【IP広告】キャラ・コンテンツをフル活用! 最新マーケティング戦略

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。

今回のテーマは「IP広告」です。

アニメやマンガ、ゲームなど、既に多くのファンを持つキャラクターやコンテンツ=IP(知的財産)を活用し、企業のブランドや商品を効果的にアピールする「IP広告」は、近年さまざまな業界で導入が進んでいます。

「そもそもIP広告って何?」

「どんな効果があるの?」

「実際にIP広告はどう実施するの?」

などの疑問をお持ちのマーケティング担当者の方もいらっしゃるかと思います。

本記事では、IP広告の基本から活用メリット、成功事例、導入のステップと注意点までを、わかりやすく解説します。

自社に最適なマーケティング施策を模索している方にとって、IP広告がどんな価値を提供できるのか、どう導入すればいいのかを具体的にイメージできる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。


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まずは改めて、「IP広告」の「IP」とは何かを確認しましょう。

IPとは「Intellectual Property(知的財産)」の略で、著作権や商標権、意匠権など、創作物やブランドに付随する法的な権利と、またその権利の対象となるコンテンツそのものを指します。広告・マーケティングの文脈では、特にアニメ・マンガ・ゲーム・映画・キャラクターなど、エンタメ系のコンテンツやそれに関連するブランドを「IP」と呼ぶケースが一般的です。

たとえば、

『ドラえもん』や『ワンピース』などのマンガ・アニメ作品

『ポケットモンスター』や『スーパーマリオ』などのゲームおよびそのキャラクター

などが該当します。

企業はこれらのIPを所有する権利者とライセンス契約をすることで、キャラクターやブランドを活用して自社の広告・販促キャンペーンなどのプロモーションを行うことができます。これがいわゆる「IP広告」と呼ばれるマーケティング施策です。

※「VTuber」はIPに含まれる?

YouTubeなどのデジタル動画配信プラットフォームを中心に活躍するVTuberは、定義上タレントでしょうか、IPでしょうか。

現状は「どちらでもある」と言えます。VTuberはキャラクターグラフィックと生身の演者が一体になったものですが、キャラクターデザインは各VTuber事務所の著作物として管理されている一方で、それを動かす(=喋る)ことができるのは原則的に交換不可能な特定の人間です。

そのため彼らはタレントとして見ることもできますし、著作権や商標権の対象となるIPでもあります。

IP広告において、権利者とライセンス契約して活用するという実務上では、VTuberとそのほかのコンテンツでは決定的な違いはありませんので、本コラムではVTuberもIPに含めて解説していきます。




IP広告は現在、国内外で急速に存在感を高めています。グローバルにヒットするIPコンテンツが増え、かつSNSを通じてファンとのエンゲージメントが取りやすくなったことなど、様々な要因が追い風となっています。

たとえば、以下のような動向があります。


国内キャラクター市場の拡大:


矢野経済研究所の調査によれば、日本のキャラクタービジネス市場は2023年に2兆7000億円近くに達し、2024年はさらに成長する見込みです。

出典:矢野経済研究所「キャラクタービジネスに関する調査を実施(2025年)」



エンタメIPのグローバル展開:


『ポケットモンスター』や『NARUTO』、『ワンピース』、『SPY×FAMILY』など、日本発のIPが世界中で人気を集めるようになりました。

2022年、任天堂のIP『スーパーマリオ』が映画化され、全世界で13億ドル(約1,900億円)を超える興行収入をおさめたのはその代表的な例の一つです。1993年に同作がハリウッドで実写映画化されたときの北米興行収入は約2,000万ドルであったとされており、数十分の一の規模でした。

出典:「『スーパーマリオ・ザ・ムービー公式サイト』全世界の累計興行収入が1,900億円突破‼」

https://mario-movie.jp/news/2023/06/26/info28/



出典:Box Office Mojo「Super Mario Bros.」

https://www.boxofficemojo.com/release/rl1583580673/weekend/



SNSの一般化:


2000年代に誕生したSNSが、現在では広く世界中で利用されるようになったこともIPコンテンツの広告効果向上に寄与しています。

キャラクターを起用した広告は古くからありましたが、広告施策がシェア・拡散され、共感がつながっていく、という機能・現象はSNS特有のものであり、これによってIP広告が持つ、「受け手の感情に訴える効果」が増しています。


