こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
シニアに効果的な媒体に広告を掲載したのに、購入や問い合わせになかなかつながらないというお悩みありませんか? その広告、見られているだけで情報は伝わっていないかもしれません。
シニアをターゲットにした広告にはデザインの配慮が必要です。
しかし、字を大きくする以外にどのような配慮が必要か、具体的にはわかっていないという方も多いのではないでしょうか。今回は、大学でデザインを学び、広告会社に勤務する筆者がシニア向けデザインで押さえるべきポイントを解説します。
祖母とよく一緒に雑誌を読んだり旅行のチラシを見たりするため、リアルなシニア世代のデザインに対する声も踏まえ説明しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
シニア向けのデザインとは?
65歳以上のシニア世代の身体的な能力に応じて「見えやすく、わかりやすい」を意識したデザイン。
シニア向けのデザインで特に気を付けるポイントは、視覚的な配慮と情報の明確化の2点です。
このコラムでは、シニアの見え方や感じ方からどのようなデザインが好まれるかを解説します。チラシやポスターといった印刷物でも、TVCMやWEBサイトなど画面に映る場合でも共通したデザインのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
なぜシニア向けにデザインする必要があるのか?
シニア市場は年々拡大しており、2023年時点で日本の65歳以上の高齢者は全人口の29.1%を占めており、この割合はさらに増加すると予測されています(総務省,2023)。
今後日本全体の人口は減少し、多くのマーケットが縮小することが確実な中、人数も割合も増えているシニア市場は、多くの業界から注目を集めています。
シニアマーケティングやシニア市場に関して、以下のコラムでも詳しく解説しています。
シニア世代をターゲットとする広告は、年齢を重ねるにつれておこる身体的な能力変化に応じたデザインの配慮が必要です。
加齢に伴い多くのシニアは視力が下がり、目のピント機能が低下する老眼になります。視界が白くかすんで見えるといった症状が出る白内障は、日本人のほとんどが発症します。発症率は60歳代で66~83%、70歳代84~97%、80歳以上で100%といわれており、65歳以上の人を対象としたシニア向けのデザインには必ず視覚的な配慮が必要です。
参考:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000207.html
また、年齢とともに情報処理のスピードや記憶力が低下するため、わかりやすく覚えやすい情報を提示する必要があります。さらにWEBサイトの場合は、デジタル機器に馴染みのない方にも直感的に使用できるUI(ユーザーインターフェイス)でないとシニア(とくに70代以上)には操作が難しいでしょう。
①視覚的な配慮
シニア向けのデザインでは、以下の視覚的配慮が重要になります。「見えやすい」を意識しましょう。
・読みやすいフォントと文字サイズ
・コントラストを意識した配色
・余白を十分にとったレイアウト
それぞれのポイントについて詳しく説明します。
●読みやすいフォントと文字サイズ
シニア向けデザインで特に重要なのは読みやすいフォントと文字サイズです。
文字サイズは、通常のデザインより1.5~2倍程度大きく設定するようにしましょう。
チラシや雑誌などの印刷物の場合は14ポイント以上のフォントサイズが推奨されます。WEBサイトや動画の場合は、スマートフォンで見て文字が小さすぎないか必ず確認するようにしましょう。
フォントは、シンプルで読みやすいフォントを使用しましょう。ゴシック体(欧文書体ではサンセリフ体)のような装飾のないシンプルなフォントのほうがすっきりとして読みやすくなります。
読みやすいのはゴシック体ですが、大人らしい落ち着いた雰囲気がでる明朝体もシニア向けのデザインでは人気です。使用する場合は、以下の2点を意識しましょう。
・タイトルやコピーなど大きな文字の箇所に使う
・十分に行間をあけて使用する
