
こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
広告・マーケティングに“効く”コラム、今回のテーマは「インプレッションの新たな役割」について。Web広告の指標であるインプレッションが、テレビCMやOOHまでを評価する”横断的な広告効果測定の物差し”に拡張されたという趣旨の解説文です。
このような人におすすめ
✅テレビCM、Web広告、OOH広告を使ったキャンペーン立案の担当者
✅Web広告の成果が頭打ちで、テレビCMやOOH広告を検討中
✅宣伝担当者だが、各広告施策の評価方法に課題を感じている
✅自社の広告キャンペーン案件で、競合プレゼンに参加する広告会社を探している
■Webにおけるインプレッションの基本的な役割
言うまでもなく「インプレッション」は、Web広告における「表示」を意味する指標です。
Webサイト上に1回広告が表示されると1インプレッション(1imp)とカウントされる
(ここでは、クリックされたかは考慮しない)
このシンプルで明確な定義がWeb広告の最大のメリットであり、効果を確認する上での出発点です。
広告の表示回数(インプレッション)は、クリック率(CTR)や最終的な目的であるコンバージョン率(CVR)を測るベースとなる数値であるがゆえに、意外と見落とされがちな指標かもしれません。しかし、どんなに良い商品もユーザーに認知されなければ絶対に売れないわけで、「インプレッション」がマーケティングにおける最初の一歩であることは間違いありません。特に、新ブランドの認知度を向上させたいフェーズでは、「インプレッション」施策が重要となります。

■Webにおけるインプレッション施策の種類
Webにおけるインプレッションの各施策にも、軽く触れておきます。
・ディスプレイ広告
広告を見たユーザーが、商品やブランドを認知したり好意を抱いたりして、その後の消費行動に影響を及ぼす間接的な効果を期待する施策。ただしインプレッションが多ければOKというわけではなく、接触してもらいたいターゲットを絞って配信し、クリック率を高める必要があります。ターゲットの設定方法としては「オーディエンスターゲティング」と「コンテンツターゲティング」があります。
・リスティング広告
コンバージョン重視の広告施策ですが、キーワードの入札単価、マッチタイプ(広告表示の条件)の設定によってインプレッションのコントロールが可能。広告配信レポート結果からクリック率やクリック単価をチェックし、キーワードパフォーマンスを見て、拡大・縮小を判断します。
・自然検索
広告以外で自社商品をユーザーに知ってもらう施策。自然検索のインプレッションを高めるには、顧客ニーズに合致し、検索数の多いキーワードでのコンテンツ記事制作と上位表示が必要です。また記事をクリックしてもらうために、タイトルやディスクリプションを最適化し、クリック率を高める取り組み(SEO)も重要です。せっかく自社サイトに流入してもらうためのブログ記事を公開しても、上位に表示されなければクリックされる確率も減り、ビジネスの機会損失になります。近年のAI検索に引用される(AIO)内容であることも重要です。
・YouTube
動画版の自然検索とも言える施策。ユーザーの関心が高く自社商品と関連性も強い動画コンテンツを制作し公開します。例えば美味しいコーヒーの淹れ方を動画で紹介し、自店舗のコーヒー豆販売に結びつけるなどの方法です。YouTube内での検索やチャンネルで、サムネイルの 50%以上が 1秒以上画面に表示された場合インプレッションとしてカウントされます。YouTubeアナリティクスで、自社の動画のサムネイルが表示された回数と、サムネイルのインプレッション数が視聴回数(クリック)と総再生時間にどのようにつながったかを確認できます。
・マップ
Web上のマップサービスで、自社や自店舗を上位に表示させる施策です。ここでは例として「Googleビジネスプロフィール」を使った施策を取り上げます。「Googleビジネスプロフィール」はGoogleマップと連動しており、Google マップ内で自社や自店舗のGoogleビジネスプロフィールのアカウントを上位表示させることで露出を増やし、来店や問い合わせ、自社のブランディングにつなげることができます。これをMEO(Map Engine Optimization)と呼びます。https://www.google.com/intl/ja_jp/business/
・SNS
SNSで自社がコンテンツ情報(広告も含む)をタイムラインに投稿する(表示する)ことで、ユーザーに情報を提供し、そこからどのようなコミュニケーションにつなげるかを考える施策。企業が投稿したコンテンツが表示された回数をインプレッション、投稿が表示された人数をリーチでカウントします。ちょっと見てみようと思わせるコンテンツの投稿が、「いいね」などのエンゲージメント向上につながります。ただ単純に話題性や共感を呼ぶコンテンツで多くのユーザーに共有されても、自社商品と親和性がなければ、ブランド力の向上に結びつかないケースもあります。「バズらせるのも大変ですが、バズらせるだけでもダメ」という、難易度の高い施策かも知れません。
・メールマガジン
メールマガジンは、外部メディアが保有する顧客データに配信する場合と、オウンドメディアや顧客リストから、すでに自社と接点を持っているユーザーに配信する場合があります。メールという手段で多くの顧客に表示するわけですから、これもインプレッション施策の一つと言えます。どうやればクリックしてもらい開封率を上げることができるか、知恵の絞りどころです。
以上が、オンラインのインプレッション施策についての簡単なおさらいです。次章は、WebからTVCM・OOHまでメディアを横断して評価する統一指標「拡張版インプレッション」についての解説です。
■インプレッション指標が、Web以外のメディアにも広がった背景
Web広告で使われていた指標「インプレッション」が、なぜ他のメディアでも統一指標として採用されたのか?以下の3つの理由が考えられます。
①デジタルとリアルを行き来するユーザーの購買行動が、インプレッションの役割を広げた
「テレビCMや駅の広告で商品名を知り、WebサイトやSNSで商品情報を調べ、店舗で購入する」ようなオンラインとオフラインの垣根を超えた顧客行動が日常化したことで、広告の手法も同様に変化しました。その結果、異なるメディアの接触回数を同じ物差しで測る方法が検討されることになりました。
②クロスメディアによる広告キャンペーンが、インプレッションの役割を広げた
かつての広告キャンペーンは、「テレビCMや新聞、交通・OOH広告を見て店頭へ行く」ユーザー行動を想定したメディア設計が一般的でした。しかし上記のように顧客行動が複雑化すると、オフラインからオンラインまで各メディアの特性を組み合わせた「クロスメディア」の広告キャンペーンが主流の時代になります。そしてキャンペーンの成果をレポートする際、メディア毎にバラバラだった評価軸を一本化することで、キャンペーン全体の成果を把握することができるようになりました。
③広告の費用対効果を可視化するニーズの高まりが、インプレッションの役割を広げた
インターネット以外のマスメディア広告は、
◎TV・ラジオ=視聴率、聴取率
◎新聞・雑誌=発行部数
◎OOH・交通広告=駅利用者数、乗車人数
など、メディアの規模を数値で示すことで、接触人数の多さ=広告認知効果を推測するというものです。ただこの方法は、実際の広告接触人数を測定できる指標ではありませんでした。
デジタル広告の出現により、ユーザーの広告接触回数やクリック数・購買数などの把握が可能になり、広告投資に対する効果の数値化が広告業界全体で求められる中、テレビCMやOOH広告などオフライン広告も同一の指標(インプレッション)で評価しようとする動きが加速しました。

