こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回のテーマは「キャラクタービジネス」です。
当コラムでは、キャラクタービジネスの基礎から、成功のための具体的な戦略までを詳しく解説します。キャラクターがどのようにしてビジネスの成長を支え、競合との差別化を図るための鍵となるのか、多くのキャラクタービジネスをプロデュースしてきた総合広告会社の視点からご説明します。
☑キャラクターをマーケティングに取り入れようと考えている
☑自社でキャラクター開発を検討している
そんな企業のマーケターの皆様にとって、役立つ情報を提供することを目的としています。
キャラクタービジネスとは
キャラクタービジネスを一言で説明すると、「キャラクターを用いて収益を上げるビジネス」です。キャラクタービジネスの概念は幅広く、さまざまな場面で使われる言葉ですが、その中でも以下の3パターンが代表的なビジネスモデルとして挙げられます。
●マーケティングにおけるキャラクター活用
企業がキャラクターを通じてブランドメッセージを伝えたり、製品やサービスをプロモーションしたりする手法です。
自社マーケティングにおいては、企業独自のキャラクターを使うことで、ブランドの認知度を向上させる、商品やサービスに対する消費者の親近感を高める効果が期待できます。
●キャラクター自体の商品化
作り出したキャラクターをそのまま商品として展開することも有効です。キャラクターを使ったグッズやアパレル製品は、キャラクターのファン層にとっては魅力的な商品となります。企業は、キャラクターをデザインに取り入れた限定アイテムを販売し、キャラクターそのものが新たな収益源となるビジネスモデルを構築できます。
●ライセンスビジネスとしてのキャラクター活用
キャラクターの使用権を他社に販売する「ライセンスビジネス」も、キャラクタービジネスを拡大させる有力な手法です。企業は自社キャラクターのライセンスを、他の企業が製品やサービスに使用できる権利として提供することで、直接的なキャラクターグッズの販売に加え、ライセンス料という形で新たな収益を得ることができます。
例えば、サンリオの「ハローキティ」は、多くの企業にライセンス供与され、アパレル、食品、玩具などさまざまな商品に展開されており、ライセンスビジネスの代表例となっています。この手法により、複数の産業で収益を最大化することができるのです。
キャラクタービジネスの市場規模
日本国内のキャラクタービジネス市場は年々拡大しており、2023年度の市場規模(商品化権・版権)は、2 兆6,969 億円、前年度比2.2%増との推計です。そして2024年度はさらに前年度比1.8%増の2兆7,464億円まで成長すると予測されています。
キャラクタービジネス市場規模推移
この市場規模拡大の要因の一つとして、キャラクタービジネスが「モノ消費」から「コト消費」に広がっていることが挙げられています。
キャラクタービジネスは商品化や販促・広告などのプロモーション起用だけでなく、カフェや展示会、スタンプラリー、謎解きゲーム、そのほか体験型イベントにも拡大している。この背景には、キャラクタービジネス業界内で、物販中心の「モノ消費」から、キャラクターの世界観を反映した店舗づくりやイベント実施といった顧客の体験に価値を置いた「コト消費」を重視する傾向にあることが挙げられる。
出典:株式会社矢野経済研究所プレスリリース「キャラクタービジネスに関する調査を実施(2024年)」
知っておくべきキャラクタービジネスのメリットとデメリット
自社キャラクターを作り、キャラクタービジネスに参入することは、多くの企業にとって魅力的な戦略です。キャラクターを使ったマーケティングや商品化は、ブランド認知度の向上や新たな収益源の創出に大いに役立ちます。しかし、メリットだけでなく、リスクやデメリットも存在します。ここでは、キャラクタービジネスに取り組もうとする企業が知っておくべきメリットとデメリットをご説明します。
◆キャラクタービジネスのメリット
1. ブランド認知度の向上
自社キャラクターは、ブランドの「顔」として消費者に強く印象付けることができます。キャラクターは視覚的に分かりやすく、親しみやすい存在であるため、企業のブランドや商品をより効果的に広める手段として活用できます。
SNSやデジタル広告でキャラクターを使用することでのバイラル効果も期待できます。キャラクターを使ったキャンペーンや投稿が拡散され、自然にブランドの知名度が高まるケースも見られます。
2. エンゲージメントの強化
