こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回のテーマは「SNS広告のターゲティング」です。
Web広告はマス広告に比べてターゲットを狙い撃ちしやすいメディアであり、その中でもSNS広告は特にターゲティング精度に優れているといわれています。
本コラムでは
✓ どのような点でSNS広告がターゲティングに優れているのか
✓ SNS別のターゲティング方法の違いや特徴
✓ SNS広告のターゲティング精度をさらに上げる方法
まで丁寧に解説させていただきます。
・これからSNS広告の実施を検討している広告担当の方
・どのSNSで広告を実施しようか迷っている方
・Web広告・SNS広告の新たなターゲティング手法をお探しの方
に読んでいただきたいコラムです。
SNS広告の現状
SNS広告の特徴をお話しするにあたり、まず近年のSNSの利用状況を見てみましょう。
総務省の行ったソーシャルメディア系サービスの利用率調査を見ると、LINE、Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTokといったSNSの利用率が大変高いことがわかります。
特にLINEはほぼ全年代で90%を超え、国民のほとんどが利用していると言っても過言ではありません。InstagramやX(旧Twitter)で約半数、FacebookやTikTokでも約3割が利用していることを考えると、SNSは現代の生活と切っても切れない存在に成長していることがわかります。
【令和4年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)
出典:総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
それに伴い、広告分野でもSNS広告の存在感が増しています。
下の図はインターネット広告媒体費に占めるソーシャル広告※の割合を示したグラフです。
※ソーシャル広告:SNSや動画共有サービスなどのソーシャルメディアに配信する広告。
インターネット広告のうち3分の1以上がソーシャル広告であり、さらにソーシャル広告の内訳をみるとその42.8%がSNS系に分類されます。つまり、全体の約15%がSNS広告であることがわかります。
インターネット広告の種類が日進月歩に増え続けている中でも、SNS広告は非常に高いシェアを占めているのです。
▼ソーシャル広告の構成比推移
▼ソーシャル広告の広告種類別構成比
出典:電通「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
SNS広告の特徴
ここではSNS広告の特徴を3つご紹介します。
➀ターゲティング精度が高い
SNSではアカウント登録をする際に、年齢や性別、職業、学歴、趣味、婚姻状況など、パーソナルな情報を入力しますよね。これらのデモグラフィック情報が広告配信に利用されています。さらにSNS上の行動データ(いいねやシェアなど)から興味関心なども特定できるため、それらを掛け合わせることでより詳細なターゲティングが可能となります。
また近年はCookie規制に代表されるように、横断的なデータ活用を規制する動きがありますが、SNSは上記の通り各サービスが独自に得たユーザーデータを有しているため、こうした規制の影響を受けづらいというメリットもあります。
➁ユーザーに受け入れられやすい
Web広告は一般的に「コンテンツ視聴を阻害する邪魔者」扱いされることが多いですが、そんな中でもSNS広告は比較的ユーザーに受け入れられやすいという特徴があります。
例えばInstagramやFacebookなどでは、タイムライン上の投稿と投稿の間に広告が表示されるので、他のコンテンツにうまく溶け込んでユーザーに広告と意識させずに見てもらえるというメリットがあります。
これは「ネイティブアド」といわれる広告手法で、ユーザーのストレスを減らし、自然な形でコンバージョンにつなげる効果が期待できます。ユーザーに不快感を抱かせないというのは現代において広告活動を成功させる重要な要素です。
➂潜在層にリーチできる
リスティング広告やリターゲティング広告が、既に商品に興味がある・悩みやニーズを抱えているユーザー(=顕在層)へのアプローチに向いているのに対し、SNS広告はまだ商品を知らない・悩みを自覚していないユーザー(=潜在層)へのアプローチにも活用できます。
自社のサービスに興味を持つかもしれないユーザーに広くアプローチできる点がSNS広告の特徴です。
「広く」と言っても「誰彼構わず」というわけではありません。デモグラフィック情報や興味関心からサービスに興味を持つ可能性のあるユーザーだけにターゲティングできるので、無駄なく効率的な広告配信ができます。
SNS別の特徴とターゲティング方法
