最新調査で見えた!「推し活マーケティング」の未来

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。

今回は、当社ジェイアール東日本企画による「推し活」に関する調査結果をご紹介します。

近年、日本における「推し活」(ファンによる著名人やキャラクターコンテンツを対象とした応援活動)は急速に広がりを見せています。ファンが自分の「推し」(応援する対象)を支えるために行う様々な活動は、経済にも大きな影響を与えています。最新の調査結果をもとに、推し活がもたらすビジネスチャンスについて考察します。

当社独自の調査結果および考察となっておりますので、ぜひ皆さんのマーケティング活動に役立ててください。

※以下、調査結果は特に注意書きがない場合を除き、いずれも当社が運営する応援広告実施支援事務局「Cheering AD」が行った2023年12月から2024年1月にかけての調査に基づくものとなります。

まず、自分の「推し」が存在する人がどれくらいいるのかを見てみます。


「推し」がいる人は51.3%と、2人に1人は何らかの推す対象があるという状況です。

加えて、性年代別で見てみると、以下の通りとなります。


男性15~29歳で61.2%、女性15~29歳で68.4%となっており、とりわけ20代以下の世代は推しがいる割合が多くなっています。

ただし、最も少ない女性60代でも、推しがいる人の割合は41%となっており、ボリュームはかなりあります。男性女性問わず、日本人全体にとって「推し」という存在が大きなものであることがうかがえます。


それでは実際に「推し活」を経験したことがある人はどれくらいいるのでしょうか。

アンケートの結果は以下の通りです。


15~69歳男女の約4割に、推し活経験があります。

こちらも若い世代ほど割合が高い傾向にあり、特に15~29歳の女性では約6割と、他の性年代に比較して非常に高くなっています。

推し活の具体的な中身がどのようなものか、推し活をしている人々が実際にどのような活動をしているのかを見てみます。


「映像鑑賞」が57.5%で最も多い結果となりました。
次いで「コンサート・舞台・試合などへの参加」というリアルイベントへの参加が47.1%。

これに「グッズ購入」、「書籍購入」、「公式ファンクラブ参加」、等が続きます。

注目すべきは「推しが広告出演する商品を買う」が24.0%、「推しが出演する企業広告を見に行く」が19.0%で、推し活の中でも目立った行動の一つになっていることです。

推し活はコンテンツや著名人を直接の対象とした活動や消費行動にとどまらず、推しに関連する企業のビジネスやマーケティング活動にも影響を及ぼすことが分かります。


それでは、推し活を行っている人は、実際にその活動にどれくらいお金を使っているのでしょうか。

(n=7142)

推し活を行っている人が、推し活に関連して消費するひと月当たりの金額を見てみると、1か月3,000円未満が54.8%とボリュームゾーンになっています。多くの人が、生活費やお小遣いの範囲内で推し活を楽しんでいる姿が想像できます。

一方で、月に10万円以上を推し活に費やす人々も1.8%存在します。これらの、推しに対して高額の消費行動を行うヘビーユーザーは、推し活の経済的なインパクトを示す象徴的な存在となっています。個々人の経済状況や活動内容によって投資する金額に幅があるのも推し活の特徴です。


次に、「推し」の対象が何かを見てみましょう。

性年齢別に、どんなジャンルが推しの対象となっているか、ランキングで見てみます。


結果を見渡すと、男性の推し対象は「スポーツ選手/チーム」がほとんどの世代で1位となり、その割合も2位以下を引き離して大きくなっています。

一方、女性の推し対象は、女性30代では「アニメ・漫画のキャラクター」、女性40代・50代では「アーティスト/バンド」、女性60代では「スポーツ選手/チーム」など、世代によって推しジャンルはバラバラで、2位以下との割合の差もあまりありません。

