【採用CMとは】リクルーティング効果・成功事例・制作の流れを徹底解説!

キクコト 編集部

こんにちは、ジェイアール東日本企画「キクコト」編集部です。

近年、採用市場はますます競争が激化しています。少子化による労働人口の減少や転職市場の活性化により、優秀な人材の確保は企業にとって大きな課題となっています。
このような状況では、従来のように求人票や就職ナビサイトだけで応募を集めるのは難しく、「選ばれる企業」になるために魅力を発信していく必要があります。

そこで注目されているのが採用CMです。映像を通じて企業の魅力や働く姿を印象的に伝え、認知度の向上やエントリー数の増加につながるプロモーション手段です。

本記事では、採用CMの効果や事例、制作の流れを詳しく解説します。

採用CMとは

採用CMとは、企業が求職者に向けて制作・配信する、リクルーティングを目的とした映像広告です。短い映像で企業の魅力を端的に伝えられるため、知名度やブランドイメージの向上、応募促進に効果があります。
一般的に「CM」と聞くとテレビCMを思い浮かべる方も多いですが、近年ではSNS広告や動画配信サービス内のCMなど、Web上での展開も増え、より気軽に取り組める施策となっています。

採用動画との違い

■採用動画(リクルート動画):
説明会や採用サイトなど、主に限られた場で視聴される動画。数分から20分程度と比較的長尺で、仕事内容や社員インタビューなど、詳細な情報を伝える目的で作成されます。

■採用CM:
テレビCMやWeb広告など、不特定多数に配信される短尺映像。15秒から60秒の限られた時間で企業の魅力を伝え、興味喚起や認知拡大を目的に作成されます。

採用CMのメリット

採用CMを用いたプロモーションには、以下のような効果が期待できます。

採用CMは企業名や事業内容を広く知ってもらうきっかけになります。テレビやWeb広告を通じた配信は、不特定多数に届けられる点が強みです。
特にテレビCMは、求職者の家族や知人にも届くため、応募の後押しや新卒入社時の「親ブロック」による内定辞退の減少につながることもあります。

※親ブロック=親や保護者の反対によって選考途中や内定後の辞退が出ること

映像を通じて企業文化や職場の雰囲気を直感的に伝えられるため、テキストや写真だけでは伝わりにくい魅力を表現できます。
企業の魅力を可視化することは、求職者だけでなくステークホルダーや既存社員にも効果的で、企業全体のブランド価値向上につながります。

採用CMを見た求職者が「ここで働きたい」と感じるきっかけを作れます。社員の働く姿や企業文化を印象的に表現することで、応募行動につなげやすくなります。

競争が激しい採用市場において、採用CMは他社との差別化につながります。特に記憶に残る採用CMは、認知度や企業理解の向上を促し、長期的なブランド資産として蓄積されます。

採用CMの制作の進め方

採用CMは、ただ映像を作るだけでは効果を発揮できません。目的やターゲットを明確にし、戦略的に進めることが重要です。ここでは、制作の一般的な流れを解説します。

まずは「誰に、何を伝えたいのか」を定めます。
目的によって打ち出すメッセージは大きく変わります。自社の課題や現状を整理し、目的を設定しましょう。

・認知拡大のために企業名を覚えてほしい
・マッチする人材確保のために企業理念や社風を伝えたい
・企業価値向上のために自社製品や製造技術の魅力を訴求したい
 ……など

また、ターゲットも新卒・中途といった大まかな区分ではなく、どのような経歴や性格の人材にアプローチしたいのかを明確にすることで、より響くメッセージをつくれるようになります。

目的とターゲットを踏まえ、どのような映像にするかを企画します。企業理念を軸にストーリーを描くのか、社員インタビューを中心にするのかなど、方向性を決める段階です。
キャッチコピーやメインメッセージを明確にし、短い尺でも印象に残る構成を意識することが大切です。

目的・ターゲット・コンセプトの設計については、以下の記事で詳しく解説しています。
⇒ 採用マーケティングコラムへ

企画に基づいて映像を制作します。テンポ感や映像美といったクオリティも重要ですが、企業らしさを損なわないことが大切です。
出演者には、ターゲットから好感度の高いタレントを起用して親近感を持ってもらうほか、実際に働く社員を登場させることで求職者の共感を得ることも効果的です。

完成した映像はテレビCMやWeb広告、SNSなどで配信します。媒体ごとに視聴者層や接触シーンが異なるため、ターゲットに合わせて効果的なチャネルを選ぶことが重要です。テレビCMとWebCMの特徴を簡単に解説します。

◆テレビCM:
・全国や地域単位で大量のリーチが可能
・マスメディアでの露出は企業の信頼性を高められる

 ⇒上記2点は、求職者の周囲まで効果があり新卒採用の親ブロック対策として有効
・短期間で認知拡大を図れるが、その分費用がかかる
・ターゲティングや効果測定の精度が低い


◆WebCM:
・ターゲティング精度が高く、年代や地域、興味関心など細かい条件で配信可能
 ⇒一方で、狙ったターゲット以外には届きにくい
・再生回数、視聴維持率、クリック数などが可視化されており、効果測定がしやすい
・テレビCMよりも採用サイトへの誘導がしやすい
・広告予算に合わせて配信設定が可能で、少額から始められる


両方のメリットを活かし、テレビCMで広く認知を獲得し、WebCMで興味層に再訴求する方法も効果的です。

また、最近では制作した採用CMを電車内サイネージなどの交通広告に展開するケースも増えています。交通広告は音声が出ないことが多いため、字幕を付けるなどの工夫が必要です。

