こんにちは。ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。
スーパーやコンビニでよく見かけるキャラクターコラボのパッケージ商品。
自社の商品でもコラボ商品を販売したいと考えているものの、「何をどうやればいいのかわからず、難しそう」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、コラボ商品の開発・販売の手順から、成功事例まで詳しく紹介します。
次のような悩みのある方にぜひ読んでいただきたいコラムです。
☑キャラクターとのコラボ商品を販売したいがやり方がわからない
☑キャラクターとのコラボ商品の成功事例を知りたい
☑コラボするキャラクターの決め方がわからず、相談したい
コラボ商品とは?
「コラボ商品」とは、複数の企業やブランドが協力して企画・開発した商品を指します。通常、それぞれの企業やブランドの強みや特長を組み合わせることで、単独では生み出せない新しい価値を提供し、新規顧客を獲得することを目的としています。
たとえば、 有名店や有名料理人が監修したスイーツや、アパレルブランドと人気キャラクターがコラボレーションした限定Tシャツなどが例として挙げられます。こうしたコラボ商品は、消費者にとって新鮮で魅力的な商品として受け入れられやすく、話題性や売り上げ向上に寄与します。
特にキャラクターとのコラボは、店頭でも目を引きやすく、キャラクターのファンの熱量が高く話題になりやすいことから、近年コラボ商品が増えています。今回は、キャラクターとのコラボ商品について詳しく解説していきます。
キャラクターコラボ商品のメリット
キャラクターとのコラボ商品のメリットは、“キャラクターのファンがその商品を購入してくれること”が一番ですが、それ以外にもさまざまな独自のメリットがあります。
今回は、以下の3つのメリットについて詳しく解説します。
①認知効果
②販売効果
③ブランドイメージ向上/リブランディング効果
①認知効果
キャラクターとのコラボは、キャラクターの知名度や人気を活用することで、ブランドや商品の認知度を一気に高める効果があります。人気キャラクターとのコラボ商品を展開することで、そのキャラクターのファン層にリーチでき、新たなターゲット層を開拓できます。
さらに、キャラクターとのコラボ商品は、SNSやメディアで話題になりやすく、二次拡散での宣伝効果も期待できます。特に、キャラクターが持つ世界観やビジュアルは記憶に残りやすいため、商品の特徴とリンクしたキャラクターを選定することに成功すれば消費者の心に強く残る商品になります。
また、キャラクターを用いたパッケージは店頭でも目に留まりやすく、他社商品との差別化にもつながります。
②販売効果
先ほど説明したように、“キャラクターのファンがその商品を購入してくれること”が最も大きなメリットです。限定のパッケージデザインや特典付きなど、コラボならではの特別感や希少価値がキャラクターの既存ファンの購買意欲を促進します。
既存ファンが多いキャラクターや、ファンの購買意欲が高いキャラクターとコラボすれば、即効性のある(≒即売上につながるような)商品を生み出すことができます。
ターゲットはキャラクターのコアファンだけでなく、これまで商品を認知はしていたものの購入までは至らなかった潜在層やライトユーザーの購入の後押しにもつながります。
さらに、キャラクターを活用した販促キャンペーンや店頭イベントなど、クロスマーケティングを展開することで、より多くの消費者にアプローチし、販売機会を増やすことができます。
③ブランドイメージ向上/リブランディング効果
キャラクターとのコラボ商品は、ブランドや商品のイメージを刷新したり強化したりする効果があります。
たとえば、若年層にアプローチしたいブランドが、若者に人気のキャラクターとコラボすることで、トレンドに敏感なブランドという印象を与えることができます。また、親しみやすいキャラクターを起用することで、従来の堅いメージがあったブランドであれば、よりフレンドリーで親近感のあるブランドへと変貌を遂げることも可能です。こうしたリブランディング効果は、ブランドの長期的な成長に寄与します。
これらのメリットをうまく活用したキャラクターコラボ商品は、短期的な売り上げ拡大だけでなく、企業やブランドのマーケティング戦略全体においても大きな役割を果たします。
キャラクターコラボの商品製作の流れ
次に、キャラクターコラボの商品製作の具体的な流れを紹介します。コラボの場合は、キャラクターの権利を持つ企業(ライセンサー企業)との契約や、その企業の監修が必要です。通常の商品開発よりも数か月ほど製作期間が長くなります。
①企画立案・キャラクター選定
まず、コラボ商品の目的やターゲット層、販売戦略を明確にするための企画立案を行います。どのキャラクターを使うのか、どのような商品にするのか、予算やスケジュールなどもこの段階で決定します。
キャラクターは、ただ人気のキャラクターを選ぶのではなく以下のことを意識することが重要です。
・商品のターゲットとキャラクターのファン層はあっているか?