最も推し活に熱心な若い世代では、男性15歳~29歳で「YouTuber」が1位。女性15歳~29歳では「日本のアイドル」となっています。ただし女性でも2位の「YouTuber」は20%を超える割合であり、若い世代におけるYouTuberの影響力の大きさが分かります。


推し活の中でも、特に熱いファンによる活動の一つに「応援広告」があります。

これは、ファンが推しの誕生日や記念日をお祝いしたり、他の人への「推しの宣伝=布教」を行ったりする目的で、ファン自身が出資して広告を行うものです。

広告費は個人で賄うには高額な場合が多いため、ファン同士が集って必要資金を出し合うケースが多くなっています。

「応援広告」の認知率についての調査結果は以下の通りです。


応援広告の認知率は、推し活経験者の4割以上です。

そしてここでも、男女15~29歳の推し活経験者での認知率は6割超、と若い世代で際立って高くなっています。


ファンはしばしば長距離移動を伴う推し活(遠征)をしますが、その目的の一つに「応援広告を見に行くため」が含まれます。応援広告を見に訪れた人のうち、4人に1人が遠征によるものである、応援広告は、それを実施する当事者以外のファンにとっても一つの「推し活トピックス」となっています。

応援広告は成長市場です。以下は応援広告のポテンシャル市場についての調査結果です。


当社の調査結果から、「応援広告に使用してもよい金額」と「応援広告を実施してもよいと考えている人」を掛け合わせ、日本人の人口に拡大推計した結果、応援広告のポテンシャル市場は377億円となり、22年度の調査時の数値よりも大きくなっています。


また、当社の応援広告実施事務局「Cheering AD」で実際に応援広告を実施していただいた方へのアンケートによると、応援広告にかける1年間の費用は以下の通りです。

出典:jeki応援広告事務局「Cheering AD」による「推し活・応援広告調査2022」


5,000円未満から10万円以上まで、かけるコストは人によって異なり、応援広告への参加は幅広い金額感で行われていることが分かります。

推し活ライト層も推し活ヘビー層も、どちらでも参加できる活動となっています。


応援広告はファン同士のつながりを強化する働きがあります。

応援広告を見に行ったファンの50%以上が「ファン同士のつながりが深くなった」と回答し、見に行った応援広告の写真をSNSに投稿した人は53.8%。

応援広告は、実施の声掛けをする主催者、広告費の出資者以上に、それを見に行ったファンの人々にとって、ファン同士のつながりを感じさせるものとなっています。


推し活を行っている人による、推しに関するSNSの投稿頻度は以下の通りとなっています。


週に1回以上SNS投稿を行う人が26.9%いる一方で、SNSでは推しの情報収集を行うだけ(見るだけ)で自ら発信は行わない人も半数程度います。

推し活は、友人・知人をはじめとした外部との交流や情報交換を伴うものだけではなく、人によってはプライベートに行われるものでもあることが伺えます。

一方で、推し活がファン同士のつながりを強化することも、調査から分かっています。

以下は「推し活を通じた友人・知人がいるかどうか」を訊いたアンケート結果です。

推し活を通じた友人・知人がいる人は40.5%です。推し活が、人間関係を広げる一助となっています。

推し活をしている人が全体の37.2%ですから、15~69歳男女の15%程度に、推し活を通じた友人・知人がいると推計されます。

そうした友人・知人との交流の仕方についての調査結果が以下です。

上図に記載の通りですが、男性はSNSのみでの交流が多い傾向にあり、女性はリアルでもSNSでも交流する傾向にあります。

SNSのみでの交流が最も多いのは男性15~29歳であり、28.1%。

SNSとリアル両方で交流が最も多いのは女性15~29歳で、28.8%となっています。

ちなみにこれらの傾向は、応援広告を実施した人に限ると、さらに顕著になります。


推し活を通じた友人・知人がいる人は93.3%。リアルとSNSいずれかまたは両方で友人がいる人も多数です。

応援広告実施者は、熱心な推し活を行う人であるとともに、ファン同士での活動・交流に対して積極的な人とも言えます。

応援広告主催者の9割以上がまた主催したいと回答。応援広告出資者の約9割が再出資意向を持ち、約8割が主催しても良いと回答しました。再実施意向が非常に高いことが分かります。


