
こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回のコラムでは人事、採用担当者が採用を成功させるための、最新の採用活動の流れと成功のポイントを紹介します。
人事、採用担当者が知っておくべき基礎知識をまとめた参考書
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1.採用活動の全体像を理解しよう
1-1. 採用活動とは?企業成長に直結する重要なプロセス
採用活動とは、企業が自社の目標達成や事業成長を実現するために、必要な人材を見つけ、惹きつけ、採用する一連のプロセスを指します。
単なる「人を採る」作業ではなく、企業の未来をつくる戦略的活動です。
2025年の労働市場では、少子高齢化とスキルシフト(AIやデジタル人材需要の高まり)が同時に進行しており、採用難はますます深刻化しています。リクルートワークス研究所のデータによれば、2024年度上半期の中途採用で必要な人数を確保できなかった採用未充足企業の割合は過去最高値を更新しました。企業間の「人材争奪戦」は年々激化しています。

出典:株式会社インディードリクルートパートナーズ「中途採用実態調査」(2024年度実績、正規社員)(https://www.works-i.com/surveys/item/250617_midcareer.pdf)
このような状況の中で、採用担当者が果たす役割は極めて重要です。単に人材を集めるだけでなく、「採用=企業ブランディング」という視点が求められるようになっています。
応募者は求人情報だけでなく、企業文化や働き方、社会的価値への共感を重視しており、「どんな人を採るか」は同時に「どんな企業でありたいか」を問うことにもつながります。
1-2. 採用担当の役割と求められるスキル
採用担当者の業務は、求人票作成や面接調整だけではありません。
現代の採用担当は、マーケティング×データ分析×人事戦略の複合的スキルを求められます。
代表的なスキルは以下のとおりです。
① 採用戦略の設計
事業戦略と人員計画を結びつけ、「どの職種を・いつ・どんな方法で採るか」を設計します。経営陣と現場の橋渡し役でもあります。
② 応募者体験(CX:Candidate Experience)の管理
応募者にとっての体験を最適化することが、採用成功の鍵です。応募後のレスポンス速度、面接での対応、内定後のフォローなど、細部までの配慮が求められます。
③ 採用ブランディングの策定
自社の理念やカルチャーをもとに、「この会社で働きたい」と感じてもらう採用ブランドをつくります。理念や社員のリアルな声を言語化し、共感を生むメッセージを発信します。
④ 採用広報の設計
採用ブランディングで定めたメッセージを、採用サイトやSNSなどで効果的に発信します。ターゲット層に合わせたチャネル選定とコンテンツ設計により、共感と応募意欲を高めます。
⑤ データドリブンな改善
採用チャネルごとの応募数、内定率、定着率などをデータ分析し、PDCAを回すことで、より効果的な採用活動を継続的に実現します。
1-3. 最新の採用トレンド(2025年版)
2025年の採用トレンドとして、企業の認知向上から考える「採用ブランディング」の考え方が広まりつつあります。
人材争奪戦である厳しい採用環境の中、従来の求人広告や採用サイトに掲載するだけでは応募を集めにくくなり、「どんな想いで働く会社なのか」を伝えることが採用成功の鍵となっています。
採用ブランディングを強化することで、企業の理念やカルチャーに共感する人材が集まり、ミスマッチの少ない採用が実現します。
また、長期的には社員のエンゲージメント向上や定着率の改善にもつながるため、多くの企業が戦略的に取り組みを進めています。
採用ブランディングを行う際の具体的なコンセプトやメッセージの作り方については、『採用ブランディングはじめてガイド』で詳しく解説しています。
詳しく知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。

2.採用活動の基本ステップ
採用活動は、感覚的に進めるものではなく、体系的なプロセス設計が成功の鍵です。
ここでは、代表的な3つのステップ(採用計画 → 募集・応募管理 → 面接・選考・内定)に分けて解説します。
2-1. 採用計画の立案:求める人材像と採用スケジュールを明確に
採用活動の出発点は「採用計画」です。
ここが曖昧なままだと、応募者の質も定着率も下がってしまいます。
まず行うべきは、採用要件定義。
現場のマネージャーと密にコミュニケーションを取り、「どんな成果を出せる人が必要か」を具体化します。
たとえば、「営業担当が足りない」ではなく、
→「新規開拓営業で月50件の商談を生み出せる人材」
→「既存顧客のアップセル率を10%高められる人材」
といったように、成果に基づいた人材要件を定めることが重要です。
また、採用スケジュールも逆算で設計します。
募集開始から内定承諾までを見越して、半年単位で採用計画を立てるのが理想的です。
新卒採用のスケジュール設計に関しては、以下のコラムでも詳しく紹介しています!