■Web以外のインプレッション施策
では、Web以外のメディアがどのようにインプレッション施策に取り組んでいるのか、いくつか例を挙げてみます。
◎テレビCM
GRP(延べ視聴率)をインプレッションに換算して接触回数を割り出す方法が開発され、Web広告の指標でTVCMの効果を評価するサービスが、各社から生まれています。
また、純粋なテレビCMではありませんが、TVer、ABEMA、Netflixなどに代表されるコネクテッドTVを使った動画配信サービスでは、CM視聴に対し1000回当りの表示で課金されるインプレッション課金(CPM)が採用されている場合があります。
◎ラジオCM
こちらも純粋なラジオCMではありませんが、スマホやパソコンでラジオが聴けるアプリ「radiko(ラジコ)」を介した音声広告は、Web広告と同様に位置情報や興味関心などサードパーティーデータを利用したターゲティング配信が可能です。
◎新聞・雑誌
紙メディアは従来の紙版と同時にデジタル版も発行しており、メディアによってはデジタル版の読者の方が多いケースも見られます。現状ではデジタル版での広告や紙版広告とTwitterなどSNSとの連動企画により、広告接触者数や反応を数値化しています。
◎OOH・交通広告
交通広告も、これまで効果測定が難しいとされていました。加えてコロナ禍による外出制限でリアルな利用者数との乖離もあったため、計測方法を抜本的に見直し「ビューアブルインプレッション(視認可能な広告接触者数)」を導入している広告会社もあります。以下、その事例をご紹介します。
★インプレッション単位で運用できる「DOOH(デジタルOOH)」広告
近年、交通広告をはじめとしたOOHは「DOOH(Digital Out-of-Home)」へと進化を遂げています。DOOHとは、デジタル技術を活用した屋外広告の総称で、デジタルサイネージやネットワーク配信を活用することで、より柔軟でデータドリブンな広告運用を可能にしています。
たとえばDOOHでは、
・時間帯や天候、エリアなどの条件に合わせて自動的に広告を切り替える「ダイナミック
DOOH」
・複数の街頭ビジョンをネットワーク化し、広域に同時放映を行う「シンクロ展開」
・Web広告と同様の配信管理・効果測定を可能にする「プログラマティックDOOH」
のようなアプローチができるようになっています。
当社ジェイアール東日本企画が運営する OOH のマーケットプレイス「MASTRUM(マストラム)」は、プログラマティック配信に必要な SSP と DSP を構築しており、豊富な広告在庫によって、ふさわしい場所で、ふさわしい人に、ふさわしい広告を届けるDOOH を実現しています。これは駅・電車の DOOH を取り扱うプラットフォームとしては国内最大です。
このプラットフォームを活用した、新しい広告サービスが【ターゲティングDOOH】です。
▼【ターゲティングDOOH3】つの特徴



