なぜ今、富裕層マーケティングなのか?市場規模・関心領域・広告手法を徹底解説

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回のテーマは「富裕層マーケティング」です。

コロナ禍を経て、消費者の価値観は大きく変化しました。特に注目されているのが「富裕層」の存在です。経済が不安定な状況でも比較的安定した購買力を持ち、ブランドや体験価値に対して投資を惜しまないこのセグメントは、企業にとって極めて重要なターゲットになっています。

この記事では
・富裕層の市場規模や興味関心
・具体的なマーケティング事例
・富裕層マーケティングを戦略に取り入れる際のヒント
・富裕層に効果的な広告媒体
などをお届けします。


 

富裕層市場の最新動向とポテンシャル

富裕層の定義と分類

 
「富裕層」と一口に言っても、その定義は国や業界によって異なります。一般的に、日本国内では「純金融資産1億円以上」の世帯が富裕層とされ、さらに5億円以上の超富裕層に分類されるケースもあります。
 

区分純金融資産説明
超富裕層5億円以上企業オーナーや投資家、資産家など
富裕層1億円〜5億円一般的な高所得・高資産層
準富裕層5,000万円〜1億円今後さらに高い資産形成が見込まれる層
(野村総研の分類による)

 
マーケティングの観点では、これらの層に対して一括りのアプローチをするのではなく、資産規模・年齢・ライフステージごとにセグメントすることが成功のカギになります。
 
 

日本の富裕層市場規模と今後の成長予測

 
野村総合研究所の推計によると、日本の純金融資産1億円以上の世帯は約165万世帯に達しています(2023年時点)。これは全世帯の約2.9%に過ぎませんが、保有金融資産で見ると全体の約26%以上を占めており、消費力の集中が極めて顕著であることが分かります。
さらに注目すべきは、こうした富裕層が保有する資産がコロナ禍でもむしろ増加傾向にある点です。富裕層・超富裕層が保有する純金融資産の総額は、前回2021年の調査からわずか2年で28.8%(364兆円から469兆円)も増加しています。
株式や不動産といった資産運用によって資産を増やした人が多く、「資産インフレ」の恩恵を受けたセグメントといえます。
このように富裕層は年々成長している市場なのです。
 

なぜ今「富裕層マーケティング」が注目されているのか?

 
理由は大きく3つあります。
 
1. 消費の二極化
中間層の消費は物価上昇や税負担増の影響で鈍化する一方、富裕層の購買は価値のあるモノ・体験に集中投資する傾向が強まっています。例えば、ラグジュアリーホテルやアート投資、教育分野での支出は右肩上がりです。

2. 富裕層の「時間価値」と「限定性志向」
富裕層にとって、“時間”は最も価値ある資源です。そのため、手間のかからない信頼性の高い購買ルートが好まれます。また、希少性や限定性に高い価値を見出すため、限定販売や会員制のサービスは特に響きやすいです。

3. テクノロジーによるターゲティング精度の向上
近年では、デジタル広告やDMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用することで、富裕層のオンライン行動を精緻に把握し、ピンポイントで広告配信やメールマーケティングが可能になっています。
 
 
 

富裕層の興味関心・行動パターンを理解する

富裕層のライフスタイルと情報収集経路

 
富裕層は非常に情報感度が高い傾向にあります。テレビや新聞だけでなく、デジタルメディアや会員制コミュニティ、信頼できる人からの口コミを重視します。

例えば以下のような情報源が好まれます:
・Forbes JAPAN、PRESIDENT、日経ヴェリタスなどのビジネスメディア
・招待制SNS
・高級ホテルや百貨店のサロン、文化イベントでの対話

「どこから情報を得るか」以上に、「誰から薦められたか」が大きな影響を与えるのが富裕層の特徴です。
 
 

購買判断の特徴と心理的トリガー

 
富裕層の購買行動は、価格ではなく「価値」に基づいています。安さよりも、「このブランドが持つ哲学」「社会的評価」「その体験が得られるか」を重視します。

また、以下のような心理的要素が購買トリガーとなります
・限定性:「あなただけに」「数量限定」などの稀少性訴求
信頼性:第三者の推薦、過去の実績、社会的証明
・体験価値:商品自体よりも、「それによって得られる体験」に価値を見出す
 
 

富裕層が重視する“ブランド体験”とは?

