8,000億円規模!?「推し活」市場を徹底解説

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。

今回のテーマは「8,000億円!? 推し活市場を徹底解説」です。

近年、特に若者を中心に広がりを見せている「推し活」。これは、自分が特に応援したいキャラクターやアーティスト、スポーツ選手などを熱心に支持し、様々な形で表現する活動を指します。推し活は、単なる趣味に留まらず、コミュニティの形成や経済活動にまで多大な影響を与える存在となっています。
本記事では、推し活の市場規模市場拡大の要因について詳しく解説し、消費行動の特徴マーケティング戦略のポイントも紹介。推し活の魅力やその背後にある市場の動向を理解することで、企業がどのようにマーケティングに活用するべきかを探っていきます。

推し活を自社商品のマーケティングに活用できないかと考えているマーケターの方にお役立ていただける情報です。


 
 

推し活とは

「推し」と「推し活」

 
そもそも「推し」とは、特定のキャラクター、アイドル、スポーツ選手、ブランドなど、熱心に応援する対象を指す言葉です。「推し」はファンにとって、感情的なつながりや共感を得られる存在であり「応援したい」「支えたい」という気持ちが強い対象に使われます。

「推し活」とは、この推しを応援するために自主的に行う活動全般のことです。

この活動は、単なる趣味や娯楽の域を超え、ファン同士の交流や経済活動にまで影響を及ぼしています。推し活は、推す対象を通じて個人のアイデンティティを形作り、自己表現の一環として位置付けられる活動となっています。
 
 

 
推し活の形は様々です。以下に、代表的な推し活のスタイルをいくつか紹介します。
 

・推しに関連する商品を購入する、集める
・ライブや舞台、イベントなどに参加する
・SNSで推しに関する発信をする
・作品の舞台やロケ地などへ行く(聖地巡礼)
・推しのグッズを持って写真を撮る(ぬい撮り、アクスタ撮影)
・推しのイメージカラーの商品を購入する
・推しの二次創作(イラストや動画制作)を行う
・ファン同士がお金を出し合って推しの広告を掲出する(応援広告)

 
このように、推し活は個々のファンのスタイルや価値観に応じて多様に展開されており、それぞれの楽しみ方があることが魅力です。
 
 

「推し」と「好き」の違い

 
「推し」と「好き」という言葉には微妙な違いがあります。「好き」というのは、一般的に何かに対する好意や魅力を感じることを指しますが、「推し」はその好意をより強く、情熱的に表現することを意味します。

例えば、好きなアーティストがいる場合、その音楽やパフォーマンスを楽しむことが「好き」に該当しますが、コンサートに毎回足を運び、グッズを集め、SNSで応援メッセージを発信していたら「推し」と言えるでしょう。
 
但し、推しに対する気持ちや推しを応援する方法は多種多様であり、推し活を一括りには出来ないという点は理解しておくべきです。
 
 
 

推し活の市場規模

推し活を理解したところで、続いて推し活の市場規模を見てみましょう。
 

市場規模はなんと8,000億円!

 
矢野経済研究所の「オタク」市場に関する調査によると、2023年の「オタク」市場全体の市場規模は約8,176億円に上ると見込まれています。
「オタク」=「推し活」と単純に置き換えることはできませんが、オタク市場と推し活市場が近しいものであると捉えた場合、推し活市場も8,000億円規模の市場ポテンシャルがあると言えそうです。
(推し活の主要ジャンルであるアニメ・アイドルの2分野だけでも4,650億円の市場規模となっています。)
 

出典:株式会社矢野経済研究所/ 『 オタク 』 市場に関する調査( 2023 年) をもとに作成

 
 
これらの数字は、推し活が一過性のトレンドではなく、確固たる経済活動としての地位を確立していることを示しています。
市場規模の拡大は、特に若年層を中心とした消費者の増加によって支えられています。推し活は、もともとアニメやアイドル文化を背景に持つファン活動でしたが、最近では一般の若者にも広がりを見せており、より多様な商品やサービスが提供されています。これにより、企業は推し活市場を重要なターゲットとして捉え、マーケティング戦略を練っています。
 