・商品との共通点やコラボする理由はあるか?
(名前が似ている、イメージカラーが同じなど小さな共通点でもOK)
・商品のファン、キャラクターのファン双方に喜んでもらえるコラボになるか?
もちろん人気キャラクターとコラボすれば話題になる可能性は高いですが、人気キャラクターは契約費用も高く、他社とのコラボも多く、埋もれる恐れもあります。上記のポイントを押さえずにコラボを実施すると、話題は一過性のものになり費用対効果が見合わない結果になることもあります。
②商品化契約の締結
映画やアニメ、漫画など様々なコンテンツのキャラクターやロゴなどを活用した商品を開発・発売するためには、「商品化契約」が必要です。企画段階で、『このキャラクターを起用したい!』と決まっていても、ライセンサー企業(キャラクターの権利を持つ企業)から「キャラクターのイメージに合わないためNG」などの理由で断られてしまうこともあります。自社とコラボするメリットやコラボ商品を開発したい理由をライセンサー企業に伝えられるように準備を行いましょう。
ライセンサー企業から承諾を得られた後は、条件を確認して契約内容の交渉を行います。この契約では主に、キャラクターの使用範囲、商品化ロイヤリティ(使用料)、販売期間、商品の内容、販売チャネルなどを決めることになります。契約の締結後に商品の製作を進めることになるため、契約の締結にかかる期間も事前に確認をしておく必要があります。
③デザイン・商品開発
商品化契約が締結されたら、実際の商品デザインやパッケージの開発を開始します。キャラクターコラボの商品化で最も時間と労力がかかるのがデザイン制作です。
キャラクターのイメージを守るために、キャラクターの使用方法には「ガイドライン」が制定されています。このガイドラインに従い、商品デザインやロゴ配置、カラーリングなどを決定します。開発チームとデザイナーが連携し、複数のデザイン案を作成して、キャラクターライセンサー企業に監修を依頼するという流れで進めていきます。
キャラクターによっては監修作業に時間がかかることがあるため、制作スケジュールは通常よりも余裕を持っておくことをおすすめします。
また、商品のイメージに合わせて描きおろしのイラストが必要な場合は、ライセンサー企業に依頼してイラストを制作してもらう必要があります。描きおろしイラストも、公認の制作会社やイラストレーターが決まっていることが多いため、勝手に新しいイラストを作ることはできません。
④試作品製作・最終確認
商品デザインが確定したら、サンプル(試作品)を製作します。サンプルは、ライセンサー企業に提出し、最終的な品質やデザインも監修を受けます。修正が必要な場合は、再度調整を行い、承認を得るまでこの工程を繰り返します。ここでの承認が得られないと、商品化ができないため、慎重に進行すべきステップです。
⑤製造
最終デザインとサンプルが承認された後、量産に移ります。生産は信頼できる工場やサプライヤーに依頼し、コスト管理や品質管理を徹底しましょう。製造工程中も、ライセンサー企業へ、進捗状況を共有しながら進めます。
⑥販売・プロモーション
商品の発売に向けて、販売戦略を策定しましょう。どのチャネルで販売するのか、価格設定、プロモーション活動の内容などを具体化します。
開発したコラボ商品を、より多くの人に知ってもらうために、コラボ商品販売記念の「コラボキャンペーン」を実施することがおすすめです。具体的には、SNSキャンペーンや、販促キャンペーン、店頭でのイベントの開催などが考えられます。このようなキャンペーンを行うことで、消費者との接点を増やし、購買意欲を高める効果が期待できます。
また、販売開始後も、販売状況や購入した消費者からのフィードバックやSNSでの反応を収集し、必要に応じてプロモーション施策を調整しましょう。キャラクターコラボ商品の場合は予想以上に反響がある可能性も視野に入れて、追加生産が必要な場合はすぐに動けるように準備をしておくことも必要です。
このように、キャラクターとのコラボ商品の製作は多くの段階を経て進行します。特にキャラクターを保有するライセンサー企業との連携が非常に重要です。それぞれのステップで慎重に対応し、キャラクターのファンにとって魅力的な商品を市場に提供することが成功への鍵となります。
コラボ商品の販売が終了した後、必ず全体を振り返り、成功点や改善点の洗い出しを行いましょう。コラボの第2弾につながったり、今後別のキャラクターとのコラボの際に戦略をさらにブラッシュアップすることができます。