【ターゲティングDOOH】では、位置情報データや人流データをもとに、広告接触者の属性や行動を推定できる「オーディエンスデータ計測」の仕組みも整備され、リアル×デジタルの統合的な効果検証も可能になっています。
特に駅構内や商業施設のデジタルサイネージ広告のネットワークを活用すれば、エリアマーケティングやOMO施策(オンライン×オフライン連携)とも親和性が高く、交通・街・Webを横断した統合キャンペーンにも応用することがでるでしょう。
当社【ターゲティングDOOH】についての詳細資料を公開中。以下からダウンロードできます!
また、DOOHメディア全般についての基礎がわかる「DOOHガイドブック」も同時公開しています。
■インプレッション施策のポイント
インプレッション施策を効果的に進めるポイントは、オンラインでもオフラインでも同様です。
ポイント① 表示(インプレッション)は、視認性の良さが大前提
「表示」はインターネット上の看板のようなものですが、看板がユーザーから見えない場所に置かれていては何の役にも立ちません。Webページ訪問者が視認できる 広告でなければ認知もされず、クリックにもつながらないので、視認可能が前提であるべき指標です。(これをビューアブルインプレッションと言います)この「視認可能」についての定義例として、Google広告とYahoo!広告の見解を引用します。
この指標は、広告のインプレッションが視認可能とみなされた回数を示します。ディスプレイ広告の場合は1秒以上、動画広告の場合は 2 秒以上にわたって 50% 以上の範囲が表示された広告は、視認可能とみなされます。この指標では、視認可能な場所に広告が表示された頻度を把握できます。https://support.google.com/google-ads/answer/7029393?hl=ja#:~:text
視認範囲に表示されたとみなされるのは、広告の50%以上の範囲が1秒以上連続して表示された場合です(インストリームの掲載面では、広告の50%以上の範囲が表示された状態で2秒以上連続して動画再生された場合に視認範囲に表示されたとみなされます)https://ads-help.yahoo-net.jp/s/article/H000044834?language=ja
前章でご紹介した当社【ターゲティングDOOH】でも、広告の視認可能範囲を規定した「ビューアブルインプレッション」方式を採用しています。

ポイント② だれにどこで、表示(インプレッション)するがを明確にする
広告を表示させる時、
「誰に見て欲しいのか?」
「その人は、どのような行動をする人か?」
「その人は、どのような場所にいるか?」
などを分析し、オーディエンスやコンテンツ、エリアによるターゲティング配信を行います。
※【ターゲティングDOOH】でも、同様のターゲティング配信が可能です。
ポイント③ 適切な表示回数をコントロールする
フリークエンシー(ユーザーの広告接触回数)が多いと、ユーザーへのインプレッション数が増えて認知は高まりますが、多すぎると飽きられたり嫌がられたりするリスクを伴います。表示が多ければ良いというわけでなく、表示回数をコントロールすることも重要です。
※【ターゲティングDOOH】でも、適切な広告の表示回数をコントロールできます。
ポイント④ 表示(インプレッション)をクリックに結びつける工夫が重要
「ファーストインプレッション=第一印象」という言葉がある通り、「印象」に残らない広告はスルーされてしまい、いくらインプレッション回数を増やしても、来店(クリック)に結びつかず結果的にコンバージョンを得ることはできません。コピー内容やフォントの大きさ、配色やレイアウトなどさまざまなクリエイティブ要素がユーザーのアクションを促す決め手になります。表示して終わりではなく、「印象に残す」ためにABテストなどでクリック率やコンバージョン率の改善に取り組むことも忘れずにトライしましょう。
DOOHに限らずOOH広告は、自主視認性やインパクトによる話題性の喚起において、Webメディアを圧倒します。ユニークなOOH広告から、SNSを通じた拡散や検索行動などの二次効果が期待できます。

■まとめ:インプレッションは、オンオフ広告効果を測定する統一指標へ
今回は「インプレッション」にフォーカスして、広告全般の効果測定・検証 について解説しました。
90年代、何人がWebサイトのバナー広告を見たか広告主に報告するために生まれた「インプレッション」という物差しは今、オンラインオフラインを融合しクロスメディアでの広告効果測定に活用されるようになりました。広告業界はこの用語により広い役割を持たせ、「表示」に対する効果の比較・検証を均一化しようと試みています(ただし、どこまでを視認範囲と解釈するかについての定義は、メディアにより少しずつ異なるため、より精度の高い接触人数の割り出しが今後の課題になると思われます)。
先にご紹介した当社【ターゲティングDOOH】は、ビューアブルインプレッションで延べ広告接触回数を算出しますので、Web広告とDOOH広告を同時に出稿しても、同じ物差しでその効果を比較検証することができます。その数値を参考にしながら、次回施策をチューニングすればより効果的な広告キャンペーンになるでしょう。
【ターゲティングDOOH】へのご依頼やご質問等は下記からお問い合わせください。