 

15~69歳男女の約4割が推し活経験あり

 
当社ジェイアール東日本企画が運営する応援広告事務局「Cheering AD」の調査では、15~69歳男女の37.2%が推し活経験があるという結果が得られました。

特に高かったのは15歳~29歳女性で、約6割が推し活経験があると回答。メインの推し活実施者層は10~20代であることから、推し活はZ世代へのアプローチにも有効です
 

 
一方で50~60代男女も約4人に1人が経験ありと回答しており、幅広い世代で推し活を経験しています。そういった意味では、推し活はもはや特定の熱狂的な層だけのもの、若者だけのものではなく、多くの生活者に当てはまるものだと言えるでしょう。
 
 
 

推し活市場拡大の要因

推し活市場が急速に拡大している背景には、いくつかの重要な要因が存在します。これらの要因を理解することは、企業がこの市場で成功するための鍵となります。ここでは、推し活市場の拡大を促進している3つの主な要因について詳しく解説します。
 
 

SNSの普及

 
推し活市場の拡大に大きな影響を与えている要因の一つは、SNSの普及です。特に、TwitterやInstagram、TikTokなどのプラットフォームは、ファン同士が情報を共有し、交流する場を提供しています。

SNSを通じてファンは推しに関する情報を即時に発信し、共通の関心を持つ仲間とつながる機会を得ています。例えば、推しの最新情報やイベント情報をシェアすることで、他のファンとつながりやすくなり、コミュニティが形成されます。特に、ファンアートや動画、レビューなどのコンテンツは、SNS上でバイラルに広がりやすく、推し活への関心を高める要因となっています。
 

 

イベント・コラボレーションの増加

 
二つ目の要因は、イベントやコラボレーションの増加です。ファンイベントや特別企画の実施は、ファンの関心を引きつけ、推しへの愛情をさらに深めるきっかけとなります。

近年、アニメやゲームのイベントが盛況で、ファンミーティングやコンサート、展示会などが頻繁に開催されています。これらのイベントでは、直接推しと触れ合える機会が提供されたり、ファン同士の交流も活発になります。たとえば、特定のアーティストのコンサートに参加することで、同じ趣味を持つ仲間と出会い、一緒に盛り上がることができます。

また、企業が推しのキャラクターやアーティストとコラボレーションした商品を販売するケースも増えており、コラボ商品はファンの購買意欲を刺激します。これにより、推し活が新たなビジネスチャンスを生み出し、市場全体の拡大につながっています。
 

 

 
コロナ禍は、推し活市場にも影響を与えました。感染症対策のため、リアルイベントが制限される中、オンラインイベントやデジタルコンテンツが急増しました。この変化は、推し活のスタイルを大きく変えることとなりました。

特に、オンラインコンサートやバーチャルファンミーティングの開催は、物理的な制約を超えて、全国各地からファンが参加できる機会を提供しました。このような新しい形態のイベントは、ファン同士の距離を縮め、より多くの人々が推し活に参加するきっかけとなりました。実際、あるアーティストがオンラインコンサートを開催した際、地理的制約を受けないため、通常のコンサートでは考えられない規模の参加者を集めました。

また、コロナ禍を経て、オンラインでの交流が日常的になったことで、SNS上での情報発信やファン同士のつながりもより一層強化されました。これにより、推し活市場は新たな成長のステージを迎えていると言えます。
 
 
 

推し活の消費行動の特徴

推し活に関連する消費行動には、次のような特徴があります。それぞれの特徴を理解することで、推し活市場へのアプローチを最適化できます。
 
 

収集性

 
推し活の消費行動の一つの特徴は、「収集性」です。ファンは、自分の推しに関連する商品を集めることを楽しむ傾向があります。これには、フィギュアやキャラクターグッズ、CD、アートブックなどが含まれます。多くのファンは、特定のアイテムを手に入れることで、推しとの絆を深めたり、自分自身のコレクションを充実させたりすることに喜びを見出しています。

