【行動ターゲティング広告】仕組みやメリット・デメリットを解説!

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。

今回のテーマは「行動ターゲティング広告」です。

近年Web広告の需要は飛躍的な高まりを見せ、2022年についに3兆円を突破しました。これは日本全体の広告費の43.5%にあたり、マス4媒体の合計約2.4兆円(33.8%)を優に超える金額となっています。
(出典:電通「2022年 日本の広告費」


このWeb広告の需要が高まった理由の一つに「ターゲティング」があります。
精緻なターゲティングで配信対象を絞れることはWeb広告の特長で、特にユーザーの行動を分析して、その興味関心に沿った広告を配信するという手法は他のメディアにはない優位点です。
このようなユーザーの行動や興味関心でターゲティングを行う手法を「行動ターゲティング」と呼びます。

今回はこの行動ターゲティングを活用した広告について
✓ 仕組みや特長
✓ 運用における課題
✓ 新たなターゲティング手法

まで丁寧に解説させていただきます。

・これからWeb広告の実施を検討している広告担当の方
・Web広告の新たなターゲティング手法をお探しの方
に、読んでいただきたいコラムです。

 

行動ターゲティング広告とは

 
あらためて「行動ターゲティング広告」とは、ユーザーがページを閲覧したり、検索キーワードを入力したり、広告をクリックしたりするWeb上の行動履歴から興味関心事を推測し、そのテーマに合わせて広告を配信する手法です。
例えば、自動車情報サイトを訪問したり、自動車メーカーの広告をクリックしたことがあるユーザーは「車」というジャンルに興味があると判定され、「車」関連の広告を配信するといったものです。

行動ターゲティングは、広告枠ではなく「人」(個人を特定しない)を対象にターゲットを絞る手法であることから、オーディエンスターゲティングの一つに分類されます。

参考までに、WEB広告のターゲティング手法は以下の4つに大別されます。

➀オーディエンスターゲティング(←行動ターゲティングはここ)
 「人」に対してターゲティングを行う方法
➁コンテンツターゲティング
 Web サイトやアプリの中身=「コンテンツ」とマッチする情報でターゲティングする方法
➂デバイスターゲティング
 「パソコン」「スマートフォン」の区別やOS(Android OS/iOS)を指定して広告を配信する方法
➃ジオ(位置情報)ターゲティング 
 特定の場所に「いる人」、または「これから行く可能性の高い人」をターゲティングする方法
 
 

▼行動ターゲティング以外のターゲティングについても詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

 
▼特に➃ジオターゲティングについては、こちらのコラムでより詳しく解説しています。 

 
 
 

行動ターゲティング広告の仕組み

ユーザーの行動履歴をもとにターゲティングできるのは「Cookie(クッキー)」という仕組みがあるからです。

クッキーとは、ユーザーの識別を目的として、Web上でのユーザーの行動を記録・保存しておく仕組みです。ブラウザでWebサイトを閲覧したり、情報を入力したりするとクッキーにそれらの情報が蓄積されていきます。対象となる行動は、ページの閲覧、広告のクリック、検索のキーワード、文字の入力など、さまざまです。

例えば…
・一度使用したことのあるSNSを再度開いたときに、IDやパスワードを再入力せずにログインできた
・ECサイトから買い物途中に離れてしまったが、再訪問した際に買い物カゴに商品が残っていた
・フォーム入力の際に過去に入力した住所情報などの入力が省略できた
などは、すべてこのクッキーによって享受できているメリットです。

この仕組みを広告にも流用することで、ユーザーの興味や関心にマッチするであろう広告を表示することが可能なのです。

※クッキー情報は、ユーザーが使用するブラウザを識別できるものにすぎず、ユーザーという特定の個人を識別できる情報ではありません。
 

 
 

行動ターゲティング広告のメリット

行動ターゲティング広告には具体的に以下のようなメリットがあります。
 

●コンバージョン率の向上

 
自社商品やそれに近いカテゴリーに興味関心がありそうなユーザーに絞って広告を配信することができるため、コンバージョン(最終的な成果)に直結しやすいという特徴があります。
これが最大のメリットであり、行動ターゲティングを行う意味がそこにあります。

