
こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
新規顧客を獲得するために新たな市場に足を踏み入れる方法として、他企業やキャラクターとの「企業コラボ」が注目を集めています。自社の既存のファン層を超えてコラボ先のファンに興味関心を持ってもらうだけでなく、ブランドイメージの向上などにもつながるおすすめのプロモーション手法です。
本コラムでは、企業コラボの基本から成功事例、そしてコラボレーション先の選定方法までを詳しく解説します。
以下のような方にぜひ読んでいただきたいコラムです。
☑企業コラボのメリットや成功事例を知りたい
☑コラボ先の企業やコンテンツをどのように決めたらいいかわからない
☑キャラクター(アニメや漫画)とのコラボレーションに興味がある

■企業コラボとは?
企業コラボとは、2社以上の企業や団体が協力して商品開発や販売促進などのプロモーションを行う「コラボレーションマーケティング」のことを指します。互いのブランド価値や強みを掛け合わせることで、話題性の創出や新たな顧客層の獲得を目指す手法です。
企業コラボにはさまざまな形があり、異業種企業同士によるコラボ商品の共同開発や、アニメや漫画などのキャラクターと企業が連携した販促キャンペーンなど、多様なパターンが見られます。近年ではSNSを通じた情報拡散力も相まって、企業コラボはブランド認知向上や売上拡大を狙うマーケティング施策として注目を集めています。
コラボレーションと似た手法として「タイアップ」があります。どちらも2社以上の企業が連携して行う施策ですが、両者には目的や関係性の違いがあります。
■コラボレーション:企業同士が対等な関係で共同開発やプロモーションを行う取り組み
お互いの強みを活かしながら企画を進め、費用やリスクを分担し、得られた利益を共有するという「Win-Winの関係」が特徴です。双方のブランド価値を高め、新たなファン層の獲得にもつながります。
■タイアップ:一方の企業が主導して企画を進行する取り組み
多くの場合、主導企業の商品やサービスの売上拡大・知名度向上を目的として、他企業やコンテンツとの協力関係を築く形です。

例えば、「映画公開記念タイアップキャンペーン」はタイアップの代表的な例です。
映画タイアップの場合、映画自体の宣伝が主な目的となるため、コラボできる企業は映画の内容や世界観に関連する業種に限られることが多く、メインビジュアルやキャラクターの使用条件が厳しく定められている場合もあります。
ただし、消費者の立場から見ると、コラボレーションとタイアップの違いはそれほど明確ではありません。そのため、販売促進色を和らげたい場合や、より親しみやすい印象を与えたい場合には、広告施策やプロモーションでも「コラボ」という言葉を使うケースが一般的です。
このように、「コラボ」と「タイアップ」は実務上ほぼ同じ意味で使われることも多いですが、企画段階では連携先との意図や役割の違いを正確に共有し、認識のずれが生じないよう注意することが大切です。
■企業コラボのメリット
企業コラボの主なメリットとして、以下の4点があげられます。
1. 新規顧客開拓
コラボレーションする企業やキャラクターの既存ファンにアピールすることで、これまで自社の宣伝活動だけでは獲得できなかった新規顧客を開拓する機会になります。
また、これまで商品を認知していたものの購入まで至らなかった潜在層への購入の後押しにもつながります。
2. 話題性
特に意外性のある異業種コラボやアニメ・漫画などのキャラクターコラボの場合、SNSやニュースで取り上げられ話題になることが多いです。プレスリリースやSNSによる宣伝効果が期待でき、広告費をコラボレーション費用に充てることも可能です。
3. ブランドイメージ向上
企業コラボでは、連携する企業のイメージや評判が自社にも反映されブランドイメージや信頼度が上がる効果があります。また、双方の強みを活かしたプロモーションで消費者に新たな魅力をアピールすることにもつながります。
4.売上の向上
以上の3つのメリットの結果、売上向上につながります。
また、コラボ商品は通常は限定生産であることが多く「今しか手に入らない」という意識から消費者の購買意欲も高まります。
■企業コラボのパターン
企業コラボというと企業同士のコラボレーションを想像しがちですが、コラボ先はアニメや漫画のキャラクターに限らず、地域、学校などさまざまな選択肢があります。
