クロスメディア戦略はナゼ重要?やり方は?成功ポイントを学ぶ

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回は広告マーケティング活動における「クロスメディア戦略」についてお話したいと思います。

この言葉は比較的新しく、使われ始めたのは2000年代の中ごろからで、広告に携わる企業や人々の間で強く意識されるようになったのは2010年代に入ってからです。
しかしこの戦略は、既に日々マーケティング活動を行う企業の多くに広まっています。

成功するクロスメディア戦略には、はっきりとポイントがあります。
今回は皆さんにクロスメディア戦略がどのようなもので、成功のために踏まえるべき重要なポイントはなんなのかについてお話します。

・クロスメディア戦略の概要について知りたい
・クロスメディア戦略の始め方、進め方について悩んでいる
・クロスメディア戦略の事例を知りたい
・クロスメディア戦略の効果測定について知りたい

今回の記事は、以上のような方々におすすめです。

クロスメディア戦略とは

クロスメディア戦略とは、複数のメディアの特長を掛け合わせてユーザーに接触し、購買へ促す広告マーケティング戦略です。
あるいは戦略の射程によっては、購買後のユーザーとの関わりも考慮します。

ポイントは、「複数のメディアの特長を掛け合わせる」ということにあり、単に複数のメディアで広告を実施することではありません。クロスメディア戦略では、各メディアの特長を理解し、役割を持たせ、その組み合わせから導かれる統合的な成果を考えているかどうかが重要です。

以下が、戦略策定時に広告効果として重視する事項と、それに適するメディアの例になります。

この表にあるメディア以外にも、広告にかかわるすべてのメディアや施策がクロスメディア戦略の対象になります。

では、どうメディアを掛け合わせればクロスメディア戦略は成功するのでしょうか。


クロスメディア戦略はなぜ重要で、それ以前の広告戦略と何が違うのか

メディアごとに役割を考えて、トータルで成果を求めるのがクロスメディア戦略です。
……とは言うものの、メディアごとに広告の役割を整理すること自体は、ある程度昔から行われてきた広告マーケティングの手法ですよね。

例えば2000年ごろのファーストリテイリングのユニクロの広告戦略。テレビCMや新聞広告では、価格の安さに加えて機能やデザインの先進性のイメージを訴求する一方で、新聞折り込みチラシでは低価格とともにラインナップの充実を訴求するにぎやかな表現に切り替えて情報を伝えてきたこと、などが事例として挙げられます。

それが近年あえてクロスメディア戦略と呼ばれて事業・広告マーケティング戦略の中でも特筆されるようになったのは、時代背景と関係があります。

まずこの背景を理解することが、「成功するクロスメディア戦略」に至る第一歩です。


・デジタル技術の発達、Web広告の隆盛



冒頭にお話ししたとおり、クロスメディア戦略という言葉が広まり始めたのは2000年代の中ごろからで、広告宣伝において一般化したのは2010年代に入ってからです。

この流れは、インターネットおよびWeb広告の発展とシンクロしています。クロスメディア戦略という概念が生まれ、またそれが重要視されるようになった最大の理由は、Web広告やSNSの広まりとそのテクノロジーの発達によるものだと言えます。

どういうことかご説明します。
スマートフォンが登場し、TwitterやFacebookなどのSNSが広まった結果、消費に関するユーザーのあらゆる行動にインターネットが介在することになりました。
そして、消費者の行動・情報収集は従来から大きな変化を遂げました。

かつてマスメディアが主流だった時代に、有名なマーケティングモデルとしてAIDMA(アイドマ)がありました。



消費者が商品を知って購買に至るまでのプロセスと与えるべき情報を認知、感情(興味関心)、行動に分解したモデルで、広告・マーケティング戦略の策定に長く利用されてきました。

しかし消費者の購買行動プロセスは現在、インターネットの普及とWeb広告の発展によって、より複雑化しています。

たとえばAISCEAS(アイシーズ)モデルが例として挙げられます。



AIDMAモデルからDesire(欲求)とMemory(記憶)がなくなり、消費者の情報収集・購買行動の途中に重要事項として「Search(検索)・Comparison(比較)・Examination(検討)・Share(共有)」が加わっています。

マス広告が主流の時代は、「テレビから店頭」、「雑誌から店頭」、「新聞から店頭」、という形で、ある程度単純な認知・購買パターンが想定されていました。

しかしインターネットが人々に行きわたると、消費者の情報収集行動はテレビ・新聞・雑誌だけでなく、SNSなどを含めてより複雑になり、広告主は、各媒体の役割を再考せざるを得なくなりました。

メディアの役割が変わるということは、各メディアにおける広告の目的も変わるということです。メディアごとに広告表現・訴求内容を変える必要性が高まり、そうすることでより効果を生み出せるようになりました。

マスメディア全盛時代は、とにかく大量にテレビCMを投下すれば全国にリーチすることができました。しかし今はそう簡単にはいきません。

そしてあらゆる認知~消費行動の間にインターネット・SNSが介入することが当たり前になり、クロスメディア戦略が発展していったのです。


・広告効果測定の精度が上がった


クロスメディア戦略が重要になったもう一つの大きな理由に、広告効果測定の精度が上がったことが挙げられます。
これは上記で説明したWeb広告の発達と同時に進みました。