これらの調査結果から、推し活を通じてファンコミュニティの活動が活発化し、情報交換が行われ、SNSやリアルで交流が深まっていることがわかります。

このようなファン同士の結びつきは、応援広告に関する調査からも見て取れる通り、ファンの推しへの愛情を高め、推し活消費のリトライ・リピートの要因となり、長期的な消費行動を促進するものと推測できます。

当社では応援広告の支援事業を通じて、推し活には「推しサイクル」があると考えています。例えば応援広告では以下のようなイメージです。


コンテンツホルダーやイベント運営元をはじめ、推し活に関わる企業にとっては、ファンに喜んでもらい、ファン同士の繋がりが盛り上がるような情報提供や運営が重要になります。ファン向けのサービスやグッズの販売、ファンイベントの企画運営など、ファンのニーズを的確に捉え、情報発信をし、彼らの期待に応える商品やサービスを提供し続けることで、「推しサイクル」によって事業の成長が期待できます。


以上、当社が「推し活」について行った調査結果のご紹介でした。
まとめると、以下の通りです。

・推しがいる人は半数、推し活経験がある人は40%であり、推し活は日本人にとって一般的なものになっている。

・推し活は推しが関わる企業の商品・サービスの購入につながる。

・若い世代ほど推し活に熱心。

・推し活は人々の交友関係を広げる。

・応援広告はファン同士のつながりを活性化させ、推しの対象となるコンテンツを活性化する。

「推し活」は単なる趣味や娯楽を超えて、経済やマーケティングに大きな影響を与える潮流となっています。調査結果からも見えるように、ファンの情熱が生む経済効果は無視できないものです。

企業にとっては、ファンとの共創によって新たなビジネスを作り出すチャンスとなり得ます。今回の調査結果を含め、推し活を企業のマーケティング施策に活かすことに興味のある方は、jekiが運営する「推し活マーケティング」までお問い合わせください。

「推し活マーケティング」では、このソリューションを詳しく説明した資料も公開していますので、ぜひ以下のリンクからダウンロードしてください。




「応援広告」がファンの気持ちを盛り上げ、「推しサイクル」となってコンテンツを盛り上げることは上記で説明したとおりですが、これを企業のマーケティングに活かす広告手法、「付箋広告」をご紹介します。

「付箋広告」とは、ファン参加型の交通広告です。ファンがメッセージを付箋に書いて広告に貼り付けることができる、新しい形の広告です。

ファン自身が推しに対して行うのが応援広告ですが、この「付箋広告」は企業側が自社を推してもらったり、ファンと一緒に推しを応援する広告となります。

たとえば、

ブランドに熱いファンを持つ企業が、ファンと一緒に周年を祝ってもらうために使用したり、


ファンとともに起用タレントの誕生日などの記念日をお祝いしたりすることができます。


「リアルの接点創出」×「SNSによる拡散」という手法により、

・認知を高める

・エンゲージメントを高める

効果が期待できます。

こちらが実施可能な駅広告媒体はまだまだ希少であり、注目度の高いメニューとなります。

詳しい資料は以下からダウンロードしてください。



「推し活・応援広告調査2023」 調査概要
調査主体 :株式会社ジェイアール東日本企画 jeki応援広告事務局「Cheering AD」
調査手法 :インターネットアンケート調査
調査期間 :2023年12月26日~2024年1月9日
調査エリア :1都3県
調査対象者 :15~69歳の男女
サンプル数 :19,202
※本調査の「応援広告」は「交通広告・屋外広告」について聴取したものです。
※グラフ内の数字は、四捨五入による端数を調整していないため、内訳と計が一致しない場合があります。

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