企業コラボの主なコラボレーション先をそれぞれのメリットとともに紹介します。
・企業×企業
企業×企業のコラボレーションは、顧客獲得やブランドの成長において強力な戦略となります。例えば、コンビニエンスストアやチェーン飲食店が人気店やシェフと共同開発したコラボ商品はよく目にするのではないでしょうか。同業種同士が協力して新製品を開発することで、商品の専門性・信頼性を高め、売上の拡大につなげることができます。
一方、異業種間のコラボレーションは、新たな視点を取り入れたり、自社だけでは開発できなかった製品やサービスを提供することで、事業の拡大につながる可能性があります。また、意外性があるため話題になるケースが多いのも特徴です。
企業×企業のコラボレーションの場合は、費用やリスクの分散を行えるメリットもあります。デメリットとしては、目的が合致している適切なパートナー企業を見つけることが難しいことや、商品開発やコラボ内容の調整に時間がかかることがあげられます。
・企業×キャラクター
アニメやゲームなどの人気キャラクターとのコラボレーションは、売上の向上やブランドの認知度向上に非常に効果的です。特に、キャラクターに強い興味関心を持つファミリー層や若年層へのアプローチにおすすめです。
キャラクター側も、商品を通じて新たなターゲット層にアプローチすることで認知度がアップし、コラボによって新たなグッズが出るなど既存のファンへの還元となるため、コラボレーションがしやすいという特徴があります。ただし、人気キャラクターであるほど他企業とのコラボが多くなるため、魅力的な提案をすることが重要です。
・企業×タレント・インフルエンサー
近年、タレントやインフルエンサーとのコラボレーションも増えています。一般的な広告へのキャスティングとの違いとして、コラボアイテムの発売やオリジナルアイテムが当たる販売促進キャンペーンなど、彼らの既存ファンが喜ぶプロモーションを行うことが多いです。
キャラクターコラボと同様に、ファンの熱量が高いため商品の販売促進やブランドイメージの向上が期待できます。
・企業×地域(自治体・学校など)
地域の活性化のために地元企業が自治体や地域の学校などと協業する形も企業コラボの一つです。地域との連携によって特産品を使った商品開発が可能になったり、地域との信頼関係の構築によるイメージ向上といったメリットがあります。
■キャラクターとの企業コラボ 成功事例5選
動画配信サービスの普及により、アニメが国内外で広く楽しまれるようになった今、アニメや漫画などのキャラクターとのコラボレーションは、特に人気の高い企業コラボの形となっています。キャラクターファンは熱量が高く、グッズ購入や店舗来訪などの行動につながりやすいことが大きな特徴です。さらに、ファンが自らSNSで情報を発信することで、自然な形で話題が拡散しやすい点も強みです。
人気キャラクターとのコラボでは、既存ファンがコラボ施策に慣れている傾向があるため、ファン心理を理解し、「ファンが本当に喜ぶ企画」を実現することが成功の鍵になります。実際に、ファン視点を取り入れたプロモーションで大きな反響を得たキャラクターコラボの事例を、この記事では5つ紹介します。
また、アニメや漫画とのコラボを検討している企業向けに、キャラクターマーケティングのメリットや選定のポイントをまとめた「キャラクター活用はじめてガイド」を公開しています。キャラクターを活用したコラボ企画に興味をお持ちの方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
①【舞台の地を応援!】サッポロビール株式会社「サッポロ クラシック」×ゴールデンカムイ
【キャンペーン詳細】https://kamuy-anime.com/news/index05870000.html
【実施時期】2018年~継続中
【実施内容】コラボパッケージ商品販売・購買キャンペーン
北海道限定ビール「サッポロ クラシック」は、テレビアニメ『ゴールデンカムイ』の物語の舞台である北海道を応援することを目的に、期間限定・数量限定でコラボパッケージの商品を販売しています。年に一度のこのコラボキャンペーンは2018年から始まり、7年目を迎えました。「北海道」「食」といった共通点を活かした展開で、『ゴールデンカムイ』ファン、「 サッポロ クラシック」ファンの双方から共感を集める企画で新規顧客獲得と売上拡大につながりました。