Z世代・ミレニアル世代の価値観の変化:

共感や推し文化を重視する世代にとって、キャラクターやIPへの愛着は自然なものになっており、IPを起用したマーケティング施策は彼らに好印象を与えます。

特定のIPやキャラクター、スポーツやタレントを好み、それらに対して応援行動を行うことを「推し活」と言いますが、当社ジェイアール東日本企画の調査によると、15~69歳の男女のうち37.2%が何らかの「推し活」を行っています。


その傾向は、若い世代ほどより顕著です。男性15~29歳では48.2%、女性15~29歳では61.6%となり、「推し活」の主要な対象が各種のIPコンテンツとなっているのです。

「推し活」に関する調査について詳しく知りたい方は以下のコラムを参照してください。


これらのIPにまつわる状況を反映し、多くの企業が「IP広告」を新しいマーケティング手法として導入・検討しています。


マーケティング施策としてのIP広告には、キャラクターが持つ「影響力」と「感情的な訴求力」によって、以下のような心理的な効果があると言われます。

ザイオンス効果(単純接触効果):

繰り返し目にすることで好感を持ちやすくなる

感情移入効果:

キャラクターに抱いている好意が、商品やブランドにも転移する

安心・信頼感の醸成:

既知のIPによる“信頼の貸し出し”

これらを踏まえて、IP広告にはマーケティング上、以下のような4つの代表的なメリットがあります。



人気のIPコンテンツとそれを構成する要素であるキャラクターには、多数の熱心なファンがついています。

人気タレントを起用する際のメリットと同様ですが、世間に広く認知されたIPであれば、企業やブランドの認知度を短い期間で広範囲にわたって大きく向上させることができます。

IP広告の施策内容が人目を惹く興味深いものであればなお、ブランド価値は向上するでしょう。



IPコンテンツは多くの場合、特定のターゲットに対して強い影響力を持っています。そのようなIPコンテンツと自社ブランドをコラボさせたマーケティング施策を実施すると、IPのファンから注目されるので、新たなターゲット層の認知拡大や購買促進につながり、一気に新規顧客を獲得できる可能性があります。

また、人気IPとの期間限定コラボ商品や特典付きキャンペーンなどを実施すれば、ファンの購買欲は大いに刺激され短期間での売り上げ増加が見込めるでしょう。



IPコンテンツを活用した広告・プロモーションの大きな特徴の一つが「話題化」です。特別なプレゼントキャンペーンや広告グラフィック、人目を惹くプロモーションは話題になりやすく、SNSでシェアされ広告費以上のPR効果を生むことがしばしばあります。

ファンが自発的に広告コンテンツをシェアする

二次創作やコラボグッズが話題になる

ハッシュタグを通じてキャンペーン情報が自然に拡散される

といった現象が起こりやすく、費用対効果の高いマーケティング施策になり得ます。

また、企業・ブランドの既存顧客に対しても、IPのデザイン等エッセンスを商品に加えることで、普段とは異なるブランド体験を提供することができるでしょう。



ユニークなIPを広告に起用し、さらにそれが自社ブランドと組み合わさった時に納得感のあるキャンペーン施策や広告グラフィックになっていれば、広告を見る者に希少性や特別感を提供することができます。競合企業・ブランドと比較したとき、商品の機能や価格だけではなく、世界観や感情面での評価を付与できるので、大いにビジネス上の差別化になるでしょう。


IP広告の中でも特に多くの成功事例があるのが、アニメやマンガとのコラボです。これらのコンテンツは非常に多くのファンと世界観を持ち、企業のブランディングや商品訴求に大きな効果を発揮します。

以下、当社ジェイアール東日本企画の実績から、IP広告の成功事例をご紹介します。




POINT

❶ TVアニメ『ゴールデンカムイ』とコラボし、限定デザイン商品‟ゴールデンカムイ缶”を販売

❷「北海道」「食」といった共通点を活かしたコラボでSNSなどで話題化

施策内容:

北海道を舞台にしたTVアニメ『ゴールデンカムイ』とコラボし、サッポロビール株式会社の「サッポロ クラシック」限定デザイン商品‟ゴールデンカムイ缶”を期間限定・数量限定で販売しました。同時期に、専用ハガキで応募すると抽選でオリジナルグッズが当たるプレゼントキャンペーン「ゴールデンカムイと乾杯ッ!!」を併せて実施しました。