キャラクターコラボ商品の製作にかかる費用
コンテンツのキャラクターなどを使用して商品の製造・販売を行う対価として、「商品化ロイヤリティ」を支払う必要があります。
作品ごとにロイヤリティ率が決まっており、下記のように商品の製造数量に応じて支払金額が決まることが多いです。
支払金額=商品代金×製造数×ロイヤリティ●%
※ロイヤリティ率は使用するキャラクターやコンテンツによって異なります。
製造数が多くなれば、ライセンサー企業に支払う金額も高くなります。ただし、製造数を減らせばその分だけ支払い費用が少なくなるわけではありません。キャラクター商品の監修には非常に労力がかかるため、ミニマムギャランティ(商品化ロイヤリティの最低保証)と呼ばれる一定の金額を契約時に先払いすることが一般的です。
上記のような製造個数に応じたロイヤリティではなく、製造個数によらず定額の場合や利益の分配式の場合もあるため、契約前に支払い方法を必ず確認しましょう。
また、既存のイラストを使用しない場合、イラストの描き下ろし費用が追加で掛かる場合もあります。
キャラクターコラボ商品 成功事例
キャラクターとのコラボ商品の成功事例を5つ紹介します。それぞれの成功の要因についても具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
【映画化にあわせた展開】チョコもっち×『すみっコぐらし』
©2019日本すみっコぐらし協会映画部
【実施時期】2019年11月~12月
【実施内容】コラボパッケージ商品販売・購買キャンペーン
【当社事例紹介ページ】https://online-soudan.jeki.co.jp/works/strategy_design/yamazakipan/
当社が製作委員会の1社として名を連ねた、『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』とタイアップして、作品ファンの女児や女性をターゲットにオリジナル商品化を行いました。映画公開の前後はキャラクターの露出が多くなり、キャラクターファンの購買意欲が高まっている時期で、コラボ商品の販売にはうってつけのタイミングです。
コラボパッケージの「チョコもっち」発売時は、コラボキャンペーンとしてARフォトフレームがもらえるキャンペーンも実施しました。映画のヒットが相乗効果となり、SNSには商品パッケージやフォトフレームを用いた撮影写真が多くアップされ二次拡散にも成功しました。
また、映画のタイアップの場合は通常よりも契約費用を抑えられることもあります。
※使用できるイラストが限られていたり、映画と関連する業種のみコラボが可能だったり条件が厳しい場合もあります。
【共通点のあるコラボで成功】サッポロ クラシック×『ゴールデンカムイ 』
©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
【実施時期】2018年~継続中
【実施内容】コラボパッケージ商品販売・購買キャンペーン
【当社事例紹介ページ】https://online-soudan.jeki.co.jp/works/character_animation_movie/sapporobeer/
北海道限定ビール「サッポロ クラシック」は、テレビアニメ『ゴールデンカムイ』の物語の舞台である北海道を応援することを目的に、期間限定・数量限定でコラボパッケージの商品を販売しています。年に一度のこのコラボキャンペーンは2018年から始まり、7年目を迎えました。「北海道」「食」といった共通点を活かした展開で、『ゴールデンカムイ』ファン、「サッポロ クラシック」ファンの双方から共感を集める企画で新規顧客獲得と売上拡大につながりました。
【若年層への認知拡大に成功】ナッツボン×『SPY×FAMILY』
【実施時期】2023年9月~販売
【実施内容】コラボパッケージ商品販売
パッケージに描かれているTVアニメ『SPY×FAMILY』の登場人物、アーニャ・フォージャーの好物がピーナッツであることをきっかけに、コラボパッケージでの商品発売をしました。1968年から、50年以上続くロングセラー商品である「ナッツボン」。SNSでは、このコラボパッケージの商品をきっかけに「懐かしい」「久しぶりに購入した」という声や「初めて食べた」という声も。キャラクターのファン層である若年層世代や、昔は商品を購入していた子持ちの世代を新規顧客として取り込んだ成功事例です。