このコラボキャンペーンの詳細は、弊社事例として以下のページでも紹介しています。
【弊社事例紹介ページ】
②【コンプリート欲を刺激する!】森永製菓株式会社「板チョコアイス」×呪術廻戦
(森永製菓アイス公式Xアカウントより)
【キャンペーン詳細】https://www.morinaga.co.jp/company/newsrelease/detail.php?no=219
【実施時期】2022年4月~6月
【実施内容】コラボパッケージ商品販売・購買キャンペーン・SNSキャンペーン
「板チョコアイス」の形状を活かして、アイスを並べると漫画の単行本の背表紙のようになるコラボパッケージ商品を販売。このコラボキャンペーンは第三弾となり、21年4月に実施した第二弾(『名探偵コナン』とのコラボ)では前年比127%と大きく売上を伸ばし同様の形式でのコラボキャンペーンを実施しています。
テレビアニメ『呪術廻戦』とのコラボでは、新しい試みとしてX(キャンペーン当時:Twitter)で板チョコアイスを撮影した写真に指定のハッシュタグをつけて投稿をすると、コラボパッケージ10種が収納できるコンプリートBOXが当たるコラボキャンペーンを実施。アニメファンのコンプリート欲をかき立てる施策展開になっています。
③【SNSで話題に!】タマノイ酢株式会社「すしのこ」×推しの子
(テレビアニメ『推しの子』公式Xアカウントより)
【キャンペーンサイト】https://www.tamanoi.co.jp/sushinoko-oshinoko/
【実施時期2024年6月~7月
【実施内容】コラボパッケージ商品販売・購買キャンペーン
テレビアニメ『推しの子』は4月1日のエイプリルフールを機に、商品名とアニメタイトルが似ていることから登場キャラクターが「すしのこ」のイメージガールに就任するというコラボ投稿を行いました。この数日後に実際にコラボ商品の販売決定が発表され、SNSを中心に盛り上がりました。
『推しの子』のファン層である若い世代との新たな接点になることから、今回のコラボにより「すしの子」が発売から61年の中で初のパッケージ変更に踏み出すきっかけにもなりました。コラボパッケージ商品の販売とともに、抽選で描き下ろしグッズが当たるコラボキャンペーンも実施しました。違ったファン層を抱えているコンテンツや企業とのコラボで新規顧客を獲得した事例です。
食品はこのようなコンテンツ名やキャラクターの名前、好物にまつわるコラボが非常に多く、話題にもなりやすいです。例えば、漫画内の作中に登場する商品と実際にコラボした「チャルメラ」と「ちいかわ」のコラボ事例や、主人公の好きな食べ物になぞらえた「ナッツボン」と「SPY×FAMILY」のコラボなどがコラボレーションした作品のコアファン以外からも反響を呼びました。
④【推し活ファンに刺さる】亀田製菓株式会社「無限エビ・無限のり」×アイドリッシュセブン
(「無限エビ・無限のり」公式Xアカウントより)
【キャンペーンサイト】https://www.mugen-ebi.com/2024cp/
【実施時期】2024年6月~7月
【実施内容】コラボCM(TV・Web)、購買キャンペーン
キャラクターを「タレント」として起用していることで、コラボレーションしたキャラクターのファンから話題となったコラボキャンペーン事例です。
これまで紹介したコンテンツが世間的に知名度も高く、ライトファン層も多かったのに対し、こちらは女性のコアファンが多い二次元アイドルコンテンツとのコラボレーションです。ニュースリリースなどでもタレントとして「人気アイドルグループ・IDOLiSH7のセンター、七瀬陸さん」と紹介され、彼からのコメントが掲載されるなど、企業側のコンテンツへの理解度が高いことがファンからの支持を集めました。「推し消費」が話題となっている中で、新しいキャラクターコラボの形なのではないでしょうか。
⑤【企業のマスコットキャラに!?】朝日生命保険相互会社×シナモロール

https://www.youtube.com/watch?v=8-BG754l_jM (朝日生命公式YouTubeチャンネルより)
【朝日生命 シナモロールの窓】https://www.asahi-life.co.jp/pickup/shinamon/index.html
【実施時期】2009年~継続中
【実施内容】ノベルティ制作、企業の取り組み動画への出演