成果:

人気アニメとのコラボにより、SNSなどで多数の露出を得て話題化し、新規顧客の獲得と売上の拡大につながりました。また、「北海道」「食」といった共通点を活かした展開で、『ゴールデンカムイ』ファン、サッポロ クラシックファンの双方から共感を集めるマーケティング施策となりました。2018年から2025年現在に至るまで定期的に実施されており、息の長いロングランのキャンペーンになっています。




POINT

❶ファンの心をつかむ投稿で情報拡散を図るSNS戦略

❷駅を基点にミュージアムや店舗を巻き込んだ多角的なプロモーション展開

施策内容:

『刀剣乱舞』の主要キャラクター「燭台切光忠」の実刀が水戸の徳川ミュージアムに所蔵されていることをきっかけに、「水戸の梅まつり」の時期に合わせ、東日本旅客鉄道株式会社の水戸エリア観光キャンペーンでコラボレーション。

・JR品川駅から水戸駅を巡るスタンプラリー開催

・駅の装飾展示

・アニメ声優による駅構内放送

・キャラクターを装飾した特別列車「快速 燭台切光忠」の運行

・NewDaysでのオリジナルグッズ販売

・市内飲食店とのコラボカフェ

・徳川ミュージアムでの刀の企画展開催

など、各所の協力を得てさまざまなマーケティング施策を実施。公式Twitterを軸に話題化を図りました。

成果:

公式Twitter開設直後から、「快速 燭台切光忠」は度々トレンド入りし、描き下ろしイラストの投稿に約6万5千件の「いいね」、約4万件の「リツイート」を記録。ファンを絡めた効率的なキャンペーン情報拡散に成功しました。

キャラクターを装飾した特別列車を利用した旅行商品は即日完売、公式Twitterに増発希望が殺到するなど大盛況となりました。




POINT
❶本編から切り出した映像に、CMのためだけに用意されたシーンを加えたTVCMを制作

❷劇中、主人公がアルバイトを探すシーンで実際にアプリを使用してもらい、プロダクトプレイスメントを実現した

施策:

ディップ株式会社が運営するアルバイト・パート求人情報アプリ「バイトル」の認知拡大とダウンロード促進のため、2019年公開の新海誠監督映画作品『天気の子』とタイアップし複数のプロモーション・キャンペーンを実施しました。

TVCMでは本編から切り出した映像に、このCMのためだけに用意したシーンを加えたオリジナルCMを制作。駅や電車など交通広告も全国で展開しました。

また映画本編中、主人公・帆高がアルバイトを探すシーンで実際に『バイトル』を利用するなど、アプリのプロダクトプレイスメントを実現。

他にも「天気の子 バイトル部」と称して声優にインタビューをするアルバイト体験キャンペーンも行いました。アルバイトを通して成長する主人公と自社のサービスを重ね合わせたマーケティング施策で大きな話題となりました。

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これらの事例の詳細や、これら以外の当社マーケティング施策事例について知りたい方はキクコト「キャラ活マーケティング」の以下の資料をダウンロードしてください。





IP広告をビジネス的に成功させるためには、まず「どのIPを使うか」が最も重要な判断です。

・話題性やタイミング(アニメ放送中、ゲームリリース直後など)

多くの人にIP広告をリーチさせ、ブランド認知向上や販売促進につなげるためには、人気がある(=知名度・好感度が高い)IPを選ぶことが原則です。

そして「話題性」を意識しましょう。話題性とは、単純な「人気」とは少し意味合いが異なります。いかに知名度が高いIPであっても、アニメの放送終了から長い時間が経ってしまっているなど、時期によってはファンの熱が冷めてしまっているものもあります。

各IPには、「盛り上がるタイミング」があります。過去に一度放送されたアニメの第二期が放送されたり、劇場版が公開されるタイミングなどがそれにあたり、できればそのような時期にマーケティング施策を実施しましょう。とはいえ、自社のビジネス上の商戦期が最も重要ですので、この兼ね合いは難しいポイントではあります。