『SPY×FAMILY』はほかにも、同じくアーニャの好物をきっかけに千葉の名物「ぴーなっつ最中」などともコラボしています。食品とキャラクターのコラボは、このようなキャラクターの好物にまつわるものや、コンテンツ名やキャラクターの名前と商品名が似ていることでコラボになることが多いです。例えば、アニメ『推しの子』と「すしのこ」のコラボや、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する「ガンダム・エアリアル」とヤマザキビスケットの「エアリアル」のコラボなどダジャレのようなコラボ商品はSNS上で反響を呼びました。
【こだわりが売上につながる】『機動戦士ガンダム』コラボ ザクとうふ
【実施時期】2012年3月~販売
【実施内容】コラボパッケージ商品販売
【公式サイト】https://sagamiya-kk.co.jp/spirit/zaku.html
爆発的なヒットとなりキャラクターコラボ商品の火付け役の1つともいえるのが、「ザクとうふ」です。10年以上前の事例ですが、2020年6月には第5弾のコラボ商品も販売され愛され続けているコラボ商品です。
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツ、ザクをモチーフにした形をした「ザクとうふ」。まさかの組み合わせからSNS上で大きな話題を呼び、これまで豆腐を購入していなかった30~40代男性がスーパーの豆腐売り場に殺到しました。その結果、1年で140万丁販売され2億8000万円を売り上げました。
(参照:相模屋食料株式会社ニュースリリース https://www.sagamiya-kk.co.jp/products/products_2012_10/684)
『機動戦士ガンダム』はコアファンが多く購買意欲が高かったことももちろんですが、コアファンを納得させるこだわりのデザインや、「どちらも“量産型”」「どちらも(食卓の)“名脇役”」などコンセプトに合ったキャッチコピーが成功の鍵となった事例です。
【リピートにつながる商品作り】エイトザタラソ×『ハンギョドン』
【実施時期】2023年9月~販売
【実施内容】コラボパッケージ商品販売
これまで紹介した事例は食品が多かったですが、キャラクターコラボの商品は日用品や雑貨やアパレルなどの商品でも数多く展開されています。
髪に潤いを与えるシャンプーと半魚人のキャラクターである『ハンギョドン』という、商品とキャラクター性の相性の良さはもちろんのこと、パッケージのかわいさからファンの間でたちまち話題に。コラボパッケージはボトルに直接ハンギョドンが印刷されており、ボトルを長く使い続けられる仕様になっています。中身を詰め替えて使えるようにすることで、コラボ商品でつかんだ新規顧客をリピーターにする仕組み作りをしています。
まとめ
キャラクターとのコラボ商品は、ブランドの認知度向上や新規顧客の獲得、さらにはブランドイメージの刷新など、さまざまなメリットをもたらします。しかし、その成功には、適切なキャラクターの選定や時間をかけた商品開発、ライセンサーとの交渉や円滑なコミュニケーションが不可欠です。
また、今回紹介した成功事例からも分かるように、ターゲット層に合わせたキャラクターの選定や、魅力的なデザイン、そして消費者を巻き込むコラボキャンペーンの実施などの工夫が鍵となります。特に、キャラクターのストーリー性やファン層の心理を理解し、それに応じた戦略を立てることが重要です。
当社では、アニメや漫画とコラボしたキャラクターマーケティングを行う際のメリットや選定のポイントをまとめた「キャラクター活用はじめてガイド」を公開しています。
コラボ商品以外にも、販促契約やタイアップ契約についてもまとめています。さらに詳しくキャラクターを活用したマーケティングについて知りたいという方は、ぜひ資料をご覧ください。
当社では、長らく国民的人気コンテンツの「商品化」企画をプロデュースしてきたノウハウもあり、様々なご提案が可能です。貴社の課題に応じて様々なキャラクターのご提案や企画推進をさせていただきます。
キャラクターとのコラボ商品の制作に興味をお持ちの方は、ぜひ当社運営サービス「キクコト キャラ活マーケティング」へ、お問い合わせください。
また、当社の携わったキャラクターコラボの商品事例なども紹介している、事例集も公開しています。こちらもぜひ参考にしてください。
キャラクター活用に関して、他にもコラムを掲載しております。こちらもぜひご覧ください。