「リーセンシー効果」が期待できるという交通広告の特性を裏付けるものと言えるでしょう。

出典:JEKI MEDIA DATA
(URL:https://www.jeki.co.jp/transit_ad/pdf/jml_data_001.pdf

自宅でテレビCMを見て「欲しいな」と思っても、翌朝には忘れてしまう——そんな経験がある方も多いはず。交通広告は、その「忘れる前」のタイミングで生活者と接点を持てることが、大きな武器になっているのです。

3-2. DOOHによる最適タイミングでの配信

近年特に伸びているのがデジタルサイネージを活用したDOOHです。

DOOHがリーセンシー施策と相性がよいとされるのは、時間帯や曜日、天候などに応じて配信内容を柔軟に切り替えられるためです。たとえば、朝の通勤時間帯には缶コーヒーやエナジードリンクの広告、夕方の帰宅時間帯には夕食の食材やお酒の広告といった具合に、生活者がまさに購買を検討しそうなタイミングに合わせてクリエイティブを出し分けることができます。紙のポスターでは難しかった「その瞬間に最適な広告を届ける」という発想を、DOOHは技術的に実現しやすいメディアだと言えるでしょう。

近年では、こうしたタイミング設計をさらに一歩進め、性別・年齢・ライフスタイルなどのデータをもとにターゲットを絞り込んで配信できる「ターゲティングDOOH」も登場しています。

たとえば駅構内のコンビニ「NewDays」に設置されたデジタルサイネージ「NewDaysビジョン」では、こうしたデータ活用によって、狙ったターゲットが多い時間・場所を選んで配信することが可能です。

まさに「これから買い物をする人」に対して、購買直前のタイミングでピンポイントに接触できるという点で、リーセンシー効果を狙った施策と非常に相性がよいメディアだと言えます。

NewDaysビジョンについてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムもあわせてご覧ください。

NewDaysビジョンではこれまでのDOOHではできなかったターゲティングや出稿量のコントロールが可能になり、メディアとしての使い勝手が大きく向上しました。
Web広告と同じインプレッションを指標とした配信なので、Web広告の成果と比較しながら運用ができることも大きなメリットです。

多数の対応スクリーンやセグメント、料金などの詳細については以下の資料に記載しています。


3-3. Web広告・SNS広告と組み合わせたクロスメディア設計

リーセンシー効果は、交通広告だけで完結する話ではありません。むしろ、Web広告やSNS広告と組み合わせることで、効果がより高まるケースが多いことがわかっています。

当社と野村総合研究所(NRI)が共同で交通広告の価値研究を実施し た結果、テレビ・Web・交通の3つの有料メディアを組み合わせて展開したほうが、テレビとWebだけで運用するよりも効果を高められることが実証されています。

出典:ジェイアール東日本企画と野村総合研究所が共同で交通広告の価値研究を実施
(URL:https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20210624_1.html

これは、テレビやWebで商品・サービスの認知を広げつつ、生活者が実際に「買い場」へ向かう動線上に交通広告を配置することで、認知から購買までの一連の流れをスムーズにつなげられる、というイメージです。Web広告の世界では、サイト訪問者に対して短い間隔で再度広告を配信するリターゲティング施策がリーセンシー効果の代表例としてよく知られていますが、これに交通広告のような「リアルな生活動線上の接点」を組み合わせることで、オンラインとオフラインの両面から購買直前の後押しができるようになるのです。

リーセンシー効果を狙った広告設計の考え方や媒体特性がわかったところで、最後に、実際に施策へ落とし込む際に押さえておきたいポイントを整理します。

4-1. 生活動線・購買動線を踏まえた媒体選定

リーセンシー効果を高めるための第一歩は、「自社の商品・サービスを買う人が、購買直前にどこにいて、何を見ているか」を具体的にイメージすることです。通勤・通学中の駅や車内なのか、買い物中のショッピングモールなのか、あるいは自宅でスマートフォンを操作している瞬間なのか。ターゲットの生活動線・購買動線を洗い出したうえで、そこに自然に溶け込める媒体を選ぶことが、リーセンシー効果を狙った広告設計の基本になります。

特に駅や電車内は、通勤・通学・買い物といった目的を持った生活者が日常的に利用する場所であり、商業施設への動線とも重なりやすいという特徴があります。「認知を広げるメディア」と「購買直前に接触させるメディア」を分けて考え、後者の役割を交通広告やDOOHに担わせる、という設計は多くの広告主が採用している考え方です。

4-2. 効果測定・数値検証によるPDCA

どれだけ理論的に優れた広告設計であっても、実際にどれだけの効果が出ているのかを数値で確認できなければ、次の施策の改善にはつながりません。特に交通広告は、テレビCMの視聴率やWeb広告のインプレッション数と比べて「感覚的には効果がありそうだが、数値で説明しづらい」と感じられがちなメディアでもあります。

だからこそ重要になるのが、施策ごとに「どれだけの人に、どのようなタイミングで広告が届いたのか」を数値で振り返り、次の広告設計に反映していく姿勢です。近年では、アンケート調査による評価に加えて、位置情報や人流データといった実際の行動ログを用いた効果測定も広がりつつあり、交通広告の効果をより具体的な数値として捉えられる環境が整ってきています。「なんとなく効果がありそう」で終わらせず、きちんと数値を確認しながらPDCAを回していくことが、リーセンシー効果を狙った広告設計の精度を高める鍵になります。

リーセンシー効果とは、購買の直前に接触した広告が、消費者の意思決定に強く影響を与えるという考え方です。その考えが登場してから、四半世紀が経った今もなお、スマートフォンの普及や購買行動の多様化を背景に、その重要性は増しています。

なかでも駅や車内などの交通広告・OOHは、生活者の購買動線に近い場所で接触できるという特性から、リーセンシー効果を狙ううえで有力な選択肢のひとつです。特にターゲティングDOOHやNewDaysビジョンのように、データに基づいて購買直前のタイミング・ターゲットを絞り込める媒体は、Web広告・SNS広告とのクロスメディア設計と組み合わせることで、認知から購買までの流れをより効果的につなげることができます。

そのうえで欠かせないのが、施策の効果をきちんと数値で確認し、改善につなげていく仕組みです。ターゲティングDOOHであれば、Web広告と同じようにインプレッション単位で配信・計測できるため、リーセンシー効果を狙った施策の効果を数値で振り返りやすくなります。

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