ジェイアール東日本企画 オンライン相談室 キクコト

企業が保有するデータ活用がもたらすマーケティングの未来<前編>
「移動者」を軸にデータをつかむ

恵比寿発、

恵比寿発、


jekiデジタルVOL.12


企業が外部のパートナーを頼らずに自前でファーストパーティデータを収集、保有、活用していく動きが本格化し、CDP(Customer Data Platform)やCRM(Customer Relationship Management)を用いたマーケティング活動も活発に行われている。


そのようななか、株式会社モニタスとジェイアール東日本企画(jeki)は、オリジナルのメディアデータプラットフォーム構築へ向け資本提携を行い、モニタスが持つアンケートモニター構築のノウハウやツールを活用し、移動データを軸とした様々なサービス展開・データ活用を推進していこうとしている。

広告会社として、どのようなサービスやコミュニケーションの可能性があるのか、株式会社モニタス 代表取締役社長 林 秀紀氏とjeki メディアマーケティングセンターセンター長の直井 伸司(ファシリテーター)、同センター部長代理の橋爪 俊文が語り合った



会員組織を「アンケートモニター」に転換できるのが強み

直井:モニタスはアンケートモニター構築に独自のノウハウや知見を有していますが、ここに特化してビジネスを展開することになったきっかけは何だったのですか?




林:モニタスは、1991年に創業しましたが、その当時の調査会社は、アンケートモニターを保有しながら調査設計もオペレーションも手がける、いわゆる「総合的な事業モデル」が中心でした。

一方、アメリカをはじめとする海外のマーケットでは、システムだけを提供する会社、モニターだけを提供する会社というような「分業モデル」が成立していました。モニタスは「総合的な事業モデル」を展開する調査会社でしたが、私が2016年にジョインした際、モニター提供だけに限定したビジネスモデルを日本国内で展開していこうということになりました。


2016年以降は、とあるキャリア契約者の会員組織を連携させて頂き、アンケートサービスを展開していくことになりました。これを皮切りに、アンケートモニターを軸として様々な会員組織に対してサービスを展開する事業へとシフトし、現在では、モニター数約1,650万人の規模に達し、顧客とのリレーションシップ構築、強化を図りたい企業向けにもソリューションを提供しています。


直井:モニター提供だけに限定したビジネスモデルを進めるうえで、特に意識されたことはありますか。


林:インターネット調査は約20年の歴史がありますが、ここ数年、アンケート回答率が大きく減っていて、以前に比べて半減しているような状況です。背景には、スマホの登場・普及による可処分時間の奪い合いが挙げられます。スマホアプリで提供される動画やSNSなどの競合コンテンツとの時間の奪い合いのなかで、アンケートというコンテンツはユーザーに選ばれなくなってきているのです。

そうした状況を踏まえ、モニタスでは、企業の会員組織のような、企業との関係性、リレーションシップの強い人をアンケートモニターに転換していくというアプローチをとりました。


直井:具体的にはどのような方法でモニター化するのですか?


林:一般的に、調査会社などでは「アンケートモニター募集」という形でアプローチしますが、私たちはすでにどこかのブランドやサービスに会員登録しているユーザーに対して、アンケートコンテンツを提供し、回答してもらうアプローチをとっています。

直井:個人情報に対する意識が高まっているなか、慎重になる回答者もいると思います。回答に躊躇したり、データを取られたくないと考える回答者にはどうやってアプローチするのですか?

林:どこかのブランドやサービスの会員というのは、日頃からその企業の商品を買ったり、サービスを受けたりする人です。その意味で、ブランドロイヤリティが高いというか、アンケート回答への壁を一つ超えた状態ということができます。心理的ハードルが比較的低いというのが、これまで様々な会員組織をアンケートモニター化できた要因の一つにあると思います。

直井:企業の商品やサービスのファンであれば、調査会社から依頼されるアンケートに対しても好意的にリアクションしてくれそうですね(笑)。

林:そうですね。ですから、そこはビジネスの特徴的な部分だと思っています。



事業会社が「自前でデータを活用していく」時代になっている

直井:これまで様々な会員組織をアンケートモニター化する取り組みをしてきたモニタスとして、今後はどんな展望をお持ちですか?