この収集性は、企業にとって重要なマーケティングポイントです。数量限定の商品やコラボレーションアイテムを展開することで、ファンの購買意欲を刺激し、売上を増加させることができます。
 
 

コミュニティ化

 
推し活のもう一つの特徴は、「情報共有と共感」です。ファン同士はSNSやフォーラムを通じて、自分の推しに関する情報をシェアし、意見交換を行います。このような活動は、コミュニティを形成し、ファン同士のつながりを深める要因となります。

冒頭の推し活スタイルでも触れましたが、ファン同士のコミュニケーションがコミュニティを形成し、それが大きなムーブメントを起こす一つの例として「応援広告(センイル広告)」があります。
「応援広告」とは、ファン同士が協力してお金を出し合い、駅のポスターや街頭ビジョンなどに自主的に推しの広告を掲出するものです。多くのファンが賛同することで、時には数百万円する高額な広告枠に広告を出すケースも見られます。

 

体験重視

 
最後に、推し活の消費行動には「体験重視」という特徴があります。近年「モノ」消費から「コト」消費への変化が注目されていますが、推し活においてもこの傾向が強く当てはまります。
多くのファンは、単に商品を購入するだけでなく、推しとの関連がある体験を求めています。これは、コンサートやファンミーティング、展示会などのイベント参加を通じて実現されます。
推し活の中で得られる経験は、ファンにとって特別な思い出となり、その体験がファン活動のモチベーションを高めます。企業はこの体験を重要視し、イベントの企画や体験型プロモーションを通じて、ファンとの関係を強化する戦略を考える必要があります。
 

 
 

推し活をマーケティングに活用するポイント3つ

推し活をマーケティングに活用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
 

推しと自社商品との親和性

 
ファンの共感を得るためには推しと商品の接点・関連性が重要です。取って付けたような組み合わせではファンを動かすことはできません。
例えば、推しのイメージカラーと商品カラーを結びつける、推しのイメージやストーリーを商品に組み込むなどが効果的です。ファンは自分の推しと関連性のある商品に対して特別な愛着を持つので、それが支持・購入につながります。
 
 

推しを主役にした企画

 
推しを前面に出した企画はファンから高い関心を集めやすいです。企業の立場としては、どうしても自社の商品・サービスをアピールしたくなってしまいますが、推し活ファンを動かすためにはそこをグッと我慢。
推しの扱い方が悪いと逆にファンからの反感を買う場合もあるので、推しを応援したいというファンの気持ちを尊重した企画にしましょう。
 
 

SNSでシェア・拡散したくなる仕掛け

 
ファンは自分の推しに関する情報や体験をシェアしたがる傾向があるため、企業はその気持ちを刺激する仕掛けを考える必要があります。
例えば、ハッシュタグ付きの投稿や、商品と一緒に撮影した写真を投稿するようなキャンペーンの開催が有効です。通常のキャンペーンと違ってインセンティブだけが目的ではなく、「もっと多くの人に知って欲しい」「推しのために広めよう」という気持ちが拡散のモチベーションになることは推し活ならではの特徴です。
 
 




まとめ:「推し活マーケティング はじめてガイド」無料配布中

推し活は、単なる趣味やライフスタイルを超え、企業のマーケティング活動にとっても重要なチャンスを提供する市場に成長しています。SNSの普及やイベントの増加、そしてコロナ禍での消費行動の変化により、推し活市場はますます多様化しています。
特に、ターゲットの推し活心理を理解することは企業が推し活をマーケティングに活用する上での重要なポイントです。推し活の特徴を理解し、それをマーケティング施策に上手に反映すれば、より高い効果を得ることが可能です。

当社ジェイアール東日本企画は、応援広告のリーディングカンパニーとして、数々の推し活をサポートしてまいりました。その知見を活かした「企業の推し活マーケティング」の支援に力を入れています。

これから推し活を自社のマーケティングに活用しようと考えている方に向けて「推し活マーケティング はじめてガイド」をお配りしています。是非ご活用ください。
 

 

 
 
また推し活マーケティングについてのご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。
 

 
 

 
 
 
 

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