・ターゲット層とIPファン層が一致しているか 

各IPには多くのファンがおり、それらのファンが自社ビジネス・ブランドのターゲットと合致しているか確認しましょう。

IP広告は一気に新規ターゲットにアプローチできますが、自社ブランドの潜在顧客になりえない層にプレゼントキャンペーンやプロモーションでアプローチしても狙った成果を上げることはできません。


・自社ブランドと世界観が合っているか

自社ブランドとIPのターゲットが合致していたとしても、自社ビジネス・ブランドの持つイメージとIPにまつわるストーリーに親和性があるとは限りません。この点は注意しましょう。

IP広告は、IPのファンに受け入れられる必要がありますので、「この企業・ブランドならこのIPにふさわしい」と納得してもらえなければなりません。

またファンに受け入れられるかどうか以前に、IPの権利元は、自らのIPの世界観を大切にしており、親和性のないブランドとコラボしてイメージが毀損されることを避けます。互いに世界観が合っていないと判断された場合は、そもそもライセンス契約にこぎつけることが難しいでしょう。



企業がIP・キャラクターを使用するにはIPの権利者とライセンス契約を締結する必要があります。実際の使用までにはいくつかの行程があり、おおむね以下のような流れで手続きが進みます。
(使用用途や企画によっては、これらの行程は前後します)

使用申請の提出

広告やキャンペーンなどの使用目的、使用媒体、期間、想定ビジュアルなどを記載した申請書を提出します。

見積りの提示と交渉

使用料の見積もりが提示され、内容に合意すればライセンス契約準備に進みます。

契約の締結

最終的な契約書を締結し、正式に使用が許可されます。ここで利用範囲・使用期間・支払い条件などが明文化されます。

権利元による審査・監修

キャラクターのイメージを守るため、広告表現やデザイン案が審査されます。審査後に修正のやり取りが複数回発生することもあるので、スケジュールに注意しましょう。

制作・使用開始

キャラクターを使ったプロモーション・キャンペーンの制作物が完成し、使用がスタートします。

この一連の流れには、一般的に3か月~6か月以上かかるため、プロモーション・キャンペーンのスケジュールは余裕を持って進めましょう。例えば権利元にキャラクターイラストの新規描き起こしを依頼した場合、その作業だけで1~2か月程度は必要になります。

ライセンス契約のより細かい段取りや、キャラクターの使用料について知りたい方は下記のコラムを参考にしてください。




IPを活用する際は、選定後の広告クリエイティブの制作にも慎重な配慮が必要です。

・キャラクターのイメージを損なわない表現にする

・商品やサービスの内容と関連性のあるストーリーに落とし込む

・権利元による「監修・校正」があることを前提にした制作スケジュールを組む

IPと企業・商品の“文脈づくり”は成功の鍵です。ファンはIPに対して強いこだわりを持っているため、「なぜこのキャラクターなのか」が明確であるほど共感を得やすくなります。

またそのようなマーケティング施策を実施することでIP権利元からの協力も得やすくなり、広告制作やキャンペーン企画の相談がしやすくなるでしょう。

またもちろん、権利者やファンへ配慮するだけでなく、せっかく契約したIPには、ブランドのために十分活躍してもらいましょう。

シンプルなコラボ商品化やプレゼントキャンペーンだけでなく、施策に様々に工夫を凝らし、投資した費用に対するビジネス上の効果が高くなるようにプロモーションを実施しましょう。

例)

・オウンドメディアやSNS、店頭など複数チャネルでIPを活用する

・コラボ商品だけで終わらず、継続的なファンとの接点を設ける

・デジタル×リアルの組み合わせ(例:AR、店頭施策など)で体験価値を拡張する


IP広告は、「企業・ブランドの世界観をIPの力で共感させ、ファンに拡散してもらう」ために有効なマーケティング手法です。

特に、広告疲れを感じる現代の消費者には、「企業からの一方的な発信」ではなく、「共感できるキャラクターとの出会い」が購買動機になるケースが増えています。

自社のブランドや商品の魅力を、既に愛されているIPの力でどう引き出してビジネスに活かせるか?

その視点でIP広告を活用しましょう。

当社ジェイアール東日本企画が運営する「キャラ活マーケティング」では、本コラムでもご紹介した事例以外にも、IP広告に関する多数の実績があります。IP広告にご興味のある方は是非お気軽にご相談ください。


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