弊社がクリエイティブを手がけるシニア向け会員組織「大人の休日倶楽部」への入会促進のCMやポスターでも雰囲気を出すために明朝体をコピーに使用しています。
事例:【シニア市場開拓支援】シニア向け会員組織「大人の休日倶楽部」入会促進
●コントラストを意識した配色
背景と文字のコントラスト(明るさの差)を強くすることで視認性が向上します。
白内障の場合は、コントラスト感度が低下して白くもやがかって見えたり、明るいところが白飛びしたように見えてしまいます。コントラストが付いていない文字や写真は判別がしにくいため、コントラストを意識してデザインを行うようにしましょう。
【良い例】
・薄い色の背景に濃い色の文字
・濃い色の背景に白文字
・文字に境界を付けてコントラストを作る
【悪い例】
・同系色を背景と文字に使う
・明るさが近い色を背景と文字に使う
・白の上にパステルカラーや黄色、薄い灰色(特にシニアが見えにくい色味)
白黒にした際に、文字と背景の境界がはっきりするかを意識するのがおすすめです。
ただ、コントラストが強すぎても目が疲れる原因となります。黄色の背景に黒文字は注意を引くデザインとして効果的ですが、すべての文字をこの配色にしてしまうと逆に読みにくくなってしまいます。シニア向けには、黄色の明度を少し下げてコントラストのバランスをとるようにしましょう。
同様に、色の種類が多い場合も目が疲れやすく、読みにくいデザインになってしまうため色数を抑えることも重要です。
シニア向けの健康食品などのチラシでよく見る金色のデザインも色数が多くて文字が読みにくくなってしまうため、実は落ち着いたカラーでベタ塗りのほうが情報は伝わりやすくなります。
●余白を十分にとったレイアウト
情報を詰め込みすぎず、余白を十分に取ったシンプルなレイアウトを心がけましょう。
特に、文字と文字の字間や行間、文字と画像の間、画面端に十分な余白を設けることが重要です。行間は、文字サイズの1.5〜1.75倍空けると一つの行が追いやすくなります。
また、レイアウトに関してもシンプルでわかりやすい構成が求められます。複雑なデザインや情報が多すぎるレイアウトは、シニア層にとって混乱の原因となります。チラシや雑誌などは、なるべくたくさんの情報を伝えるために文字が増えてしまいがちですが、なるべく端的な文章で文字数を減らすことを意識しましょう。
②情報の明確化・整理
年齢を重ねると情報の処理能力が下がってくるため、少しでもわかりにくいと最後まで広告を見てもらえないことがあります。そのため、シニア向けの広告では、「わかりやすい」を意識することも重要です。
具体的には以下の3つのことに、気を付けるようにしましょう。
・簡潔なキャッチコピー
・情報の整理を行う
・次の行動に移りやすい誘導
今回は、シニア向けスマホ教室のチラシを例に注意すべきポイントを説明していきます。
チラシは、パッと見て自分に必要な情報だとわからないと捨てられてしまうため、特に情報を明確にする必要があります。
●簡潔なキャッチコピー
シニアに向けたキャッチコピーは、短く簡潔にすることが重要です。
以下のポイントに気を付けることでシニアに響くわかりやすいコピーになります。
・1つのメッセージに絞って、伝えたいことを簡潔に
・専門用語を避け、誰にでも理解できるシンプルな言葉を使う
・商品やサービスの詳細より、シニアが共感する・安心感のあるメッセージに
・あいまいな表現を避け、具体的な説明に(数字を入れるなど)
例にしたシニア向けスマホ教室のチラシは、スマホの操作をあきらめてしまったシニアに向けて「わかるまで丁寧に教えます」と安心感のあるワードをキャッチコピーにしました。
また、「シニア」や「高齢者」という表現よりも具体的に「65歳以上」と年齢でターゲットを絞る方が効果的です。より自分事化してもらえる表現をすることを意識しましょう。
●情報の整理を行う
シニア向けのデザインでは、重要な情報がすぐわかるように目立たせることと、情報の配置を整理することが大切です。
例では、申し込みにつながる電話番号をチラシの最後に大きく配置して目立たせています。また、すべての情報を同じ並べ方をするのではなく、情報に強弱をつけたり、ブロック分けしてレイアウトを整えるとわかりやすくなります。
説明文も長い文章は避け、なるべく短い文章にしましょう。情報が多い場合は、箇条書きにしたり、図を使って説明するなど工夫をしましょう。
