こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
今回のテーマは「ブランドリフト」です。
広告・マーケティング担当の方であれば、一度は「ブランドリフト」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
近年、広告施策の実施にあたって効果測定がより重要視されるようになってきており、その効果測定指標も多数あります。ブランドリフトもその一つで、ブランディング広告の効果を測定する指標を指します。
本記事では、ブランドリフトについて、調査の重要性や調査方法、ブランドリフト調査ができる代表的な広告媒体などを詳しく解説します。
・ブランドリフトという言葉は聞いたことがあるが、よく理解できていない
・ブランドリフト調査をしたいが、具体的な調査方法が分からない
・どの媒体に広告出稿するか検討中で、ブランドリフト調査ができる媒体を知りたい
本記事がこのような方々の課題解決の参考になれば幸いです。
ブランドリフト調査とは
ブランドリフトとは、ブランディングや認知向上を目的とした広告(ブランディング広告)の効果測定指標の一つです。
ブランドリフト(brand lift)という名の通り、“ブランドが上昇する効果”を意味します。
ブランドリフト調査では、ブランディング広告に接触したユーザーと非接触ユーザーを比較し、企業やブランドの認知度や好意度、購入意向などの向上が見られたかを測定します。
この調査により、従来は測定しにくいと言われていた「自社のブランディングにどのくらいブランディング広告が影響を与えたか」という効果を、定量的に測ることができるのです。
そもそもブランディング広告とは何か
ブランディングとは、自社のブランドや商品・サービスのイメージを認知・定着させ、共感や信頼を通じて、自社の価値向上や他社との差別化などをめざすマーケティング戦略の一つです。
ブランディング広告は、商品やサービスの購入促進を目的として行う短期的な施策ではなく、自社の商品・サービスや企業への良好なイメージを構築して世間に広めたり、イメージを向上させるために長期的に行う施策です。
効果的なブランディング広告を実施することで、ブランドの認知拡大や売上向上に寄与する、中長期的な企業の安定や成長につながるなど、多くのメリットがあります。
ブランドリフト調査の重要性
一般的な広告の効果測定指標として、広告が表示された回数を指すインプレッション数、クリックされた回数を指すクリック数、広告を見たユーザーが商品購入や問い合わせを行った回数を指すコンバージョン数などがあります。
一方、ブランディング広告の場合は、企業や商品・ブランドイメージの訴求がメインのため、これらの指標では広告効果を把握することが困難です。
そこで役立つのが「ブランドリフト調査」です。
調査を行うことで、アンケート結果から広告効果を可視化し、費用対効果を把握することができます。また、その分析結果をふまえて、予算の確保や明確な施策立案が行いやすくなるのです。
サーチリフト調査との違い
ブランドリフト調査と似たものとして「サーチリフト調査」という手法があります。
サーチリフト調査は、対象キーワードの自然検索数がどれだけ上昇したか(検索上昇率)を測定します。すなわち、広告接触ユーザーの検索行動に与える影響を可視化する調査です。
ブランドリフト調査はアンケートによって広告の効果を測定するのに対し、サーチリフト調査は検索行動のデータによって効果を測定します。
検索データはデジタルのため、どのユーザーの検索数が増加したかや、検索する時間帯をリアルタイムで確認することも可能です。
ブランドリフト調査の方法
ここまで、ブランドリフト調査の概要を説明してきましたが、具体的にどのような調査方法があるのか、代表的な三つをご紹介します。
①Web広告上でアンケートをとる
一つ目は、Web広告のバナー枠などを使用し、広告上でアンケート調査を行う方法です。
Web広告によるブランドリフトには「インバナーサーベイ」と「リードバナーアンケート」の2種類があります。
・インバナーサーベイ
インバナーサーベイは、バナーなどの広告枠にアンケート内容が表示され、ユーザーがそのまま回答を入力する方式で、バナーから離れることなくアンケートに回答できます。
手順が容易なため、高い回答率を見込めるというメリットがあります。
回答率が高い反面、簡単にタップできることや質問数に制限があることから、回答の精度が低くなりやすいというデメリットもあります。
・リードバナーアンケート
リードバナーアンケートは、バナー広告にアンケート告知を掲載し、ユーザーがクリックしてアンケートページへ遷移し、回答を入力する方式です。
インバナーサーベイと比較して、アンケートの質問数などの自由度が高く、細かな調査を行えるメリットがあります。
一方で、クリックが必要で、インバナーサーベイのように同じページで回答できる手軽さはないため、回答数はそこまで多く見込めないというデメリットもあります。
インバナーサーベイとリードバナーアンケートいずれの方法も、結果がリアルタイムで確認でき、次の施策にすぐ生かせるというメリットがあります。
②調査会社に依頼する
二つ目は、調査会社に依頼し、ブランドリフト調査を行う方法です。
ひとり一人のユーザーに対して細かな調査を行うことができ、専門家による精度の高い調査結果も得ることができるので、品質の高い測定を行える点がメリットです。
一方で、デメリットとしては、調査を外注することでコストが高くなることや、調査に一定の期間を要するため、調査結果をリアルタイムで確認することができない点が挙げられます。
③媒体の専用ツールやオプションを利用する
三つ目は、広告出稿する媒体に付随する専用ツールやオプションメニューを活用して調査を行う方法です。
ブランドリフト調査を実施できる媒体は複数あり、それぞれの媒体の特徴に適した広告効果の測定が可能です。
ブランドリフト調査ができる媒体
前項の三つ目でご紹介した方法に関して、具体的にどの媒体で調査可能なのか。
ここでは、ブランドリフト調査ができる代表的な媒体として次の4つをご紹介し、それぞれの特徴を解説します。
●Google(YouTube):ブランド効果測定
●Yahoo! :Yahoo! JAPANブランドリフト調査