キャラクターは、消費者と感情的なつながりを築く強力なツールです。キャラクターを通じて、企業は商品やサービスだけでなく、ブランドの価値観やストーリーをより深く伝えることができます。
キャラクターを使うことで、企業は単なる商品提供以上の価値を消費者に届けられるため、これが他社との差別化ポイントとなり、愛着・エンゲージメントを高めることにつながります。
3. ライセンスビジネスによる収益機会
人気キャラクターを生み出した企業には、ライセンスビジネスという大きなメリットがあります。自社キャラクターの使用権を他社に提供することで、ライセンス料として収益を得ることができます。
自社キャラクターが広く認知されれば、他の企業がそのキャラクターを使用したいと考えるようになります。これにより、ライセンス契約を通じて収益を拡大できる点が、キャラクタービジネスの魅力の一つです。
◆キャラクタービジネスのデメリット
1. キャラクター開発にはコストと時間がかかる
キャラクターを開発するには、デザインからマーケティング、ブランディングまで、多くのコストと時間がかかります。キャラクターのコンセプト作り、ターゲット設定、そしてそのキャラクターが持つ世界観を構築する作業は非常に重要ですが、失敗すれば大きなコストが無駄になってしまうリスクもあります。
また、キャラクターが定着するまでには時間がかかるため、短期間での成功を期待することは難しいでしょう。長い目でキャラクターを育成していくという方針を会社全体で共有しておく必要があります。
2. 消費者に響かないリスク
キャラクターを作ったからといって、必ずしも消費者に受け入れられるとは限りません。企業が投入したキャラクターが市場で期待したほどの反応を得られなかった場合、その失敗はブランドイメージにも影響を与えかねません。
例えば、過去にキャラクターマーケティングが盛り上がったものの、消費者にあまり印象を残せず、すぐにフェードアウトしてしまったキャラクターも多く存在します。コストや時間をかけたからといって必ずヒットする保証はないことは理解しておきましょう。
キャラクタービジネス成功のポイント
キャラクタービジネスを成功させるためにはいくつかのポイントがあります。魅力的なキャラクターを作ることはもちろん大事ですが、それだけでは不十分です。マーケティングの効果を最大化するためには、以下のような戦略的なアプローチが求められます。
1. コンセプトの明確化:キャラクターの「個性」を作り上げる
キャラクタービジネスで最も重要なのは、キャラクターのコンセプトをしっかりと固めることです。キャラクターが何を象徴し、どのような価値観を伝えたいのかが不明確だと、消費者に響きません。キャラクターの個性や物語、ビジュアルデザインが、企業のブランドメッセージやターゲット顧客層に合っているかどうかを最初に見極める必要があります。
キャラクターのコンセプトを作る際には、以下の要素に注目しましょう。
・ターゲット層の明確化:
キャラクターは誰に向けて作られるのか? ターゲットの年齢層や嗜好を把握することが、コンセプト策定の第一歩です。
・ブランドの価値との整合性:
キャラクターが企業のブランドメッセージを反映しているかどうかを確認しましょう。例えば、環境に配慮した商品を提供する企業であれば、自然やエコをイメージさせるキャラクターが適しているでしょう。
・物語性や背景の設定:
キャラクターにストーリー性を持たせることで、消費者との感情的なつながりが生まれます。キャラクターの生い立ちや個性、好きなもの・嫌いなものなど、キャラクターの背景をしっかりと設定しましょう。
2. レギュレーションや使用ルールの徹底:一貫性を保つ
キャラクタービジネスが成功するためには、キャラクターの使い方に一貫性を持たせることが不可欠です。キャラクターが複数のメディアや商品に展開される際、異なるデザインやメッセージが混在してしまうと、ブランドのイメージが崩れるリスクがあります。そのため、レギュレーション(使用規定)を徹底し、キャラクターがどのように使用されるべきかを明確に定めておく必要があります。
・ビジュアルの統一性:
キャラクターのデザインや色使い、フォントなど、すべての要素が一貫しているかをチェックします。例えば、オランダ生まれの人気キャラクター「ミッフィー」は、映画、グッズ、広告でデザインが統一されており、どこで見ても同じキャラクターとして認識されます。これがキャラクターの強力なブランディングにつながります。
・使用範囲の規定:
キャラクターが使用される範囲や条件を明確にします。例えば、キャラクターが商品のパッケージに使用される場合、そのサイズや配置、色の制限を細かく決めておくことで、ブランドの一貫性が保たれます。
・ライセンシーの管理:
キャラクターを他社にライセンス供与する場合、ライセンシー(キャラクターの使用権を許諾される側)が正しくキャラクターを使用しているかを監修することも重要です。ライセンス契約には、キャラクターの使用ルールを明確に盛り込み、違反がないように管理しましょう。
3. 認知度を上げる施策:キャラクターの「顔」を広める
キャラクタービジネスは、キャラクターを開発しただけでは成功することはありません。次のステップとして、キャラクターの認知度を上げ、ターゲット層にしっかりと認識されるようにする施策が必要です。
認知施策を検討する際には「トリプルメディア」の考え方を用いると効果的です。
自社のSNSやWebサイト【オウンドメディア】:
キャラクターをSNSで積極的に展開し、フォロワーとのエンゲージメントを高めることが重要です。特にSNSに関しては、キャラクター本人として発信することで個性や世界観の発信ができること、フォロワーとの交流(やりとり)ができることなどが大きな特徴です。
他社とのコラボやPR【アーンドメディア】:
ニュースメディアやコラボ相手など、第三者の発信を通じてキャラクターの認知拡大を図ります。例えば、自社のキャラクターと他社の人気ブランド・商品とのコラボレーションは、短期間で話題性を高める有効な手段です。
広告やイベント・キャンペーン【ペイドメディア】:
自社のTVCMや広告にキャラクターを登場させたり、キャラクターを中心としたイベントやキャンペーンを実施することで、消費者との接点を増やします。実施にコストはかかりますが、他の2つと比べて確実にリーチを得られるという利点があります。
上記の方法を組み合わせて、自社のターゲットや目的に合わせた露出戦略を練りましょう。例えば「お金がないからSNSだけで」は、戦略ではなく自社都合なので、望む成果は得られないでしょう。
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企業のキャラクター開発については、こちらのコラムで事例も交えて詳しく解説しています。
キャラクター開発のご相談先
ここまで成功のポイントをお伝えしましたが、いずれも経験がないと簡単に取り組めるものではありません。
ちなみに当社ジェイアール東日本企画は、これまで多くのオリジナルキャラクターコンテンツを自社で開発・プロデュースしてまいりました。代表的なものに「シンカリオン」や「とれたんず」などがあります。
またライセンサーとして、当社開発キャラクターを他社が商品化した事例も数多く存在しています。
©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/ERDA・TX
©2015 jeki/JR東日本
当社ではこれらの実績を活かしたキャラクター開発のサポートが可能です。オリジナルコンテンツ開発支援のパッケージプランもご用意していますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
他社キャラクターの活用も有効な手段
ここまで自社でのキャラクター開発を軸にキャラクタービジネスについて解説してきました。キャラクタービジネスの魅力と共に、難しさやリスクについてもご理解いただけたのではないでしょうか。特に人気キャラクターを生み出すのは容易でなく、そのためのコストと時間がかかることは多くの企業にとってボトルネックとなります。
そんなキャラクタービジネスで短期的に効果を上げたい企業へおすすめしたいのが、他社保有キャラクターの活用です。他社保有キャラクターの活用には、自社開発キャラクターとは違うメリットがあります。
まず自社キャラクターのように作ったり育てたりする必要がありません。時間をかけずに即キャラクターの人気にあやかることができます。すでに知名度があったり、ファンがいるキャラクターを活用すれば、これまで自社と接点がなかったキャラクターファンを自社の新規顧客として獲得できる可能性が生まれます。
また活用するキャラクターの人気次第で、ある程度の効果を見込めるので、売り上げなどの見通しも立てやすくなります。
上記以外にも、他社キャラクターの活用に関する基礎情報やノウハウを網羅した資料をご用意しています。ご興味のある方はこちらからダウンロードしてみてください。
また当社ジェイアール東日本企画は、これまで数多くの企業とキャラクターのコラボプロモーションを手掛けてきました。販売促進プロモーションや商品化のプロデュースはもちろんのこと、大型イベントや各種メディアを絡めた広告展開まで幅広い実績があります。
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