加えて、採用コストの把握も不可欠です。
求人広告、人材紹介手数料、採用管理システム、面接交通費など、1人あたりの採用単価を算出しておくことで、費用対効果の見える化が可能になります。
2-2. 募集・応募管理:求人媒体選定と応募者対応のポイント
採用計画が決まったら、次は「どこで・どのように」候補者を集めるかです。
・求人媒体の選定
代表的な採用チャネルは以下の通りです。
求人広告媒体
→ 広く母集団形成が可能だが、応募者対応の手間が増える。
ダイレクトリクルーティング(例:ビズリーチ、Wantedly)
→ 企業からスカウトを送る能動的採用。スキルマッチ度が高い。
SNS採用(例:X(旧Twitter)、Instagram、LinkedIn)
→ 企業文化やリアルな雰囲気を伝えるのに有効。特に若年層採用に強い。
これらのチャネルで企業が求める人材に合致する質の良い大きな採用候補者グループを作り上げていく活動全般を「母集団形成」と呼びます。
母集団形成に関しては、以下のコラムでも詳しく紹介しています!
・ 応募者対応のスピード
応募後の企業からの連絡が遅くなると、候補者の辞退率は急増するため、採用担当者にはスピーディーなレスポンスが求められます。

出典:【2025年7月イーアイデム会員対象 仕事探しに関するアンケート調査】(https://apj.aidem.co.jp/upload/chousa_data_pdf/549/aidem20250909.pdf)
採用管理システム(ATS)を導入することで、応募者情報を一元管理し、自動返信メールや面接スケジュール調整も効率化できます。
2-3.採用ブランディングを意識した選考プロセス(面接~選考~内定)
応募者にとっては選考の一つひとつが企業のブランド体験になります。
応募者は面接での対応や選考スピード、内定後のフォローから企業文化を感じ取っているため、すべての採用接点で「自社らしさ」を伝える設計が必要です。
・面接:企業の価値観を体現するコミュニケーションを
面接は応募者が企業と直接対話する最初の接点であり、企業ブランドを最も体感できる瞬間です。スキルだけでなく、応募者の価値観や共感度を見極めることが重要です。
・選考:スピードと透明性がブランドイメージを左右する
選考プロセス全体の体験設計は、採用ブランディングの中核です。レスポンスの遅れや曖昧な連絡対応は「この企業は対応が遅い」「誠実さに欠ける」といった印象を与えるリスクがあります。
選考過程でのスピーディな対応、丁寧なフィードバック、応募者へのリスペクトある対応が、企業ブランドを高める鍵です。
・内定:フォロー施策で「共感と信頼」を定着させる
内定通知後は、候補者が他社と比較検討するフェーズです。
ここで重要なのは、「この会社で働く自分をイメージできるか」を後押しするフォローです。
内定者向けの座談会や社員交流イベントなどを通じて、入社後の姿を具体的に描けるようにします。
こうした取り組みは、内定辞退率を下げるだけでなく、入社後のエンゲージメントを高める効果もあります。
つまり、内定後の対応もまた、企業の“採用ブランド体験”の一部なのです。
3.採用を成功に導くポイント
採用活動を「やってみたけど、なかなか良い人が来ない」と感じる企業は少なくありません。
しかし、採用成功企業に共通しているのは、「採用ブランディング」「面接力」「データ活用」の視点を取り入れていることです。
ここでは、それぞれを具体的に解説していきます。
3-1. 自社の魅力を言語化する「採用ブランディング」の重要性
まず最初に取り組むべきは、「自社の魅力を整理し、発信すること」=「採用ブランディング」です。
近年の採用では、求職者が企業を選ぶ基準が変化しています。
かつては「給与」「勤務地」「安定性」が重視されていましたが、
「自分らしく働けるか」
「企業の価値観に共感できるか」
「社会的に意義のある仕事か」
などが重視される傾向もあります。
つまり、採用担当者は求人票でスペックを並べるだけでなく、
「なぜこの会社が存在するのか」「どんな未来を描いているのか」を言葉で伝える必要があります。
自社の魅力を明確にし、ターゲットに合わせた適切な手段で発信・改善を重ねること(=採用ブランディング)が、長期的な採用力の強化につながります。
採用ブランディングの進め方は、以下の資料で詳しく紹介しています!