自分にとって興味がある分野の広告が表示されると、ついついリアクションしてしまうというユーザー心理も理解できます。筆者自身も、体重の増加が気になって減量方法を検索していたら、直後にダイエット食品やトレーニングジムの広告が出てきて思わずクリックしてしまった経験があります。
 
 

●無駄なコストを抑制

 
コンバージョンする可能性が高いユーザーを狙い撃ちできる=見込みの低いユーザーへ広告配信をしなくて済む、ということになります。つまりコンバージョンにつながらない層への配信を制限できるため、無駄な広告コストの削減につながります。
これによって顧客獲得単価(CPA)を抑制することができます。
 
 
 

行動ターゲティング広告のデメリット

一方でどんなデメリットがあるかにも触れておきましょう。
 

●ユーザーに不快感を与える可能性がある

 
特定のユーザーを狙って配信することになるため、運用の仕方を間違えると、しつこく広告が表示され、同じ広告に追いかけられることで、ユーザーが不快に感じるケースがあります。わざわざコストをかけて広告を配信したのにマイナスの効果を招いてしまっては元も子もありませんよね。

適切な接触回数を事前に設定しておくなど、運用面の工夫でリスクをできるだけ未然に防ぐようにしましょう。
 
 

●配信方法が多種多様すぎて判断が難しい

 
行動ターゲティング広告の配信方法は世の中に膨大に存在します。さまざまなターゲティングがあり、メディアごとにターゲティングできるユーザー層も違い、その中から最適な方法を選んで運用するのは非常に難易度が高いことです。
配信方法を誤ると効果が出ないだけでなく、ユーザーに不信感を与えるなど悪影響を招く可能性もありますので慎重な判断が必要です。

もし自信のない方や初心者の方は、手探りで判断するよりも、経験や実績のある担当者、協力会社などに頼ってみるのも一つの手です。
 
 
 

今後の課題:クッキー規制の影響

もう一点、行動ターゲティング広告には大きな課題があることを頭に置いておかなくてはなりません。それはクッキー規制の問題です。

先述の通り、行動ターゲティングにとって欠かすことのできないクッキーですが、近年規制の動きが強まっています。このクッキー規制の背景には、サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)がプライバシーの観点で問題視されていることがあります。Webサイトを跨いでユーザーの行動を追跡(トラッキング)し続けるサードパーティークッキーは個人のプライバシーの侵害につながるとの見方が広がっているのです。

特に欧米で規制の動きが活発化する中、日本でも個人情報保護法が改正され、2022年4月に施行されました。その法改正において、クッキーなどの識別子は「個人関連情報(個人に関連する情報であって、個人情報には該当しない)」と定義され、これらの「個人関連情報」を第三者に提供、個人情報の紐づけを行う場合に本人の同意を得ることが必要となりました。

こうしたサードパーティークッキーの規制により、特に影響を受けるのがリターゲティング広告に代表される行動ターゲティング広告の領域です。これまでクッキーを活用することで得られていた情報が利用できなくなるとターゲティングの精度が低下したり、広告配信ボリュームが下がってしまう可能性があると言われています。

こういった規制への対策として、規制のかからないファーストパーティークッキー(1st Party Cookie)を使ったターゲティングに注力するといった動きも出はじめています。
 

 
▼クッキー規制については、こちらのコラムで詳細に解説しています。

 
 

行動ターゲティング広告の代表例

ここまで行動ターゲティングの仕組みや、メリット・デメリットなどを解説してきましたが、ここからは具体的にどんなメニューがあるのか、代表的な行動ターゲティングの種類をご紹介します。
 
 

●サーチターゲティング

 
検索エンジンやサイト内でのユーザーの検索キーワードをもとにしたターゲティングです。

例:直近1ヶ月以内に「脱毛」関連のキーワードを検索したユーザー
 
 