配信・放映後は、自社の採用サイトへの流入数やエントリー率の増加、TVCMの場合はオンエア中の検索数、WebCMの場合は再生数やクリック率などを指標に効果を検証します。その結果を次回の制作や採用活動に反映することで、継続的な改善が可能になります。 採用CMは「作って終わり」ではなく、採用戦略全体の一部として運用していくことが成功の鍵です。

採用CMの成功のポイントと好事例

採用CMは企業の魅力を伝えることを基本としながら、次の3つのポイントを押さえることで、より強いインパクトを与えられます。

ターゲットの心に刺さるメッセージ・コンセプト設計

採用CMの最大の目的は「自社に合った人材に出会うこと」です。そのためには、誰に向けてどのようなメッセージを伝えるのかを明確にすることが欠かせません。

たとえば、
●新卒採用では「成長できる環境」や「働きやすさ(職場・社員の雰囲気など)」を強調
● 中途採用では「即戦力として活躍できる舞台」を打ち出す
     といったように、ターゲットに響く言葉を選ぶことが重要です。

また、コンセプトづくりにおいてもターゲット目線を意識しましょう。新卒向けなら学生や若手社員の視点で描いたり、ターゲットから好感度の高いタレントを起用して関心を引いたりする工夫が効果的です。
つまり採用CMは、企業が一方的に伝えたいことを押し出すのではなく、ターゲットのニーズに寄り添ったメッセージや表現を設計することで、初めて効果を発揮します。

【事例】

仙建工業|地元出身タレントを起用し、若年層へアプローチ

仙台市に本社を置く仙建工業は、地元宮城県出身の乃木坂46・久保史緒里さんを起用した企業CMを制作。

・学生世代から好感度の高い地元出身タレントをキャスティング
・「若い力が東北を支える」という熱いメッセージを訴求
・現場で活躍する若手社員をリアルに描写

などにより、学生が自分の将来を重ねやすい内容となり、強い印象を残すことに成功しています。

株式会社クラフ|時代のニーズに合わせた転職メッセージ

宮崎発のサイバーセキュリティ企業である株式会社クラフは、「在宅もオフィスも、選べる。」「推し活は有給で!」「お父さんもお母さんも、応援します」といったキャッチコピーを用い、テレワークや有給取得、子育て休暇など、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を訴求するCMを6種類制作しました。現代のニーズに即した表現を通じて、社員一人ひとりを大切にする企業姿勢を鮮明に伝えています。

また、仙建工業の事例同様に宮崎出身の女優・髙石あかりさんを起用することで地元人材への信頼感向上にもつながっています。

短時間で魅力を伝えるストーリー性

15〜60秒という限られた時間で勝負するため、伝える内容の取捨選択が重要です。シンプルかつ印象的なストーリーを設計できるかどうかが成功の鍵となります。

たとえば、以下のように軸となるストーリーやメッセージをひとつ決め、最も伝えたいポイントを際立たせることで、視聴者に強い印象を残せます。

・シンプルなストーリー構成
1人の社員の1日を追って仕事のやりがいを描く、求職者の将来像をイメージさせるなど

・ワンフレーズ・メッセージ重視
強いキャッチコピーを軸に、映像をシンプルに構成

・ユーモアや驚きを活かす演出
たとえば、意外性のある構成・展開、音楽に乗せたテンポの良い映像、明るいトーンでユーモラスに社風を伝える…などで記憶に残りやすい映像演出

【事例】

株式会社ビジョン・コンサルティング|キャリアアップをビジュアルで表現

株式会社ビジョン・コンサルティングの新卒向け採用CMでは、「人を育てるコンサルティングファーム」をメッセージとしたCMを公開。若手社員が階段を駆け上がる姿をキャリアアップになぞらえ、短い動画の中で「若手でも成長し活躍できる職場」であることを視覚的に表現しました。シンプルな構成ながらも、学生に「自分もここで成長できる」というイメージを抱かせる内容となっています。

企業のリアルな魅力を見せること

採用CMでは、作り込まれた演出だけでなく、実際に働く社員の姿や職場の空気感を映すことが効果的です。現場で働く様子や社員の声は、求職者に「ここで働く自分」を思い描かせ、安心感や共感を生み出します。
たとえば、若手社員のインタビューやチームで協力するシーンの映像から、企業文化や人間関係の魅力が自然に伝わります。こうしたリアルな表現は、入社後の具体的なイメージを描かせると同時に、応募への大きな後押しとなります。

【事例】


◆ENEOS|働く社員や現場の様子をCMに

ENEOSのCMでは、製油所で働く社員へのインタビューを通じて、その仕事の重要性を伝えています。働く社員の笑顔や真剣なまなざしが映し出され、仕事へのやりがいがリアルに表現されています。毎日の安心・安全な暮らしを支える社員の姿が、『「今日のあたりまえ」を守り、「明日のあたりまえ」を築いていく』という企業メッセージに説得力を持たせています。
参考:https://www.hd.eneos.co.jp/news/eneosways/articles/20250120_01_03/

採用CMを含め、採用ブランディングを行う際の具体的なコンセプトやメッセージの作り方については、『採用ブランディングはじめてガイド』で詳しく解説しています。採用CMの成功のポイントをさらに深く知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。

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まとめ

採用CMは、求人票や就職ナビサイトでは伝えきれない企業の魅力を広く発信できる有効な手段です。認知度向上や応募促進に加え、企業文化や価値観を直感的に伝えることで、企業理解度の高い人材との出会いにつながります。
競争が激化する採用市場において、採用CMは「選ばれる企業」になるための重要な戦略のひとつといえるでしょう。

当社では、これまで数多くのBtoB企業の採用CMを制作してきました。総合広告代理店としてのノウハウを生かし、CM制作だけでなく、発信メディアの選定から効果検証まで、採用活動における情報発信を一貫してサポートします。リクルーティングに課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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