【解説】ジオターゲティング広告 | 活用法、位置情報広告の最新事例

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。

今回は「ジオターゲティング広告」についてお話ししたいと思います。

ジオターゲティング広告の特徴や、活用方法、そして当社が持つ最新のソリューションをご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ジオターゲティング広告とは、ユーザーのスマートフォンやパソコンから得られる位置情報(IPアドレス、GPS情報、通信基地局、Wi-Fi、Bluetoothの接続情報など)のデータを収集し、任意のエリアにターゲティングして広告配信するマーケティング手法です。ジオターゲティング広告以外にも、位置情報広告、エリアターゲティング広告などとも呼ばれます。

位置情報で得られた行動履歴をもとに

・近くに住んでいる人

・過去に訪問したことがある人

・現在その場所にいる人

に絞って広告を配信することが可能です。

現在地や居住地、訪問履歴の情報取得が可能になることで、特定の地域や行動特性に合わせた広告を効率よく配信できるメリットがあります。

エリアを指定して広告配信するという点でオフライン広告の新聞折込チラシやポスティング広告にも似ていますが、より詳細に時間と場所を指定できる広告だと言えます。

また、新聞折込チラシやポスティング広告は基本的にそのエリアに居住している人しか対象にできませんが、ジオターゲティング広告はもっと柔軟です。

例えば、「最近1年間に、北海道に2回以上行った人」、「最近半年間に、球場で3回以上野球観戦をした人」など、特定の日時と場所と位置情報を照らし合わせることによって、ユーザーの外出行動履歴を読み解き、それに応じた広告を投下することが可能です。

居住圏内の新店舗・サービスの認知向上施策や、まさに今イベント会場にいる顕在層へのアプローチなど、状況やニーズによってさまざまな活用ができる広告手法です。


ジオターゲティング広告が成り立つ「前提」


このジオターゲティング広告という広告施策の前提になっているのは、ユーザーがPCやスマートフォンやタブレットを保有していることです。技術基盤・社会基盤としてこれらのデジタル機器とネットワークが世の中に広まったことが、この広告手法を可能にしています。

特に重要なのはスマートフォンでしょう。保有率が高いだけでなく、GPSを起動して街中を歩き回るユーザーの位置情報を収集できる、というジオターゲティング広告の強みに最も親和性の高いデジタル機器です。

日本人の多くがスマートフォンを所持しているからこそジオターゲティング広告が成立します。

日本人のスマートフォン保有率は、現在以下の通りとなっています。

(出典:令和4年通信利用動向調査の結果)


スマートフォンの保有状況は、世帯の保有割合が90.1%となり9割を超えるとともに、個人の保有割合でも77.3%と堅調に伸びています。

非常に多くの人々がスマートフォンを保有しているのですが、逆に言えば、スマートフォンを持っていない方は現在も20%以上存在します。

これらの人々はジオターゲティング広告との親和性は低くなってきますので、オフラインの広告施策を検討すべきでしょう。

またジオターゲティング広告は、データ取得の点で決して完全ではありません。GPSでの位置情報取得を許可しないユーザーも一定の割合で存在することは踏まえる必要があります。



一般的に、ジオターゲティングで位置情報を取得する方法は5つあります。

1 通信基地局

・携帯電話や無線通信などの電波を送受信している場所。

・各通信基地局から通信電波が届く範囲で所在エリアを判別。

2 IPアドレス

・ネットワーク上で通信相手を識別するための番号。インターネットアドレスとも呼ばれる。

・固定IPアドレスを基に企業・業種を特定可能。

3.Wi-Fi

・各Wi-Fiのアクセスポイントがそのまま位置情報となる。

4.GPS

・人工衛星の電波を端末が受信して現在の位置情報を表示する。

・主にスマートフォンに搭載されており、位置情報の精度は3m程度。

・前述の通り、普段、設定をオフにしているユーザーもいる。

5.Bluetooth

・Bluetoothで接続した端末から位置情報を収集。

・主にビーコンと呼ばれる機器を建物・店舗内に設置し、これにBluetoothで接続すると位置情報となる。

基本的に、後にご紹介したものほど位置情報の精度が高い=ユーザーの居場所を絞り込めるデータ取得方法となります。



これらの位置情報を利用したジオターゲティング広告にはさまざまな使い道やメリットがあります。そのうちのいくつかをご紹介しましょう。


新聞折込チラシやポスティングに比べ効率的な配信が可能


先ほども少し紹介しましたが、ジオターゲティング広告はチラシやポスティングといったオフライン広告の手法の代替となり、かつそれらよりも精緻なターゲティングができます。