Web広告出現以前の広告効果測定は、テレビの視聴率や新聞・雑誌の発行部数、そして成約数(コンバージョン件数)などを追うのが定石でした。それ以外の効果測定は、一定数の人々に対して広告の好感度や認知度などを問う定量調査や定性調査の手法に頼っていました。

そして各広告主は、蓄積した調査結果を基にシミュレーションをして、広告投下のプランニングを行ってきました。

しかしWeb広告・SNS広告ではより細かい検証が可能です。
広告の接触からコンバージョンに至るまでに、ユーザーがどのような道筋をたどったかが「見える化」されました。ある動画広告を配信し、広告視聴直後にはコンバージョンに至らなかったものの、後日配信したバナー広告のクリックに繋がった(寄与した)など、間接的な効果も分かるようになったのです。

このようにWeb広告で細かい経緯・成果が見えるようになると、当然の成り行きで、「じゃあテレビは? 新聞は? OOHは? それぞれ何のためにやって、どんな結果が出ているのか?」と他メディアも役割と成果をより明確にすることが求められるようになりました。

広告の何がユーザーに響いて何がダメだったのかが、すぐに検証できなければPDCAを回すことは難しくなりますし、クロスメディア戦略も上手くいったのかどうか分かりません。
広告効果の計測精度の向上は、クロスメディア戦略の普及において不可欠であり、同時にクロスメディア戦略を成立させる重要な要素です。


・これまで測れなかった広告効果が測定可能に


テレビやラジオ、OOHなどのオフラインメディアでの「広告効果計測の精緻化」は、各社技術開発中です。
たとえば、テレビCMでは視聴率の測定だけでなく、Web広告との掛け合わせでどれだけリーチや認知が上昇したか測定できるようになりました。一部の局のラジオCMでは「radiko」の聴取データを利用して、番組やCMを聴取したリスナーが、購買・来店・サイト来訪・入会などの行動を行ったかどうかを追跡することが可能になっています。

OOHに関しては、当社がOOHおよびOOHと他メディアを絡めた広告効果計測の可視化サービスを開発しました。
OOHは家の外で接触するリアルメディアとして、デジタルデバイスともテレビとも異なる特性を持つため、クロスメディア戦略でも非常に重要なメディアですが、効果が見えづらかったことが課題でした。

我々は「効果が見えるOOH」と銘打ち、交通広告の効果を可視化し分析・改善するサービスを提供しています。このサービスは、延べ広告接触者数をViewableベースのインプレッションでリアルタイムに算出する測定方法を採用しています。
これまでOOHの効果は駅の利用者数などから接触人数を事前と事後に推定するしかありませんでしたが、Web広告のimp数と同様の基準で測定でき、メディアを横断して効果を測定することができるようになりました。


OOH広告の効果・意義にお悩みの方はぜひ資料をご覧いただき、お問い合わせください。資料では効果測定の事例も紹介しております。




成功するクロスメディア戦略の3STEP

それでは具体的に、どのようにクロスメディア戦略を組み立てればよいのか、3つのSTEPでご説明します。

①自社ブランド、ターゲットを分析してペルソナを設定する



まずは広告対象となるブランドがどのような商品・サービスなのかについて客観的に評価し、ターゲットを想定しましょう。

<自社ブランド 分析項目例>

・商品特徴

・提供価値

・市場シェア

・売上、収益

・強み

・弱み など

<ターゲット 分析項目例>

・性別

・年齢

・職業

・居住地

・年収 など

これらについて分析しながら、「商品やサービスを購入してくれる具体的な理想のユーザー像=ペルソナ」を設定します。

ペルソナを作成すると、理想のユーザー像が担当者間で共有できます。ユーザーの課題と、それを解決する自社の提供価値が明確になり、その結果、ユーザーが自社商品・サービスを認知して購入に至るまでの過程に仮説を立てることが容易になります。


②カスタマージャーニーマップを組み立てる



次にペルソナからカスタマージャーニーマップを組み立てます。

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品やサービスを知ってから、興味を持ち、購入・利用に至るまでの過程を、ジャーニー(旅)に見立てて分析するものです。

カスタマージャーニーマップはファネルモデルと組み合わせて作成すると、流れが分かりやすくなります。

(事業に合わせてもっと複雑なパターンも考えられます。それぞれに適切な方針を見つけましょう)