それではSNSごとにターゲティングの方法や特徴にどんな違いがあるのでしょうか。今回は5大SNSといわれる、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、TikTokの5つについて詳しく見ていきましょう。
※本コラムの内容は2024年2月時点の情報です。最新の情報は各媒体の公式サイトよりご確認ください。
※YouTubeは動画配信プラットフォームとして一般的なSNSとは区別されるケースが多いため今回は除外します。
なおWeb広告全般の基本的なターゲティング方法・種類に関しては、下記のコラムで詳しく解説しています。初めてSNS広告を実施される方は、事前にこちらをご覧いただくとさらに理解がスムーズです ↓↓
◎X(旧Twitter)
月間アクティブユーザー数:4,500万人(2017年10月時点)
メインユーザー層:10~20代を中心に幅広い
特徴:リツイートなどによる情報の拡散性や即時性が高い
■オーディエンスの特性によるターゲティング
地域、言語、端末、年齢、性別などデモグラフィック情報を利用したターゲティング。
ユーザー情報を利用した基本的なターゲティング方法です。
■オーディエンスタイプによるターゲティング
ユーザーが参加した会話のトピックや、特定のイベント・テレビ番組への反応、閲覧・いいねといったエンゲージメントなど、X内でのユーザーの行動をもとにしたターゲティングです。
最も特徴的なのは「キーワードターゲティング」です。
キーワードターゲティングは、利用者が検索したり、つぶやいたり、最近反応を示したツイートのキーワードにもとづいてユーザーを絞るターゲティング手法です。
Xは気軽につぶやくSNSなので、「痩せたい」「腰が痛い」「転職したい」といった本音ワードも含めたリアルな感情がキーワードに現れやすいのが特徴です。こういった感情はユーザーのニーズと直結しているので、自社サービスに合致するキーワードでターゲティングできれば反応を得られる可能性が高まります。
■既存のオーディエンスに対するターゲティング
既存フォロワーや既存顧客に対するリマーケティングで、自社CRMの連携が可能です。
月間アクティブユーザー数:2,600万人(2019年7月時点)
メインユーザー層:30~40代
特徴:実名登録制のため、他のSNSよりもユーザーデータの精度が高い
■コアオーディエンスによるターゲティング
コアオーディエンスは、地域、年齢、性別、興味関心など、主にユーザーの登録情報にもとづいて行うターゲティング方法です。
実名登録制はFacebookのユニークな点です。
そのため登録されている基本情報が他のSNSと比較して正確で信憑性が高いのが特徴です。広告配信においてこの基本情報の正確性は非常に大きなポイントとなります。
■カスタムオーディエンスによるターゲティング
自社のビジネスに対してすでになんらかの接点があるユーザーを対象にするリマーケティングです。ホームページへの来訪履歴や、既存の顧客情報などを利用します。
■類似オーディエンスによるターゲティング
ソースとなるオーディエンスのユーザー属性をもとに、それと類似しているユーザーをセグメントするターゲティング方法です。
例えば、自社サービスの既存顧客と共通の興味関心を持つ、まだ接点のないユーザーを対象に広告配信が可能です。
月間アクティブユーザー数:3,300万人(2019年3月時点)
メインユーザー層:10~30代の女性
特徴:写真投稿に強く、女性ユーザーが多いので、女性向け商材と相性が良い
Instagramは運営母体がMeta社でFacebookと共通なので、Instagram広告もFacebookの広告マネージャを利用して配信されます。そのため、出稿先メディアは違えど、基本的に同じロジックでのターゲティング、配信設定が可能です。
◎LINE
月間アクティブユーザー数:9,600万人(2023年12月時点)
メインユーザー層:若年層から中高年まで幅広い層が利用
特徴:人口を広くカバーしており、他のSNSに比べて高い年代まで届けやすい
■オーディエンスセグメント配信によるターゲティング
年齢、性別、地域、興味関心などのユーザーの基本属性を指定して配信します。
なおLINEの利用にあたっては、詳細な基本情報登録が必要無いので、ここで利用される属性はユーザーの行動をもとに分析・推測された「みなし属性」である点は留意しておきましょう。
■オーディエンス配信によるターゲティング
サイト訪問や購入などのウェブサイト上の行動履歴、自社が持つ顧客データなどをもとに配信対象に加えたり除外したりできます。
すでに接点のあるユーザーを対象とするリマーケティングに向いている配信方法です。
■類似配信によるターゲティング
指定したオーディエンスと類似するユーザーをLINE内から新たに探し、オーディエンスサイズを拡張して広告配信する機能です。
例えば、商品購入履歴があるユーザーをソースオーディエンスにして類似配信を活用することで、商品を購入したユーザーに似ている=商品を購入する可能性が高いユーザーにアプローチすることが可能です。