折込チラシにしてもポスティングにしても、一定の区画ごとに均一に広告物を配布するものですが、ジオターゲティング広告の場合、その区画設定がより詳細です。

またエリアで区切る以外に、配信時に年齢や性別や職業といった個人の属性にセグメントして広告配信できる場合がほとんどですので、その点でも不特定多数に向けた折込チラシやポスティングに比べて効率的です。ただし、セグメントを細かくしすぎると配信量が限られてしまうことには注意が必要です。

また当然ではありますが、ジオターゲティング広告で実施エリアを絞れば絞るほど、そのエリア外の人には広告が届かなくなります。エリア設定が正しかった場合は非常に効率が良い広告となりますが、間違っていた場合は見込み顧客の広告認知やコンバージョンの機会を逸することにもなります。

ジオターゲティング広告の課金体系は「クリック課金(CPC)」か「インプレッション課金(CPM)」となりますが、クリック課金の場合は、クリックされるまで費用が発生しませんので、この点でも効率が良いと言えます。


「今ここにいる人」が分かる


ジオターゲティングは「過去にある地点を訪れた人」だけではなく、「今ここにいる人」の位置情報も分かります。主な情報源となるのはGPSですが、店舗に設置されたビーコンにBluetoothで接続したスマートフォンを位置情報として判別する、といった手法でかなり細かく位置を指定することもできます。

これを使えば、

・スーパーの近隣住民に広告を配信

・特定の店舗を訪れたユーザーにクーポン広告を配信

・特定の鉄道路線を利用中のユーザーに広告を配信

などの施策が可能です。


来店計測も可能


また、ジオターゲティング広告の媒体によっては「来店計測」も可能です。

来店計測とは、広告を配信したユーザーが実際に来店したかどうかを計測することですが、ジオターゲティング広告では「広告をクリックして来店したユーザー数」だけでなく、「広告表示はされたがクリックはせずに来店したユーザー数」も計測できます。主にスマートフォンのGPSの機能を使って確認します。

この来店計測はマーケティング施策のPDCAのために有用・必要です。実施した広告がどれだけ成果(売り上げ・コンバージョン)につながったかを測ることで、次の施策の検討ができます。

来店計測についてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。

  

移動と位置で消費者の趣味嗜好が分かる


ジオターゲティングにより位置情報が分かることは、消費者の興味関心の分析にもつながります。

例えば、舞浜エリアや水道橋エリアに休日にしばしば訪れる人がいた場合、その人はアミューズメント施設への興味関心度が高いと言えるでしょう。複数の遊園地に行っている人は別の遊園地にも行く可能性がありますので、競合のアミューズメント施設にとってはターゲット候補となります。

海に行っていたり、フェスに行っていたり、サッカースタジアムを訪れていたり、大学を訪れていたり、といった位置情報を、

・時期

・時間帯

・頻度

・居住エリア

などと合わせて確認すれば、ターゲットに近いユーザーをあぶり出すことができます。


・当地で展開するビジネスに有用


ジオターゲティングは、ユーザーの所在地を絞って広告を表示できますから、その土地・場所に関係するビジネスに有用でしょう。やはりジオターゲティング広告の得意領域はエリアマーケティングです。

つまり、例えば全国展開しているECサイトよりは、実店舗・施設で展開するビジネスの広告に向いています。

エリアではなく、主に性別・年代・職業などのデモグラフィック要素でターゲティングしたい場合は、Google広告や各種のSNS広告、マスメディアの方が向いていることも多いです。


・交通広告との組み合わせが有用


一般的に広告は複数メディアで接触した方が効果が上がります。当社ジェイアール東日本企画と野村総合研究所の共同調査でも、TVやWebのみで広告をするよりも、交通広告を掛け合わせて実施した方が、購入意向などの各種広告効果が上がることが分かっています。