トップファネルを認知フェーズ、ミドルファネルを興味・理解フェーズ、ボトムファネルを行動フェーズと置き、それぞれで伝えるべき情報と実施すべきメディアを考えます。

認知フェーズでは、テレビや新聞や動画広告で、大量にブランド名とビジュアルをリーチ。

興味・理解フェーズでは、記事広告やSNSや動画タイアップで、商品情報の細かい説明。

行動フェーズ、つまり購買に促すには、ディスプレイ広告やチラシで、キャンペーンやセール情報を告知。

……というように、フェーズごとに具体的な戦術を固めていくことができます。

目的に応じて使うべきメディアも、訴求内容も異なるため、クリエイティブ表現や情報をそれぞれ変える必要があることが分かります。

どのフェーズにいくら予算を投下して、どのように興味を持ってもらい、どんな情報を伝えるか。またそのためにどのような広告表現を作るべきか……

これらを統合して考え、最大限の効果を導くのがクロスメディア戦略の基本です。


③KPIを明確にしてPDCAを回す

そして3つ目のSTEPは、各施策のKPI(Key Performance Indicator)を設定することです。

KGI (Key Goal Indicator)から導いたKSF(Key Success Factor)、そして各施策のKPIを明確にしましょう。

クロスメディア戦略においては多メディアでの展開となるため、得られる成果・データが多岐にわたります。KPIを明確にしておかないと目標が迷子になってしまい、それぞれの施策が何のために行われたのか分からなくなってしまいがちです。

すべてはゴール(KGI)からの逆算であることに留意しましょう。最初のゴール設定を間違えると、後の施策も間違えることになってしまいます。


クロスメディア戦略の広告事例

クロスメディア戦略を採用した最近の広告マーケティング戦略について、事例を2つ紹介します。

・原神


2020年に発表された「原神」はAndroid、iOS、Windows、PlayStation 4でリリースされた、基本無料でプレイできるゲームです。
特にモバイル版の売り上げが高く、ローンチ以後、世界全体のモバイルゲーム市場を見渡しても、トップクラスの売り上げを誇ります。

原神はアニメや漫画を原作としたゲームではありませんので、ローンチ時には「まだ誰も知らないコンテンツ」でした。そのため、いかにユーザーの認知を最大化させるかが一番の課題でした。

スマートフォンが主戦場になるという特性上、原神の広告はWeb広告とテレビCM一辺倒になるかと思いきや、重要なメディアとしてOOHを大規模に実施しています。
スマートフォンは移動しながら使用するものなので、移動中に接触するメディアとしてOOHが重要な戦術になるのでしょう。

原神はコラボレーション企画にも熱心です。JRの駅コラボなどは定期的に行われ、キャラクターをリアルの空間でユーザーと接触させる機会を多数設けています。

原神は立ち上げ時に網羅的に広告を実施し、その後もOOHの出稿を続けています。
原神の事例に限らずスマートフォンゲーム・アプリにおいて、OOHの活用は外すことができない有効な手段になっています。


PayPay


キャッシュレス決済サービスPayPayの事例をご紹介します。PayPayは圧倒的な広告出稿量で認知・利用率を一気に上昇させましたが、その広告・プロモーションの中身はバラエティに富んでいます。テレビではタレントを起用したCMを大量に投下し、YouTubeではYouTuberとコラボして何十パターンも広告を制作。認知度と利用促進の向上を狙います。
SNS運用や「ペイぺ」などのキャラクター開発を行っており、他社IP(キャラクター)とのコラボレーションにも熱心に取り組み、SNSの拡散を狙いました。
地方自治体とのキャンペーンでは特別なポイント還元を行うなどの販促プロモーションも実施。

また、福岡PayPayドームも、重要な事業および広告プロモーションのメディアとなっています。

福岡PayPayドームは福岡ドームのネーミングライツを取得して名付けられたものですが、単にネーミング認知に利用されているだけでなく、ドームの中身自体がPayPayのブランド理解につながる施設になっています。
ドーム内のさまざまな施設設備の決済システムはもちろんPayPay。利用者が娯楽施設で消費活動を行うことがそのまま、「PayPayが広く認知され利用された完全キャッシュレス化の世界」を体験する仕組みになっています。

PayPayの全プロモーションのKPIはPayPayの利用意向向上です。

そのために単純に大量のGRPでテレビCMを実施して認知を得るだけではなく、SNSほかユーザーのタッチポイントごとにさまざまな形で施策を用意し、総体としてPayPayの利用意向が向上する広告マーケティング戦略を組み立てています。


まとめ

以上、クロスメディア戦略の概要とその成功のポイントと事例についてご説しました。

オンラインとオフラインのメディアが混在し続ける限り、クロスメディア戦略は今後も必然の広告マーケティング戦略であり続けるでしょう。

実施の際には以下を念頭に置いて、戦略設計していくことが肝要です。

・商品、ターゲットを分析して、カスタマージャーニーマップを作る
・各メディアの役割を明確にして、そのKPIも明確にする
・効果を測定して検証する

すでにクロスメディア戦略は必須というより、ある程度の規模以上のすべての広告マーケティング戦略の前提となっており、今後は各メディア・施策の効果測定の精度向上がより求められていくと考えられます。

当社は、OOHの効果測定を専門的に取り扱うことのできる、数少ない総合広告会社です。
当社ではOOHだけでなく、オンライン・オフラインメディアを統合してワンストップで企画立案・実施・検証が可能です。

OOHの効果測定にお困りの際や、OOHを含む統合的なクロスメディア戦略にお悩みの際はぜひお問い合わせください。


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