●インタレストターゲティング

 
サイト閲覧や広告クリックといった行動履歴、ECサイトでの購入履歴などからユーザーの嗜好性を判別。興味関心のあるカテゴリー別にターゲティングします。

例:キャンプに興味があるユーザー
 
 

●リターゲティング(リマーケティング)

 
自社サイトの訪問履歴・ページの閲覧履歴などをもとにターゲティングします。

例:直近1ヶ月以内に自社サイトを訪れて、商品購入に至らなかったユーザー
 
 

●類似ユーザーターゲティング

 
リターゲティングの拡張で、自社サイトを訪問したユーザーに近い行動をWeb上でしているユーザーをターゲティングする方法です。新規ユーザーの獲得策として有効です。

例:直近1ヶ月以内に自社サイトを訪れて、商品購入に至らなかったユーザーと類似のユーザー
 
 
 

最新ターゲティング広告のご紹介

上記でご紹介したものは基本的に各広告媒体側で保持しているデータをもとにターゲティングを行う方法ですが、ここにオリジナルのデータを掛け合わせることで、より精緻なターゲティングが可能となります。

具体的なサービスとして、今回は当社が開発・運用にかかわるユニークなターゲティング広告をご紹介します。
 

JR東日本データ活用ターゲティング広告「JRE Ads


JR東日本グループが保有する顧客データを用いて精緻なターゲティングを行えるWeb広告が登場しました。それが「JRE Ads」です。

JRE Adsは
・Suicaの移動データ(JR東日本の首都圏&東北エリア約600駅の乗降データなど)
・JRE POINT(JR東日本グループのポイントサービス)の利用履歴
・JRE MALL(JR東日本グループのECサイト)での購入履歴
・えきねっと(JR東日本の列車チケットのネット予約サービス)の列車予約履歴

などのJR東日本グループが保有する膨大な顧客データをターゲティングに活用します。

これらのデータと、外部配信広告媒体(Googleなど)のセグメントデータとを掛け合わせることで、これまでにない独自のターゲティングが可能となりました。
 

 
 

事例:ニュース配信サービス

 
わかりやすいターゲティング例として、活用事例を一つご紹介します。

ニュース配信サービスのサブスク会員獲得のために、出張で鉄道を利用しているビジネスパーソンにピンポイントで広告訴求を図りました。
 

 
Web上(オンライン)の行動だけでなく、新幹線改札利用などリアル(オフライン)の行動の確定データでターゲティングできることは、大きなポイントです。

この他にも、例えば…
 オンライン:フィットネス、ジムなどのWeb上の行動・検索履歴
 オフライン:Suicaの乗降履歴
を掛け合わせて、店舗近隣の駅・沿線利用者を狙うフィットネスジムの新規入会キャンペーンなどにも有効です。
 
 
このようにJRE Adsの活用事例は多数ございますので、JRE Adsについてさらに詳しく知りたい方は是非こちらの資料をご覧ください。
 

 
 
 
ちなみに…
改札利用情報などSuicaの乗降履歴を利用できることで、非常に精度の高いエリアターゲティングが可能であることもJRE Adsの特長の一つです。

エリアターゲティングに関する説明はここでは割愛しますが、ご興味のある方はこちらのコラムをご覧ください。

 
 
 

まとめ:適切な行動ターゲティングで、無駄なく、効率的な広告配信を!

本コラムを読んで、行動ターゲティングがWeb広告に欠かせない仕組みであることはご理解いただけたのではないでしょうか。
適切なターゲティングと広告運用を行えば、【無駄なコストを抑えて、コンバージョン率を上げる(=費用対効果を高める)】ことが可能です

ただ行動ターゲティングの選択肢は無数にあるので、自社に合ったターゲティング手法を探すのはなかなか大変なものです。そんなときはご紹介した「JRE Ads」の活用も是非ご検討ください。


「JRE Ads」にご興味のある方、もっと詳しく知りたいという方はこちらからお気軽にお問い合わせください。

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