エリアマーケティングに強い交通広告は、中でもジオターゲティング広告との親和性が高いです。

例えばリクルーティング広告は、ビジネス拠点があり人流も多いことから、品川駅、大井町駅、新宿駅、渋谷駅などの交通広告が使われることがあります。

これと合わせて同じエリアでジオターゲティング広告を展開すれば、オンライン・オフライン双方でユーザーに広告接触させることができ、認知・サイト訪問などの面で相乗効果が期待できます。



ジオターゲティング広告は、エリアを細かく指定して広告を打つ仕組みですが、Google広告やYahoo!広告、Facebook/Instagram、X(旧Twitter)などの各種のSNS広告といったその他のWeb広告でも、地域を指定したターゲティング広告は可能です。

ジオターゲティング広告は前述の通り、GPSやWi-Fiや基地局などのデータから位置情報を割り出すものですが、その他のWeb広告の場合は、検索履歴や過去の入力ワードやプロフィール情報から所在地を推定しています。

取得の方法やデータの質が違うことから区別して考えられるのが一般的ですが、これらも「位置情報」と言えますから、広義には「ジオターゲティング広告」の一つと言えます。メディアごとに、それが何のデータから分析した位置情報なのか、は把握しておきましょう。



取得した位置情報を用いてターゲティングするWeb広告の新たなバリエーションとして、当社ジェイアール東日本企画からは新しい計測ロジックによる位置情報広告をご紹介します。

これまでご紹介してきたジオターゲティング広告やGoogle広告などの地域ターゲティングとは異なる仕組みの位置情報を使用した広告で、その名を「JRE Ads」といいます。


・JRE Adsとは


JR東日本グループが保有する、移動や購買などのユーザーデータを運用型Web広告に活用するサービスです。

JR東日本グループが管理・運営するポイントサービス「JRE POINT」に登録されたユーザーのデータを基点に、そのユーザーの鉄道や改札でのSuica利用データや、ECサイト「JRE MALL」での買い物履歴からユーザーのターゲティングが可能です。


・JRE Adsのメリット


JRE Adsの主要なメリットは以下の2点です。

POINT 1 Suicaの移動履歴=確定データを用いた精度の高いエリアターゲティング

一般的なジオターゲティング広告は、端末や提携アプリのGPS情報を基にした「推定データ」でターゲティングを行いますが、JRE Adsでは、交通系 IC(Suica)の乗降履歴、つまり「確定データ」を基に配信を行うため、駅利用者へのWeb広告としては非常に精度が高い施策となります。



POINT 2 JRE POINTと連携するJR東日本関連サービス利用履歴を活用した独自のターゲティング

JRE Adsはエリアターゲティングだけでなく、ユーザーの属性・行動履歴を基にしたターゲティングも可能です。



JRE POINTと連携するJRE MALL、えきねっと(新幹線などの乗車券・指定席のネット予約サービス)などのJR東日本グループのサービス利用履歴からユーザーをセグメントし、リアルなターゲットの行動に沿った広告施策が可能です。外部配信媒体のセグメントとの掛け合わせも、もちろん可能です。

これらの特徴を生かしたJRE Adsには、

・特定商圏を狙ったエリアマーケティング

・特定のニーズを狙い撃つターゲティング施策

・広告効果の最大化エリアを検証するテストマーケティング

など、さまざまな活用の可能性があります。

JRE Adsの活用の仕方や事例、各種の実施条件などの詳細は以下のダウンロード資料で是非ご確認ください。




これまでご紹介してきた各種のジオターゲティング広告・位置情報広告の、位置情報の取得方法とセグメントについての違いをまとめると、以下の通りとなります。


それぞれにメリット・デメリットがありますので、課題・状況に応じて取捨選択や組み合わせをしましょう。



ジオターゲティング広告の仕組み、使い方、これに関連するWeb広告サービス、JR東日本グループ開発ソリューション「JRE Ads」について解説してきました。

ジオターゲティング広告は単体でも有用なエリアマーケティング施策ですが、広告認知の先にあるコンバージョンを目指そうとした場合は、ほかのメディアと組み合わせたりすることでより有効になります。

このコラムで紹介したJRE Adsでは、従来のジオターゲティングとは異なる形でのエリアマーケティング施策が可能です。

JR東日本グループのサービスを広告に活かすことにご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせください。

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