●次の行動に移りやすい誘導
商品購入や申し込みなど次の行動を促す情報は、直感的に次に行うことがわかるような表現を意識しましょう。
以下のような点に気を付けると、次の行動へのハードルが下がります。
・電話番号やQRコードなど重要な情報を大きく表示する
・視線の動きに沿った情報配置を行う
(一番下など目立つ場所に配置する、近い情報の近くに配置する)
・誘導をあいまいな表現にしない
例:「詳細→QRコード」→「詳しくは、カメラでQRコードを読み込んでください」
「お申し込み 0120-345-678」→「お申し込みはお電話で 0120-345-678」
・イラストをつけたり、WEBの場合はボタンだとわかりやすくするエフェクトを付ける
今回はチラシを例に紹介しましたが、WEBの場合は若い世代であれば直感的に使用できるような部分もシニア世代にはわかりにくいこともあるため、さらに注意が必要です。上記のようにCTAボタンをわかりやすくしたり、ハンバーガーメニューではなく常にメニューバーを表示するなど迷わずに操作できるデザインを心がけましょう。
まとめ
シニア向けの広告は、情報を受け取る側がストレスを感じない「見えやすく、わかりやすい」デザインにすることが重要です。
ただこちらの伝えたい内容を押し出したり、デザイン性を重視すると、シニアにとってはわかりづらいデザインとなってしまいます。今回紹介した以下のポイントを押さえることで、シニア世代に効果的なアプローチができるデザインを作成することができます。
・読みやすいフォントと文字サイズ
・コントラストを意識した配色
・余白を十分にとったレイアウト
・簡潔なキャッチコピー
・情報の整理を行う
・次の行動に移りやすい誘導
今回紹介した内容はシニア向けデザインの基本であり、情報の見逃しや誤認を防ぐことや広告に興味を持ってもらうためのものです。
「シニア」と一口に言っても、60歳代の趣味を楽しむアクティブシニアから、高齢で介護が必要な方までさまざまです。貴社のターゲット世代のニーズに合わせて表現をさらに工夫して、信頼感と安心感を提供するデザインを目指しましょう。ニーズを理解したデザインはシニアの顧客満足度を高め、ブランドの信頼性を築くことができます。
最後に、シニアに効果的な広告媒体を紹介します。
おすすめ媒体「大人の休日倶楽部」会員誌広告のご紹介
シニア向けのデザインを意識するとシンプルでわかりやすくなる一方で、1回の接触だけではなかなか伝えたいことを伝えきれないということもあります。
そこでおすすめなのが雑誌広告です。雑誌広告は、繰り返し読まれることや自宅でリラックスしているときに読むことが多いです。そのため、シニア向けのデザインを意識しながらも少し情報量を多めにすることが可能です。
シニア層の読者が多い雑誌の一例として、ここでは「大人の休日俱楽部」会員誌をご紹介します。
大人の休日俱楽部とは?
「大人の休日倶楽部」は、50 歳からの「旅」と「暮らし」を応援する JR 東日本の旅行会員組織で、現在約280万人(累計)のシニア・プレシニア会員を有したサービスです。そして会員向けに月に 1 回発刊されているのが「大人の休日倶楽部」会員誌。月間発行部数 約110 万部のこの会員誌に広告を掲載することが可能です。
アクティブなシニア世代100万人以上にアプローチできるというだけでもシニア商材をお持ちの方には魅力的な広告メディアですが、さらに注目のポイントが広告影響度です。
会員向けに行ったアンケートによると、会員誌に掲載されている広告に対してアクションを起こしたことがあるという会員が約50%という結果になり、これはかなり高い反応率です。
「大人の休日俱楽部」の会員誌に広告掲載を行った事例の中には、雑誌というメディアの特性上保存率が高い(繰り返し読む)ことから、一定期間、継続的に問い合わせを獲得した事例もございます。
より詳しい情報は下記をダウンロードください。
本サイトの運営会社である当社ジェイアール東日本企画は、「大人の休日倶楽部」のプロモーションをはじめ、多数のシニア向けの商材の広告制作やプロモーションに携わってきました。シニアに向けた広告のデザインでお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。