3-2. 面接官トレーニングで評価のばらつきを防ぐ
採用における失敗の多くは、「面接での評価があいまい」なことから生まれます。
面接官が複数いる場合、「この人いいね」「いや、ちょっと違うかも」といった主観的な判断に陥りがちです。
これを防ぐには、面接官トレーニングが不可欠です。
採用担当が率先して面接官にトレーニング資料を共有し、「採用の目的」と「評価軸」をそろえることで、採用の精度が劇的に上がります。
3-3. データ活用で採用効果を高める「採用DX」の実践法
感覚に頼らない採用活動を行うには、データの活用が欠かせません。
これは「なんとなく良さそう」ではなく、「数字で可視化して判断する」採用のことです。
| 指標 | 意味 | 改善につながる活用法 |
|---|---|---|
| 応募経路別応募数 | どの媒体から応募が来ているか | 効果の低い媒体を削減し、コスト最適化 |
| 内定率・辞退率 | 選考の通過率を把握 | 面接プロセスの改善点を特定 |
| 入社後定着率 | 採用の質を可視化 | 面接評価項目の見直しに反映 |
| 採用リードタイム | 採用にかかる日数 | 業務効率化・スピード対応の改善 |
採用担当者がデータを味方につければ、「再現性のある採用」を実現することができるようになります。
4.採用担当が今すぐ実践すべき改善アクション
ここまでで、採用活動の基本と成功のポイントを整理してきました。
最後に、明日から実践できる改善アクションを3つ紹介します。
4-1. 応募者体験(CX)を高めるコミュニケーションの工夫
今の採用活動では、「応募者体験(Candidate Experience:CX)」が何より重要です。
採用プロセスで応募者が感じる「印象」や「満足度」が、最終的な入社意欲に直結します。
つまり、同じ条件でも「応募者体験(CX)」で採用成果は大きく変わるということです。
・レスポンスを早く、誠実に
応募後すぐに自動返信メールを送り、面接日程の調整もスムーズに行う。
・選考過程の“見える化”
「今どの段階にいるか」「次のステップはいつか」を明確に伝えることで安心感を与える。
・応募者へのフィードバックを丁寧に
選考結果の通知メールにも、「今後のご活躍を応援しています」など一言添えるだけで印象が大きく変わります。
これらの小さな工夫が、応募者に「この会社は人を大切にしている」と感じさせ、入社意欲を高める結果につながります。
4-2. 内定辞退を防ぐためのフォローアップ施策
内定を出しても辞退されてしまっては意味がありません。
特に近年は複数社内定が当たり前の時代。辞退率を下げるには、内定後のフォローが勝負です。
・内定者専用のコミュニティを作る
SlackやLINEオープンチャットなどを使い、内定者同士や先輩社員との交流機会を設ける。
・定期的なフォローメール・面談
入社までの不安を解消するために、月1回のオンライン面談を設定。
フォローを「営業的」と捉えるのではなく、「入社をサポートするプロセス」として捉えることが重要です。
4-3. 継続的に改善するための採用KPIと振り返り方法
採用は一度きりのイベントではなく、継続的に改善していくサイクルです。
そのためには、定量的なKPI(重要指標)を設定し、定期的に振り返ることが不可欠です。
KPIは「結果」だけでなく「プロセス」を測ることがポイントです。
また、振り返りの際には、採用チーム内で共有・議論する文化をつくることが重要で「成功した理由」「失敗した理由」を可視化し、ナレッジとして残すことで、採用ノウハウが社内に蓄積されていきます。
採用を「属人的な経験」から「再現可能な仕組み」に変えること。
それこそが、採用担当者が企業に提供できる最大の価値です。
まとめ
採用活動は、単なる「人事業務」ではなく、企業ブランドを育て、事業を成長させる戦略活動です。
市場が変化し続ける今こそ、人事、採用担当者が採用を成功させるには「採用ブランディング」「面接力」「データ活用」の3軸が不可欠です。
特に「採用ブランディング」は、短期間で成果を出すことは難しいものの、継続的な情報発信によって応募者の質や採用活動全体の効率を高められ、長期的な採用力の強化につながります。
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