●Facebook:Facebookブランドリフトテスト
●LINE:ブランドリフトサーベイ
※本記事の内容は2023年8月時点の情報です。
最新の情報は各媒体の公式サイトよりご確認ください。
●Google(YouTube):ブランド効果測定
Googleでは、バンパー広告やインストリーム広告でブランド効果測定が可能で、ブランド認知度や購入意向などの指標を測定することができます。
宣伝対象の商品・サービスの情報から調査用の質問が複数生成されるため、簡単にユーザー向けアンケートを作成できます。また、設定時に効果測定の指標を既存項目から選択できるため、数値の目標設定や効果測定が比較的しやすいのも特徴です。
●Yahoo!:Yahoo! JAPANブランドリフト調査
Yahoo!では、ブランドリフト調査とサーチリフト調査の2つの効果測定を行うことが可能です。
ブランドリフト調査では、広告を見たユーザーに対し、ブランド認知に関するアンケートを実施し、広告想起、ブランド認知、好意度、購入意向などを確認できます。
一方、サーチリフト調査では、広告効果によって対象となるキーワードの検索数に変化があったかどうかを調査することができます。
サーチリフト調査は審査不要で掲載可能ですが、ブランドリフト調査を実施する際には審査が必要です。
●Facebook:Facebookブランドリフトテスト
Facebookのブランドリフトテストは、Metaが提供するリフトテストの一つです。
この調査では、キャンペーンの対象となるオーディエンスを「テストグループ」と「ホールドアウトグループ(対象オーディエンスの中で、意図的に広告を見せなかったグループ)」に無作為に分け、テストの精度を高めているという特徴があります。
具体的にどういう場合にブランドリフトテストを行うのがおすすめか、公式サイトではこのように記載されていますので参考にしてください。
・1つのブランドまたは商品に関するキャンペーンを1つだけ展開している。
・キャンペーン期間中はクリエイティブと予算を変更しない予定である。
参考:Facebook広告のテストにおけるリフトとホールドアウトについて
ブランドリフトテストについて
●LINE:ブランドリフトサーベイ
LINEでは、広告のオプションメニューとして「ブランドリフトサーベイ」を実施することができます。
※「ブランドリフトサーベイ」の利用には、事前の申し込みが必要です。
広告接触の有無でユーザーを分類・抽出し、それぞれのユーザーに対し、LINEリサーチを用いてブランドリフト調査を行い、広告効果を測定することが可能です。
実は、OOH広告でもブランドリフト調査ができます
先ほどご紹介したブランドリフト調査が可能な媒体は、すべてオンライン広告の媒体でしたが、近年、オフライン広告でもブランドリフト調査ができるようになってきています。
その中でも、とりわけ効果測定が難しいとされていたOOH広告について、当社独自のブランドリフト調査ができるメニューをご紹介します。
OOH広告の効果測定とは
OOH広告のブランドリフト調査について説明する前に、「そもそもOOH広告の効果測定なんてできるの?」と疑問を持たれた方もいると思います。
そんな方のために、まずはOOH広告の効果測定について簡単にご説明します。
当社では、OOH広告効果測定に対するニーズの高まりを受け、OOHをViewable(視認可能)ベースで計測し、効果を可視化する独自の計測ソリューションを開発しました。
その計測ソリューションを活用したサービスが「効果が見えるOOH」です。
この計測ソリューションでは、効果測定の指標として「インプレッション数(Viewable imp)」を用いて計測します。
インプレッション数は、当社が実施するjeki移動者調査のデータなどを活用して算出した各メディアの「延べ広告可視人数」と、提携しているクロスロケーションズ株式会社の持つ人流分析データを用いて推計した「リアルタイム人流」の数値を掛け合わせて算出します。
広告出稿期間中、曜日別でインプレッション数がどのように推移したかや、性・年齢別の内訳の数値を確認することで、OOH広告の効果測定ができるのです。
OOH広告のブランドリフト調査
ここで、本題のOOH広告のブランドリフト調査についてご説明します。
当社独自のサービス「効果が見えるOOH」では、オプションとしてブランドリフト調査ができるメニューを用意しています。
この調査では、広告に接触したユーザーとそうでないユーザーで、ブランド認知・サービス認知や興味関心、利用意向などがどのように変化したのか、ユーザーの態度変容を知ることができます。
具体的には、対象者を広告接触者と非接触者に分け、それぞれに対してサンプル調査(アンケート)を行うことで態度変容を可視化します。
OOH広告のブランドリフト調査について、さらに詳しく知りたい方、他社事例を知りたいという方は、こちらの資料をご覧ください。
まとめ:ブランドリフト調査を活用しましょう
本記事では、ブランドリフト調査の重要性や調査方法、ブランドリフト調査ができる代表的な広告媒体、OOH広告のブランドリフト調査について解説しました。
ブランドリフト調査は、ブランディング広告の効果を定量的に測定できる効果的な手法です。ただし、継続的にブランディングを行うには、単にブランドリフト調査を実施するだけでは不十分です。
調査結果をもとに、現状のブランディング広告の効果を把握し、評価・分析したうえで、次の施策や広告出稿につなげていくことが重要です。
ブランドリフト調査を活用して、PDCAを回しながら継続的に広告施策を実施し、自社のブランディングを成功させましょう。
ブランディング広告、ブランドリフト調査についてのお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
なお、リアル店舗を持つ企業様の場合は、別の広告効果測定手法として「来店計測」も有効です。
以下のコラムで「来店計測」について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
交通広告・OOHメディアの効果的な使い方について、詳しい解説書「OOHメディアはじめてガイド」(全56ページ)もご用意しています。本コラムでOOHに興味を持っていただけましたら、ぜひ以下からダウンロードしてください。