 
単に「高価な商品」を売ればいいわけではありません。富裕層は、そのブランドと接するすべての接点で“質の高い体験”が得られるかを見ています。
たとえば、ラグジュアリーブランドであれば、店舗内の接客、商品説明のストーリー性、アフターケアに至るまでがブランド体験となります。
加えて、オンライン×オフラインを横断するCX(カスタマー・エクスペリエンス)も重視されます。オンライン予約から実店舗での接客まで一貫したサービス体験が、信頼とロイヤルティを醸成します。
 
 
 

富裕層向けビジネス成功事例

富裕層向けビジネスでは、商品やサービスの質だけでなく、「ブランド体験」や「顧客との関係性づくり」が鍵となります。以下に、実際に富裕層向け戦略で成功を収めている企業・ブランドの事例を紹介します。
 
 

【自動車】LEXUS(レクサス)|“移動”ではなく“体験”を売る戦略

 
レクサスは、単なる高級車ではなく、「クルマとともに過ごすライフスタイルを豊かに」という想いから、ブランド体験を重視しています。
特に注目されるのが、富裕層会員向けの特別サービス「LEXUS OWNER’S LOUNGE(レクサスオーナーズラウンジ)」や「LEXUS MEETS…(カフェラウンジ)といった体験型接点です。

さらに、新車販売にとどまらず、富裕層が求める価値観=洗練された接客、時間の尊重、上質な空間に応える形で、ブランドロイヤルティを高めています。 

 
 

【不動産】三井不動産レジデンシャル|“信頼と安心”を価値に変える戦略

 
富裕層向けマンション「パークマンションシリーズ」では、商品自体のラグジュアリーさに加え、購入者へのアフターサポートや居住者コミュニティの形成などを通じて、「住まいの先にある人生設計」まで見据えたブランディングを行っています。

 
 
 

【百貨店】伊勢丹|富裕層を“顧客”ではなく“パートナー”と捉える

 
三越伊勢丹グループは、上顧客向けのカード特典はもちろんのこと、外商部門によるパーソナルショッピングサービスにも力を入れています。
伊勢丹新宿本店では、特別室での接客や、アートやファッションのキュレーション提案を通じて、「世界観」を重視した購買体験を提供しています。
 
 

【旅行・体験】一休.com|富裕層優遇で差別化

 
高級ホテルや旅館に特化した予約サイト「一休.com」は、富裕層重視の商品ラインナップ、サービス形態を明確にすることで、他社の予約サービスとの差別化に成功しています。
年間の利用額に応じた会員プログラムでは上位会員限定特典やサービスを提供し、富裕層からの高い評価を得ています。
 
 
 

富裕層マーケティングを成功させる5つのポイント

これまでの事例からも明らかなように、富裕層マーケティングには独自の戦略と配慮が求められます。以下の5つの視点を押さえることで、より高い成果が期待できます。
 
 

セグメントの精度とターゲットリストの構築

 
まず重要なのは、「どの富裕層に向けて発信するか」を明確にすることです。
単に年収や資産額だけでなく、興味関心やライフステージ(子育て中/定年後/海外移住検討など)でセグメントを切ることが重要です。
CRMやDMPなどのデータを活用し、絞り込んだうえで、個別に刺さるメッセージを届けることが求められます。
 

富裕層の信頼を得るコンテンツ設計

 
信頼を勝ち取るためには、情報の“深さ”と“専門性”が欠かせません。
一般的な商品説明ではなく、「なぜこの商品が今必要なのか」「ブランドの哲学は何か」をしっかり語ることで、価値のある情報と認識されます。
また、実績紹介や顧客インタビューも効果的です。他の富裕層が支持しているという事実は、次の顧客を動かす強力な材料になります。
 
 

リアル×デジタルの統合マーケティング

 
富裕層はリアルな体験を重視する一方で、デジタルによる利便性も享受しています。
たとえば、オンラインでの会員登録から、招待制イベントへのオフライン誘導といった流れが理想的です。
また、オフラインでの接点から得られた情報をもとに、Web広告やメールでのフォローアップを行うことで、LTV(顧客生涯価値)の最大化につながります。
 
 

パーソナライゼーションとホスピタリティの徹底

 
「あなたに合わせた対応」が、富裕層マーケティングの根幹です。
一斉送信のメールよりも、宛名入りの手紙やパーソナライズされたメッセージのほうがはるかに効果的です。さらに、コンシェルジュ対応や専任スタッフによるフォローも大きな付加価値になります。
ホスピタリティとは「おもてなし」ではなく、「相手の期待を上回る配慮」です。
 

⑤顧客LTVを最大化するアフターサービス

 
一度購入してもらったら終わり、ではありません。富裕層は、継続的な関係性を重視します。
たとえば、誕生日に手書きのメッセージを送る定期的なアップデートや招待を行うなど、長期的なつながりを持つことで、紹介やリピートが自然と生まれます。
 
 
 

富裕層に効果的な広告媒体とは?

富裕層に響く広告媒体は、“到達率”よりも“信頼性”と“文脈”が鍵になります。以下に、代表的な媒体とその活用法をご紹介します。
 

雑誌・新聞などハイエンドメディアの活用

 
紙媒体に強い信頼感を抱いている富裕層は依然として多いです。
たとえば『PRESIDENT』『Forbes JAPAN』『GOETHE』『LEON』などは、読者層の年収・資産水準が高く、BtoC・BtoBいずれの業界でも有効です。
また、日本経済新聞や日経ヴェリタスの特集タイアップに出稿することで、知的層からの信頼を得ることも可能です。
紙媒体は「掲載されている=信頼できる情報」という前提があるため、ブランド価値の訴求には最適です。
 
 