他のSNSは利用していなくてもLINEだけは利用しているというユーザーが多いので、他のSNS広告ではリーチできないユーザーに配信できることがLINE広告の最大の特徴です。
◎TikTok
月間アクティブユーザー数:1,700万人(2021年8月時点)
メインユーザー層:若年層、特に10代
特徴:高い拡散力があり、若年層へのアプローチに向いている
■デモグラフィックによるターゲティング
ユーザーの年齢や性別、地域、使用している言語などによるターゲティングです。
TikTok広告で特徴的なのは年齢のセグメントです。
13~17歳・18~24歳・25~34歳・35~44歳・45~54歳・55歳以上
13~17歳という10代内での刻みは他のSNSには見られない設定で、若年層をメインユーザーとするSNSならではと言えるでしょう。
■興味・行動によるターゲティング
ユーザーのアプリ内での行動をもとに、興味のあるカテゴリーを特定したり、ターゲティングを行います。
興味関心ターゲティングは、20種類のカテゴリー(その中でさらに細かい下位カテゴリーが存在)を指定して配信が可能です。
■デバイスによるターゲティング
ユーザーが使用しているデバイスの条件を指定するターゲティングです。
OSのバージョンやデバイスモデル、通信環境など細かな設定が可能です。
■ユーザーリストによるターゲティング
カスタムオーディエンスは、これまでに自社サイトにアクセスしたユーザーや特定の顧客リストなどを指定する、いわゆるリマーケティング手法です。
類似オーディエンスでは、既存のユーザーリストをもとにして、そのユーザーと似た属性や行動パターンを持つユーザーに広告を配信します。
さらに精度の高いターゲティングを行うなら
ここまで5つのSNSについて、ターゲティングの種類や特徴を解説してまいりました。SNSごとに特色があることが分かったと同時に、ターゲティング手法にそこまで大きな違いがあるわけではないことも理解していただけたのではないでしょうか。
SNS広告は比較的ターゲティングに優れていると書きましたが、この特徴をさらに高める方法があります。それは配信プラットフォームであるSNS側のターゲティングに、外部データによるターゲティングを掛け合わせる方法です。
具体的なサービスとして、今回は当社が開発・運用にかかわるユニークなターゲティング広告をご紹介します。
JR東日本データ活用ターゲティング広告「JRE Ads」
JR東日本グループが保有する顧客データを用いて精緻なターゲティングを行えるWeb広告・SNS広告です。
JRE Adsは
・Suicaの移動データ(JR東日本の首都圏&東北エリア約600駅の乗降データなど)
・JRE POINT(JR東日本グループのポイントサービス)の利用履歴
・JRE MALL(JR東日本グループのECサイト)での購入履歴
・えきねっと(JR東日本の列車チケットのネット予約サービス)の列車予約履歴
などのJR東日本グループが保有する膨大な顧客データをターゲティングに活用します。
これらのデータと、広告配信するSNS(X、Facebook、Instagram、LINEなど)のセグメントデータとを掛け合わせることで、これまでにない独自のターゲティングが可能となります。
事例:ニュース配信サービス
わかりやすいターゲティング例として、活用事例を一つご紹介します。
ニュース配信サービスのサブスク会員獲得のために、出張で鉄道を利用しているビジネスパーソンにピンポイントで広告訴求を図りました。
SNS上(オンライン)の行動だけでなく、新幹線改札利用などリアル(オフライン)の行動の確定データでターゲティングできることは、大きなポイントです。
この他にも、例えば…
オンライン:「フィットネスとウェルネス」の興味関心カテゴリー
オフライン:Suicaの乗降履歴
を掛け合わせて、店舗近隣の駅・沿線利用者を狙うフィットネスジムの新規入会キャンペーンなどにも有効です。
このようにJRE Adsの活用事例は多数ございますので、JRE Adsについてさらに詳しく知りたい方は是非こちらの資料をご覧ください。
まとめ:SNSごとの特徴を見極めて的確なターゲティングを
SNS広告がターゲティングに優れている理由や、SNSごとのターゲティング方法の違いや特徴についてご理解いただけましたでしょうか。
【狙いたいターゲット】×【訴求したい商品・サービス】によって、どのSNS広告を利用するべきか、どんなターゲティングを設定するべきかが変わってきます。自社のサービスに適したSNSを見極めて、的確なターゲティングができるように取り組んでみてください。
とはいえ選択肢は無数にあるので、自社に合ったターゲティング手法を探すのはなかなか大変なものです。そんなときはご紹介した「JRE Ads」の活用も是非ご検討ください。
「JRE Ads」にご興味のある方、もっと詳しく知りたいという方はこちらからお気軽にお問い合わせください。