林:現在のモニタスの顧客はインターネット調査会社です。インターネット調査会社は、アンケートへの回答率がここ数年減少しているという課題があるので、回答率を担保できる母集団を抱える当社への期待は高まることが考えられます。

一方、今後の視点からいうと、“調査会社とのかかわり方の変化”といいますか、事業会社自身が調査会社に調査を依頼することなく、自前で顧客の声を聞く環境を整備していく方向があると思っています。

直井:自社で顧客の声を聞く環境が整備できたら、わざわざ調査会社へ依頼しなくてもよいということになりますね。

林:そうです。事業会社でも昨今、購買データ、アクセスログのようなデータを収集、保管し活用していく環境が整備されつつあります。そうした自社保有データと、アンケートを通じて得られた意識データをうまく組み合わせることで、自社が今後、顧客に対してどういうアクションを行うべきかが把握できますし、効果的なマーケティング活動の第一歩を実現することができると思うのです。

そこで、モニタスの特徴である、「会員組織をアンケートモニター化する」ビジネスモデルを、事業会社にまで広げていくことで、当社のビジネスを拡大していけるのではと考えています。

直井:確かに、事業会社が自分たちでファーストパーティデータを持ち、活用していく動きは今後さらに強まっていきますし、CDP(Customer Data Platform)やCRM(Customer Relationship Management)の取り組みも活発ですね。



「移動者」を軸にデータをつかむ

直井:広告会社が自社でデータを保有・活用してビジネスを展開していくことの重要性について、jekiのなかでも認識が強まっているように思います。その点、橋爪さんはどうですか?

橋爪:そうですね。たとえば、jekiでは、トレジャーデータとのパートナーシップを締結し、CDPをいかに効果的に使っていくかという議論を続けているところです。また、たとえばテレビCMを視聴した方が、広告主のWebサイトに訪問したというデータに基づくプランニングやバイイングを積極的に行う動きが出てきているところですが、交通広告ではまだそうした取り組みは本格化していません。そういった点では、jekiとしてもっとデータを活用すべきとの危機感を感じているところです。

直井:特に、コロナ禍で人の動きが制限されたことで、JR東日本グループとしてもビジネス環境の厳しさを感じているところですね。だからこそ、移動している人の流れをデータとして可視化していこうという取り組みや、メディアとしての交通広告の効果の可視化というのは非常に重要なテーマだと思います。この点、林さんはどのように見ていますか?

林:データ活用という点では、それこそ気鋭のスタートアップベンチャーなどが、世の中に新しいソリューションをどんどん提供していくことが大事だと思います。そして、より多くの、より大きな企業がデータビジネスを本格化させていくスタンスを持ち、それを発信していくことが重要であり、ひいてはそれが「産業を作る」ことにもつながると思っています。そういう意味では、JR東日本グループの一員であるjekiが、移動者やメディアを軸にデータを活用して、より顧客理解を深め、提供すべき価値を高めていこうと取り組むことについて、大きな可能性を感じます。

橋爪:jekiとしては、まず「移動者」という観点でデータを収集したり、活用したりすることが大事なのではないかと考えています。「移動者ID」ともいうべきデータ収集・蓄積・活用の基盤が構築できたら、相当大きな強みになるはずです。「移動者ID」を用いて交通広告の可視化を行ったり、来店判定なども可能になったりすれば、顧客企業にとっては魅力的な、価値のあるデータになると思うからです。

直井:移動者を軸にデータをつかみ、それをメディア接触や他の様々な施策に活用していくことが、jekiの大きな武器になる可能性を秘めているということですね。モニタスが持っているノウハウやツールとうまく連携しながら、うまく取り組んでいきたいところですね。

林:たとえば、駅というのは今「移動」のためのプラットフォームですが、そこをモニタスが持っているサービスなどと連携させて「データ」のプラットフォームに変えていく、駅自体の価値観やポジションを変えていくようなことが一緒にできたら、すごく魅力的だなと感じています。


(後編に続く)


企業が保有するデータ活用がもたらすマーケティングの未来<後編>
今後の広告会社は「データ活用・情報処理代理業」にシフトする




デジタルマーケティング・デジタルソリューションなどの課題もジェイアール東日本企画にご相談ください!


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