デジタル広告とSNSの活用ポイント

 
富裕層はWebを使わない、というのは過去の話。
今では、ターゲティングの精度が高いFacebook広告や、LINEのリッチメニュー、さらにはYouTubeでのストーリーブランディングが活用されています。

特に効果的なのは:
・リターゲティング広告による再訴求
・オーディエンスデータを活用した“類似富裕層”の拡張配信
・SNS広告+招待フォームの連動(イベント誘導など)
 
デジタルでも「大量配信」ではなく、「質の高いリーチ」が求められます。
 

会員制・招待制メディアへの出稿

 
最近注目されているのが、富裕層向け会員制メディアやラグジュアリークラブとのタイアップです。
たとえば:富裕層が多く所属する会員制クラブや高級クレジットカードの会員誌は信頼度が高く届きやすい広告媒体です。

こうしたチャネルでは、到達率は低くても、顧客の“質”が圧倒的に高いのが特長です。信頼性とブランド力のある企業にこそ適した手段といえるでしょう。
 
 

移動・余暇時間を捉えるオフラインリーチ

 
富裕層やエグゼクティブ層に向けた広告施策では、「時間と空間に余裕のある瞬間」を狙うことが重要です。そこで注目されているのが、移動中や趣味時間に自然に接触できるOOHなどのメディアです。

【移動中】
・タクシー広告
・新幹線グリーン車広告(グリーン車搭載誌『Wedge』『ひととき』など)

 
【趣味時間】
・ゴルフ場広告(スコアカードやカート広告、サンプリングなど)
 
 
 

富裕層マーケティングにおすすめの広告媒体・ソリューション

 
ここまで富裕層に刺さる広告媒体の特徴を解説してきましたが、精緻なターゲティングと信頼性のある配信先を両立するのは簡単ではありません。
そこで、当社が提供する富裕層向けの広告ソリューションをご紹介します。
 

①JR東日本の顧客データ活用デジタル広告「JRE Ads」

 
JRE Adsは、JR東日本グループの顧客データを活用し、精度の高い富裕層ターゲティングを実現するサービスです。
以下のようなセグメントを行うことで、一定年収以上の層を抽出するなど、富裕層を的確に情報を届けることができます。

・新幹線グリーン車・グランクラス利用履歴
・ビューカードゴールド保有
・JRE MALLのふるさと納税寄付金額〇〇万円以上
 

 
実際のユースケースや料金体系は、以下ページからご確認ください。
 

 
 

資産保有シニア層に届く「大人の休日俱楽部」会員誌広告

 
「富裕層=シニア層」とは言えませんが、統計を見ると60代以上の資産保有率が非常に高いのが日本の現状です。
そういった意味では、消費意欲の高いシニア層を狙うことは、富裕層マーケティングに通ずる部分があります。
 

 
 
当社では、JR東日本が提供する「大人の休日倶楽部」会員誌に広告を掲載することで、アクティブな富裕層シニアに対して信頼性のあるアプローチを行っています。

※大人の休日俱楽部:JR東日本が展開する50歳以上を対象とした旅行会員組織。累計会員数約290万人、会員誌の月間発行部数は約113万部。


・会員誌は定期購読形式で送付され、到達率・閲読率が非常に高い
・旅行・健康・資産形成・趣味に関心が高い読者層
・広告主にとってのLTVが高く、ブランド認知だけでなく反応率も良好

富裕層シニア向けのプロモーションをお考えの企業様には、非常に相性の良いメディアです。
詳細はこちらの資料をご覧ください。

 
 
 

まとめ|“価値を売る”発想で、富裕層の心を掴もう

富裕層マーケティングは、単なる高級商品の販促ではなく、“共感と信頼”を土台に築く長期的な関係構築型マーケティングです。
市場としてのポテンシャルは非常に高く、日本国内では約165万世帯が純金融資産1億円以上の富裕層とされています。特にシニア層にその多くが集中しており、旅行、資産運用、健康、教育などの分野で旺盛な消費意欲を見せています。
重要なのは、「何を売るか」よりも「誰に、どんな文脈で、どんな体験として届けるか」。
そのためには、以下のような観点を軸にマーケティング戦略を構築することが不可欠です:

・高精度なセグメント設計とデータ活用
・富裕層の心理に寄り添ったコンテンツと接点の設計
・リアルとデジタルを組み合わせた顧客体験の提供
・ホスピタリティとパーソナライゼーションによる信頼構築
・LTV最大化を意識したアフターフォロー

また、メディア選びも成功の鍵です。
信頼性の高い媒体、ブランドの世界観とマッチした広告枠を選定し、富裕層の価値観に響くメッセージを発信することが重要です。
当社が提供する 「JRE Ads」や「大人の休日倶楽部会員誌」 のような、精緻なデータに基づくターゲティングや、リーチ後の行動喚起までを視野に入れた設計は、これから富裕層マーケティングに取り組む企業様にとって、心強い選択肢となるはずです。

もしも富裕層マーケティングにお困りの際は、当社ジェイアール東日本企画へお気軽にご連絡ください。
 

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