朝日生命は2009年からマスコットキャラクターにサンリオの「シナモロール」を起用しています。ノベルティグッズの制作や保険の宣伝活動だけではなく、企業活動の紹介もシナモロールが行う動画を公開しています。
企業の経営方針やサステナビリティ推進活動など、ただ動画を制作したりパンフレットに掲載するだけでは生活者に興味を持ってもらうのが難しい内容です。キャラクターを活用することで、楽しんで企業理解を深めてもらうことが可能になっています。
また、サンリオもSDGsを積極的に発信している企業であり、キャラクターにサステナビリティ発信のイメージを持ってもらう機会が増えることがメリットになると考えられます。目標や価値観が同じだからこそお互いにメリットがあるコラボレーションです。
■コラボレーション先の選定方法
成功事例として人気のキャラクターとの企業コラボを中心にご紹介しましたが、単に人気があるからという理由だけでコラボレーション先を選ぶのは早計です。人気キャラクターとのコラボは話題になる可能性は高いですが、ファンがコラボに慣れていて話題が一過性のものになってしまい、費用対効果が釣り合わないこともあります。
キャラクターとのコラボの場合も他企業とのコラボの場合でも、下記のポイントを踏まえて慎重にコラボレーション先を検討しましょう。
・共通点のあるコラボ先を選ぶ
共通点があると、自然な形でのコラボレーションが実現しやすくなり、双方のファンにとっても受け入れやすくなります。
例えば、成功事例で紹介したように、
・企業の目標、メッセージに共通性がある
・地域性やターゲットが似通っている
・商品名やコピーが似ている(ダジャレも含む)
なども、消費者に強い印象を与えることができ、話題になりやすいでしょう。
・目的に応じたコラボ先を選ぶ
コラボレーション先を選定する前に、目的やターゲットを設定することも重要です。
特にキャラクターとコラボをする場合は、ファンの数だけでなくファンの熱量を重視することも重要です。認知向上が目的であればファンの多いキャラクター、狙ったターゲットへの販売を目的とするのであれば、ファンのコア層が明確で、ファンの熱量が高いキャラクターとのコラボレーションの方が効果的です。
・双方にメリットのあるコラボ先を選ぶ
自社の利益だけを優先することは相手企業のモチベーションが下がるだけでなく、既存のファンからの信頼を失います。コラボレーションとは、各社に利益がもたらされるWin-Winの関係であることを忘れないようにしましょう。
顧客が重複せずお互いに相互集客になったり、強みと弱みが補完しあえる企業・キャラクターを選ぶことでシナジー効果を生むことができます。
これらのポイントを押さえるためには、自社の製品やコラボレーションを検討している企業・キャラクターをしっかりと理解することが何よりも重要です。
■まとめ:企業コラボでブランドの可能性を広げる
企業コラボは、新規顧客の獲得や話題性の創出、ブランドイメージの向上など、多くのメリットをもたらすマーケティング手法です。特に、異業種の企業や人気キャラクターとのコラボレーションは相乗効果を生みやすく、SNSなどで話題化しやすいことから高いプロモーション効果が期待できます。
一方で、成功のためにはコラボレーション先の選定が重要です。ブランドイメージや世界観、ターゲット層などに共通点がある企業やキャラクターを選び、自社の目的に合った連携形式を設計することで、より高い成果を得ることができます。
企業コラボは単なる一時的な話題づくりではなく、ブランド価値を共に高める“共創”の取り組みです。自社の強みを活かしながら、相手の魅力を引き出す視点で企画を進めていくことが成功の鍵となります。
キャラクターとの企業コラボをご検討の場合は、ぜひ「キャラ活マーケティング」へご相談ください!

当サイト「キャラ活マーケティング」を運営するジェイアール東日本企画は、総合広告会社としてキャラクターとのコラボ広告やプロモーション実績があることはもちろんのこと、アニメ・映画への出資やオリジナルコンテンツの開発を行い多数のコンテンツに携わってきました。商品化や販売促進キャンペーンだけでなく、大型イベントやブランディング広告などの実績もございます。
貴社の課題に合わせて、コラボに最適なキャラクターの提案から、プロモーション・広告戦略の作成だけでなく、デザインやノベルティ制作までトータルプロデュースいたします。
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